憧れの人と迎える朝。
覚醒と同時に罪悪感と優越感で脳内がカオス化していってる。
「本当にこんなことしてていいの…?」
馬鹿の一つ覚えみたいに私はいつもこの質問をしてしまう。
すると彼はラブホテルのチープな歯ブラシを咥えたまま私の方へ寄ってきた。
「ひぃんらほ。(訳:いいんだよ)」
私とキスする前は歯磨きなんてしないくせに。
そういうさり気ない行動から私は愛されていないのだと実感してしまう。
当たり前だよね。仮にもメジャーミュージシャンなんだから、私みたいな平凡な女子高生なんてただのセフレだよね。
「今日はNJの収録…チッ、とんちゃくぎどこだよっ!チッ」
歯磨きを終えた彼は小刻みに舌打ちをしながら割烹着を探していた。
某テレビ局の深夜音楽番組の収録で着たいらしい。
「持ってきたはず…チッ、とんちゃくぎ…チッ困る…」
見慣れた部活エナメルバックの中身をひっくり返しながら彼は嘆いていた。その背中はまさしく体育着を探す部活少年のようで笑えてくる。
「チッッ…笑ってないで探すの手伝ってくれ〜」
私はベッドから這い出し、自らの上半身を見せつけた。
「ほら!」
「…!」
私が着ているものを見た彼は目を丸くして蹲ってしまった。
次の瞬間には「ヒヒヒッ…ハヒッ」といういつもの引き笑い。

「赤ちゃんプレイしてたんだった!」