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1957〜1987年あたりの本格ミステリ作家達 4
0001名無しのオプ
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2010/09/24(金) 22:33:43ID:tbMTY///
落ちてたようなので、初代スレ3氏他多くの方々の帰還を願いつつ立て直してみますた

過去スレの>>1さんの主旨です
>清張以降綾辻以前の本格ミステリは、泡坂・島田・笠井・連城・東野・岡嶋などといった一部を除いて絶版が多い。
>また、名前は知られていても本格ミステリ作家としての認知度が低い作家も多い(笹沢・西村・森村等)。

>この時期に活躍した本格ミステリ作家達のうち専用スレがない作家達の傑作・駄作を紹介して下さい。
>(要するに「ミステリーズ」でやってた「本格ミステリフラッシュバック」のようなものです)

過去スレ
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1143140545/
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1195364956/

前スレ
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1237095365/
0101名無しのオプ
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2011/02/28(月) 23:37:30.29ID:Pqq8Aw6W
図書館なら置いてるんじゃないか
0102名無しのオプ
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2011/03/24(木) 20:57:39.86ID:zKd4SxAX
3氏は、ご無事でいらっしゃるのだろうか?
0103初代スレの>>3
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2011/03/27(日) 09:01:53.71ID:SQx9LAYg
ハイ、元気です。計画停電と通勤電車の間引き運転には閉口してますが・・・。

池田雄一「『北斗星1号』DXロイヤルの殺意」(トクマノベルス)★★☆
1988年の長編。
北海道で発生した連続通り魔殺人事件。被害者はいずれも若い女性だった。一方、東京で商社マンの
妻による万引き事件に遭遇した警視庁捜査三課の女性刑事は、事件の背景を調べるうち、北海道の事
件が密接に絡んでいるのではないかと追及を開始した。果たして万引き女の夫が犯人なのか・・・。
うーん、真犯人の隠し方、特に或る人物の思わせぶりな描き方による誤誘導が上手くいっており、ラ
ストでは結構驚かされましたが、どうもストーリーが通俗というか低俗というか・・・。
確かにストーリーの構成上、死角にある真犯人を設定した点は評価できるのですが、何か釈然としな
い思いが残る作品といったら良いでしょうか・・・。
0104初代スレの>>3
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2011/03/27(日) 09:05:10.30ID:SQx9LAYg
日下圭介「UFOの来た夜」(光風社ノベルス)★★★☆
秋田か津軽と思しき東北地方の小都市で、地方紙「東北日報」の支局に勤める記者・峻を主人公にした、
1977〜79年に断続的に発表された作品を収めた連作集。
第1話「賢者の陰謀」は、老人の団体旅行で、走行中のバスから忽然と姿を消した男の謎。現場には下水
処理場を建設する計画が持ち上がっており、また事件の関係者は、別の詐欺事件にも関わっているらし
いのだが・・・。伏線やヒントがストレート過ぎるので、解決は容易でしたが、消失トリックは納得でき
るよう配慮されています。先ず先ずの作品。
第2話の表題作は、小学生から、山の頂上付近にUFOが飛ぶの見たと通報を受けた峻。隣家の女性も
見たというのだが、彼女は、何かを隠しているらしい・・・。UFO騒ぎを起した真相や動機のヒネり方が
上手いです。
第3話「雪の底から子守唄」は、無医村だった寒村に若い医師が赴任。マタギだった男の娘が襲われるが・・・。
峻が通うスナックに勤める、レギュラーメンバーの利恵が活躍しますが、レッドヘリングの設定が上手く
