>>289 続き ※絵露有無:無

 織姫は喜びのあまり飛び跳ねていましたが、父親である天の神様に
 『ただし、はた織りの仕事とFィギュアヌケートは絶対に
  怠けずに続けること!分かったね!?』と釘を刺され、
 織姫は強く頷きました。
 それから更に1ヵ月後に、織姫と彦星は同居を始めました。
 彦星は牛飼いの仕事をしに外に出て、織姫は建物の中で
 はた織りの仕事を続けました。
 日に日に大きくなる織姫のお腹に、夫婦は大喜びでしたが、
 妊娠中の織姫の体調は安定せず、つわりが酷い日や
 貧血でクラクラする日やお腹が張る日などが続きました。
 織姫はそれでも辛抱強くはた織りの仕事とFィギュアヌケートの
 練習を続けました。
 織姫が妊娠7ヶ月に入った頃、鼻毛が刑務所から脱走したという
 ニュースが飛び込んできました。
 怯える織姫に彦星は、
 『大丈夫だよ、織姫。僕が君を守るから』と言いました。
 そんなこんなで約1ヵ月後、織姫は天の川で洗濯をしようと
 洗濯物を持って堤防の階段を下りていました。
 すると、織姫は後ろから誰かに強く背中を押されました。
 織姫はとっさにお腹をかばって体を丸めた状態で
 階段をゴロゴロと転げ落ちました。
 織姫は全治2ヶ月の大怪我を負いました。
 鼻毛が織姫の背中を押したとの目撃証言が警察に寄せられたため、
 警察は鼻毛を殺人未遂罪で指名手配しました。
 織姫は即刻入院し、怪我の治癒に努めました。
 お腹の赤ちゃんは幸いにも無事でした。
 織姫が入院しても、鼻毛が逮捕されたというニュースは来ません。
 彦星は織姫を心配し、毎日病院に通い、織姫を励ましました。
 織姫の体の傷は日に日に回復していきましたが、
 心の傷はなかなか癒えませんでした。