>>542 続き ※絵露有無:無

 その大騒動のスキを見て、キノエットは自宅アパートに帰りました。
 キノエットはたくさん走ったため、お腹が張っていました。
 キノエットはすぐさまその場で横になり、
 お腹の張りが収まるのを待ちました。
 キノエットが横になって休んでいると、ヒジオが帰ってきました。
 キノエットはその日あった出来事をヒジオに話しました。
 すると、ヒジオはキノエットにこう言いました。
 『とりあえず、今日は妊娠21週と6日だ。
  今日さえ乗り切れれば大丈夫―なはず。
  息を潜めて、明日が来るのを待とう』と言いました。

 キノレット家の人々は、妊婦マニアの心配停止に伴う入院騒動で
 それどころではなかったため、その日の午前0時は
 意外とあっさりと訪れました。

 ヒジオは、
 『良かった。もう子供を堕胎させられる恐れはなくなった』と
 楽観的な見方を示す一方、キノエットは
 『まだお腹の赤ちゃんは生まれてきていい頃合ではない。
  いつまた産婦人科に強制連行されるか分からない』と言いました。
 キノエットにとって、産婦人科への強制連行はトラウマになっていました。
 そんな妻の気持ちを汲んで、ヒジオは
 『ならば、また別の国へ逃げよう。いいかい?キノエット。
  これは愛の逃避行だ』と言いました。

 そして、妊婦マニアが予断を許さない状況で騒動となっているスキに
 2人は、今度は飛行機に乗って、永世中立国であるスイスに逃げました。

 ちなみに、妊婦マニアは1週間死線をさまよいましたが、
 何とか息を吹き返しました。