いっていない。しかし終盤のドンデン返しや些細な伏線はなかなかのもの。
第4話「元気な死者」は、板前が店の常連客に誘われて自宅へいったところ、喧嘩となって相手を殺して
しまう、だが翌日、相手はちゃんと生きていることを知る。果たして幻覚だったのか・・・。これは真相
とメイントリックにやや無理がありますね。どこかでバレてしまうよなあ。
以上、新聞記者だった作者らしい作品ではありますが、やはり記者出身の作家たち、三好徹「天使」シリ
ーズ、伴野朗「野獣」シリーズ、そして中津文彦「三四郎」シリーズなどといったブンヤ物の連作と同傾向
の作品で、特に伴野の「野獣」シリーズとは、同じ東北地方が舞台であることや、バイクに乗って事件を
追うなど、共通点が多いですね。しかも同じ角川書店で出版されていますが、書かれた時期は日下の方
が早いようです。また謎解き趣向としても、日下の方が上でしょうね。
0105初代スレの>>3
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2011/03/27(日) 09:10:42.62ID:SQx9LAYg
高柳芳夫「京都『時代まつり』殺人事件」(トクマノベルス)★★☆
1990年、推理作家・朝見大介が探偵役となるシリーズの長編。
京都、時代祭の最中に、巴御前に扮した女子大生が謎の毒殺を遂げる。被害者の婚約者は、朝見が
講師を勤める音楽大学の若手理事だった。結婚に気の進まなかった被害者との間に何があったのか、
朝見は不審な言動をみせる理事が犯人ではないかと追及するのだが、彼にはアリバイがあった。更
に、東京に戻った朝見の勤める音楽大学キャンパスで、第二の殺人が起こる・・・。
毒殺トリックなり、大学キャンパスでの死体移動なり、トリックにこだわりを見せるのは良いので
すが、派手さに欠けるというか、解明のプロセスが面白くないというか・・・。終盤の二重のドンデン
返しも滑り気味、おまけにラストの脳天気さは一体何なんだw
朝見が教え子たちに向ける感情も、カタブツの作者のためか抑え気味ですが、絵に描いたような中年
オヤジのスケベ心が隠しきれず、どうにもこうにも・・・。
作者が筆を折る直前の作品のようですが、或いは作者自身も、この手のミステリを書くことに嫌気が
さしていたのかも知れませんね。特にラストの好い加減さは、作者の皮肉なのか、出版社とひと悶着
あった結果なのか・・・。凡作でしょう。
0106初代スレの>>3
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2011/03/27(日) 09:19:53.48ID:SQx9LAYg
夏樹静子「目撃−ある愛のはじまり」(光文社文庫)★★☆
1975年の初期長編。
桂木麻子は夫の勤める会社の公害問題を調査して会社と対立関係にある医大教授と不倫の関係にあった
が、密会の帰りに殺人事件の犯人らしき男を目撃してしまう。警察に話せば自分の不倫が明るみに出て
しまうというジレンマに陥るが、一緒に容疑者を目撃した少年が襲われたことを知って、匿名で警察へ
投書する。しかし、容疑者とみられる男もまた殺され、その現場近辺にいたことから、麻子は窮地に
陥ってゆく・・・。
うーん、ヒロイン・麻子の周辺の動きと、事件の真相に関わる人間関係との繋がりが上手く融合できて
いないような・・・、って、これは一種のミスディレクションなのかなあ。ヒロインの動きから、当然、事件
の中心には××××が関わっている、と読者に誘導させておいて、実は・・・、という意外性を出そうと
したのか。傑作「天使が消えてゆく」で追及された或るテーマのバリエーションを、今回もまたヒロイン
に託して、と思っていたら・・・、という辺りがポイントということでしょうかね。
でも、いわゆる本格ミステリの謎解きとしてはどうでしょうか。死体処理に関する思い切ったトリック
も使われているけど、その謎を前面に押し出して追及している訳でもないし、どこか冗長になってしま
った印象が否めないですね。但しラストシーンは、この作者の作品中でも屈指の名シーンだとは思いま
した。
0107初代スレの>>3
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2011/03/27(日) 09:30:37.44ID:SQx9LAYg
横溝正史「魔女の暦」(角川文庫)★★
1959年の金田一・東京ものの通俗長編の表題作に、1958年の中編「火の十字架」を併録。
