>>563 続き ※絵露有無:無 ※今回は日記です

〜ひじきの日記〜

2023年3月18日 雨

朝もやの中、僕はひとり、お花畑を歩いていた。
すると、遠くから家族連れが歩いて来た。
よく見ると、それは内無良公平ときのと僕の3人の子供たちだった。
僕は「きの!」と叫ぼうとしたが、声が出ない。
この瞬間、僕は金縛りに遭ったことに気付いた。
きのたちは固まる僕に目もくれずに幸せそうにお花畑を歩いていく。
5人は一緒にお花見をしているようだ。
「見てごらん!早咲きの桜が咲いているよ!!」
内無良公平が子供たちに優しく話しかける。
子供たちは「キレイ!!」と目を輝かせて辺りをウロチョロ走り回る。
きのは少し不安そうに子供たちに尋ねる。
「新しいパパはどう?」
すると、ハニエルが大声で「サイコー!!」と叫ぶ。
つられて、ひのきも「シャイコー!!」と叫ぶ。
末っ子でまだ0歳児のえのきも「ダァ!!」と同調する。
どうやら、新しいパパこと内無良公平は
子供たちの絶大な信頼を得ることに成功したようだ。
子供たちのリアクションを見たきのは心底ホッとした表情で
「わぁ、良かった!
 新しいパパ、とってもステキな人でしょ?」と重ねて子供たちに尋ねると、
子供たちは「うん!!」と元気にお返事する。
「きの、いつから子供たちのパパが内無良公平になったんだい?
 僕は君と離婚した覚えはないよ!!
 もちろん、そのつもりも1ミリもない!!
 ヤツは妻子ある身だ!!
 これは不倫だぞ!!
 分かっているのか!!?」
と、きのに叫ぼうにも声が出ない。
きのたち5人は近くのベンチに腰掛ける。
「東京はホワイトデーの日に桜の開花宣言があったんだって」とか何とか喋りながら。