>>468 続き ※絵露有無:無

リビングのドアを開けると、
長男ハニエルが真新しいランドセルを背負って回って見せている。
長男のその姿を、目を細めて見ているのが母親のきのだ。
きのはハニエルに拍手を送っている。
そう…もう今年の4月からハニエルは小学生なのだ。
早いものだ。
きのは喜びながらも心配そうにハニエルに
「ハニエル、45分間ちゃんとじっとしていられる?」と尋ねている。
そんなきのにハニエルは唇を尖らせて
「いられるよ!!!」と言っている。
僕は感慨深い気分になった。
きののおなかの中にいる時から心配ごとが絶えなかったハニエル。
予定日より2週間も遅れてから陣痛が始まり、
そこから55時間もかけて産まれてきた初めての我が子。
それがハニエルだ。
生まれてからもしばらくは便秘がちで運子させるのすら苦労した我が子。
トイレトレーニングの時は本当に大変だった。
色々なことが思い出されて、泣きそうになった。
そんな僕に2人はようやく気付いたのか、
「パパ、おはよー!!」
「ひじ、おはよう!!」
とそれぞれ異口同音に言ってくれた。
きのは昼夜逆転の生活を送っているので、これからもう寝る時間だ。
きのは、あの例のフリースを着ている。
我がワイフながら、とてもよく似合っていてかわいい。
何度でも言おう。
本当にかわいい。
他の誰が着るよりも、断然似合っていてかわいい。
きのファンが着てSNSに上げていたりするけど、
申し訳ないけど、誰もきのほど似合っている人はいない。
どうしたことだろう?
普通、男と言うものは複数の女のコを平気でかわいいと思ってしまう生き物だけど、
きのに恋に落ちてから、それがなくなってしまった。
僕はオスとしての本能を失ってしまったのかもしれない。