先ずは表題作。浅草のストリップまがいのレビュー小屋・紅薔薇座で起きた連続殺人事件。三人の魔女
に扮したストリッパーが相次いで殺される。乱脈を極める複雑な人間関係の中、犯行予告を受け取って
いた金田一耕助の推理や如何に・・・。
或る有名な古典作品のトリックをメインに据えて、一人二役やら保険金に関する伏線やら、まあ色々と
トリッキーな趣向もあるのですが、話自体が低俗過ぎるなあ。ただ犯行動機は少々ヒネッており、工夫
の跡は見えると思いますが・・・。
「火の十字架」も似たり寄ったりのお話で、三人の情夫にそれぞれ劇場を経営させている女傑のストリッ
パーがヒロイン。情夫の一人が顔を潰されて殺されてしまう。彼らを恨んでいる復員者の仕業か・・・。
金田一耕助にまたも犯罪予告状が届くが、こちらはバレバレとはいえ、真相に関わる工夫がされています。
またヒネりが足りないとはいえ、いわゆる「顔のない死体」トリックに電話のトリックなど、いくつもトリ
ックは散りばめられてはいます。でも話全体の低俗さが、謎解きの面白さを減殺してしまっているのが
残念。
2作とも、基本的な骨格は「本格」なのですが、ストーリーや題材などに問題があり、凡作としか言えない
でしょう。
0108名無しのオプ
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2011/04/02(土) 08:57:49.52ID:YOM0GfaY
3氏、ご無事でなによりです。
すっかり過疎ってしまいましたが、潜在的な住人はいると思うので、今後もお願いします。
東京ものの金田一もの、もし「貸しボート13号」を未読でしたら、試してみてください。
あれは傑作だと思うので。
0109初代スレの>>3
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2011/04/10(日) 09:14:06.91ID:6Oi7KuOl
「貸しボート13号」、懐かしいですね。三十数年前の中学生の時に読みました。内容はほとんど忘れ
ていますが・・・。

島田一男「赤い影の女」(春陽文庫)★★★
1959年の中編2作収録、これは「フラッシュバック」紹介作。
表題作は、新宿駅に婚約者を迎えに行った男がすれ違いで会えず、代わりに知り合ったファッション
モデルをマンションまで送ったところ、殺人事件に遭遇して・・・、というお話。些細な伏線は効いてい
ますが、やはり通俗的なサスペンスといった趣の作品。
もう一編の「山荘の絞刑吏」が、評判どおりの佳作。強盗事件を起こし、海外に逃亡していた男が、時効
まであと十日余りを遺して帰国、信州の山荘に身をひそめる。だが警視庁の警部が山荘を訪ねてくる
ことを知り、実は既に宿泊客に紛れて、警部は来ているのではないか、と疑心にかられた男は、それ
らしき男を射殺してしまう。だがその後、殺したはずの男を見かけたという話を聞いて混乱する中、
第二の殺人が起きてしまう・・・。
犯人による探偵捜しの趣向に、もう一つの事件のフーダニットを絡ませた意欲作です。正体不明の警
部が誰なのかもさることながら、もう一方の事件における犯人の思惑も絡んで、楽しませていただき
ました。話の内容が古めかしいのは仕方のないところでしょう。
0110初代スレの>>3
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2011/04/10(日) 09:18:14.09ID:6Oi7KuOl
アンソロジー「『エロティック・ミステリー』傑作選」(光文社文庫)★★★★
よみがえる推理雑誌シリーズの一冊。1960〜64年に、「宝石」誌から独立して刊行された雑誌「エロ
ティック・ミステリー」誌の掲載作を収録。時期的に、「宝石」誌の晩年期の作家群とダブッており、
なかなか興味深いラインナップです。
収録作のうち、傑作は次の2作に止めを刺しますね。
先ずは、土井稔「青田師の事件」。大阪・泉州の農村で起きた溺死事故。だが村の駐在巡査は他殺なので
はないかと疑う・・・。文章、構成とも、他の作家からは一頭地抜けた上手さ。大阪弁のトボけた味わい、
特に、孫娘に探偵小説を読んでもらっているという婆さんの推理がケッサク。「毛唐の女流作家の作品
に出てくる名探偵・ポン太郎」って・・・、そりゃポワロだw
あと、カナリヤ殺人事件の作家・伴団右衛門・・・。ヴァン・ダインも形無しだな。しかも真相はなかなか
にトリッキーで本格ミステリ短編としての完成度も高い。ベストでしょう。
