9月18日に最終回を迎えた″月9″『真夏のシンデレラ』(フジテレビ系)は、第1話から日本では珍しかった広告手法を採用。注目を集めていた。

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「森七菜(22)や間宮祥太朗(30)ら主人公たちがホームパーティーをするシーンで、番組スポンサーであるサントリーの『金麦』と『ザ・プレミアム・モルツ』を飲むシーンを入れたのです。コンテンツの中に広告商品を取り込み、より自然にアピールするプロダクトプレイスメントという手法です。

放送法で番組の前後にしかCMを流せない韓国では定着していますが、本作をはじめ、今夏クールのドラマでは、この手法を取り入れる作品が目立っていました」(広告代理店関係者)

『Snow Man』の目黒蓮(26)主演ドラマ『トリリオンゲーム』(TBS系)の第3話にも、目黒が今田美桜(26)に番組スポンサーの『キリンラガービール』を出すシーンがあった。

「目黒は『午後の紅茶』、今田は『キリンウイスキー 陸』の広告に起用されています。『トリリオンゲーム』が放送されていたTBSの金曜のドラマ枠は長年、キリンビールがスポンサーについています。キャスティングの段階から、スポンサーの意向が反映されることはよくあります。今回はプロダクトプレイスメントも取り入れたという形ですね」(同・広告代理店関係者)

この夏、シーズン2が放送された栗山千明(39)主演の『晩酌の流儀』シリーズ(テレビ東京系)は、主人公が協賛スポンサーであるサントリー『金麦』で晩酌をするのがお約束となっている。

「テレビ東京は『孤独のグルメ』のヒット以降、深夜帯は″飯テロ″作品に力を入れており、プロダクトプレイスメントは効果的ですよね。サントリーのスポンサードありきで制作されているので、今後同じような”飯テロ”作品が増えていくはず」(テレビ局プロデューサー)

日本でプロダクトプレイスメントが増加している背景には、見逃し配信の定着があるようだ。

「TVerのシステム上、地上波で放送された時と違うスポンサーのCMが流れることが多々あり、企業がスポンサーになるメリットが薄まっていた。その点、劇中広告ならそのリスクは回避できる」(前出・広告代理店関係者)

芸能事務所にもメリットはある。

「先の『トリリオンゲーム』がわかりやすいですが、ドラマの放送枠のスポンサーが自社広告に起用している俳優がキャスティングされやすくなりました。広告契約を結ぶ際、別途撮影が発生する場合は規定の金額を支払うと契約書に書かれているので、劇中広告は俳優に広告料が別途発生するケースがあるのです。″一粒で二度美味しい″です」(芸能プロ幹部)

一方で、「プロダクトプレイスメントは、スポンサー側にリスクが発生する」と前出の広告代理店関係者は指摘する。

「たとえば、起用している俳優が不祥事を起こした場合、CMなら放送休止や差し替え、契約を更新しない、などの手が打てます。ところが、プロダクトプレイスメントだと、ドラマなど作品の中にずっと残ってしまい、商品のイメージダウンに繋がるのです」

視聴スタイルが多様化するなか、広告宣伝やリスク管理も工夫が必要なのだ。