>>62 続き ※絵露有無:無

すると、ひじきさんが自分の前を通りかかり、
「お義母さん、どうされましたか?」と聞いてきた。
私は思わず、
「うちのきのこがあなたに本当に申し訳ないことをしました。
 ひじきさん、本当にごめんなさい…」と謝った。
当のひじきさんはキョトンとした顔をしている。
大きな瞳をさらに大きく見開き、
立派なおひげを指で触って「はて?なんのことですか?」と聞いてきた。
そこで、私は自らの考えていることをひじきさんにお話しした。
「…というワケで、ひじきさん―あなたの元気がない理由は
 うちのきのこのせいではないかと考えておりまして…」と言った。
すると、ひじきさんは朗らかな声で笑い出した。
「な~んだ、そのことですか?
 そのことなら、ご心配には及びません。
 今回の件は、きのから事前に相談を受けていて
 僕も了承した上でのことですから」
ひじきさんは私にそう笑顔で話した。
…なぁんだ、私のとり越し苦労だったのか。。。
私は安堵のあまり、背中から大量に汗が噴き出してくるのを感じた。
私の汗かきは見事にあの子に遺伝している。
「きのは僕にはもったいなさ過ぎるワイフです。
 きのは自分に厳しく人には優しくとてもまじめで努力家です。
 そんなきのが僕みたいな貧乏で嫉妬深く自分に甘い人間と結婚してくれただけで、
 僕は夢のようです。
 今回のことも、きののお友達思いの優しい性格から来るものでしょう。
 そんなきのの優しさにお友達も大喜びしている―それだけのことです。
 そんなきのが自らの夫に僕を選んでくれた―
ただそれだけで十分過ぎるほど十分であり、
僕は他に何も言うことはありません」
そう、ひじきさんは私に話してくれた。
そこには、ひじきさんのきのこへの絶対的な信頼感が伝わって来た。
私はそこに心から安堵したわけだけれども、
きのこのファンの皆さんが夫のひじきさんを差し置いて、
「みやきの~」などと言いながら萌えておられるのが気になる。