次いで、奈良時代の風土記編纂に取材した歴史ミステリ、鈴木五郎「童子女松原」も傑作。常陸の国の
風土記を編纂する過程で浮かびあがった伝説の真相。本格ミステリというレベルではないが、この
作品の格調高さは、やはり他の作家の作品からは抜きんでた出来栄えです。
その他、福田鮭三「喪妻記」△、縄田厚「いたずらな妖精」△、はサイコホラー風の作品。この作者
の作品では、「宝石」誌で読んだ「鍾馗殺人事件」の方が良いですね。
藤原宰「キャッチ・フレーズ」○、作者はもちろん、藤原宰太郎。倒叙物ですが、犯人特定の手掛
かりがイヤミなくコンパクトに決まる佳作です。
島久平「怪物」○、伝法探偵もの。消失トリックはバカミスですが、なかなか味わい深い作品。
宮原龍雄「葦のなかの犯罪」△、満城警部ものの作品ですが、この作者にしてはトリッキーな趣向
が弱いですね。
0111初代スレの>>3
垢版 |
2011/04/10(日) 09:25:58.17ID:6Oi7KuOl
(承前)
後藤幸次郎「湖畔の死」△、アリバイものですが、謎解きよりも、昭和30年代の若者、六本木族の
生態が興味深い。
田中万三記「敗れた生簀」△。天草諸島を舞台にした作品ですが、謎解きとしては弱い。
楠田匡介「湯紋」○、温泉の密室趣向よりも、犯人の意外性がスゴい。
来栖阿佐子「疑似性健忘症」○、物忘れが酷くなり、婚約者と別れた女性。実は・・・。なかなか
シャレた味わいで、当時のサラリーマン社会の一端が興味深い佳作。
会津史郎「私は離さない」○、何よりもオチの凄まじさ、これは予測できなかったw
千葉淳平「静かなる復讐」○、探偵事務所に勤める若い女性が主人公。或る調査を切っ掛けに、思
わぬ事態に巻き込まれる。実は・・・。ラスト、凄惨なオチと見せかけて爽やかに切り抜けるオチ
が見事。事件の真相に関する伏線はダメですが。この作家も「宝石」誌で「13/18.8」と
いう密室物の作品を読んだことがあります
渡島太郎「走る“密室”で」△、走行中のバスで起きた刺殺事件。乗客に不審な者はおらず、バス
の外部から刺すのも不可能。果たして真相は・・・。まあまあでしょうか。
有村智賀志「ライバルの死」△、何と日教組の活動華やかなりし頃の、主流派と反主流派の争いを
題材にした作品。この当時から、組合活動に関するシニカルな視線ってあったんですね。謎解きは、
ちょっとした言葉の手掛かりによるもので、大したものではないです。
全体的に、解説にもあるように、1960年代ということもあって、このシリーズの他の巻と比べると、
今読んでも、それほど古さは感じませんでした。特に、「青田師の事件」と「童子女松原」の短編ミス
テリとしての完成度の高さは特筆すべきもの。この2作を読むだけでも価値があります。
0112初代スレの>>3
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2011/04/10(日) 09:32:03.94ID:6Oi7KuOl
大谷羊太郎「三角形(トライアングル)殺人事件」(トクマノベルス)★★
1982年のノンシリーズ長編。
政治家の屋敷で起きた政治資金強奪事件。三人のガードマンや秘書らで警戒していたにも関わらず、
犯人は袋の鼠のはずの屋敷から不可解な消失を遂げてしまった・・・。
一方、同じ頃に起きた、若い女性ばかりを狙った連続殺人事件。現場には何故か三角形に切り抜い
た紙片が残されていた。被害者は互いに関連がなかったのだが、それぞれの事件の現場等を地図上
で結びつけると、正三角形が描かれるという不可解な謎が。これは犯人が意図したことなのか。だが
事件は迷宮入りとなり、この事件で妹を殺された永田夕紀子は、警察庁の犯罪被害者補償セクション
に転職し、仕事の傍ら、事件の真相を追っていた。やがて六年の月日が経った或る日、やはり事件を
別の角度から追及していた若尾という男が現れ、事件の更に意外な謎を夕紀子に告げる。夕紀子は、
同僚で、暴力行為で捜査一課を左遷されてきた有坂刑事とともに事件の再捜査を始める。だが再び、
無差別通り魔殺人事件が勃発することに・・・。
現金強奪事件と連続殺人の繋げ方が非常にギコチないですね。説明の仕方が余りにもご都合主義とい
うか、中盤も過ぎてからあんなに色々な関係者を出してきて辻褄を合わせても読者は白けるばかり。
一応、ラストでドンデン返しを迎えますが、真犯人だってバレバレ、それしかないだろ、というお粗末。
「フラッシュバック」では、ミッシングリンクと探偵役に関して評価されていましたが、全くダメ。
色々なところに立ち現われる「三角形」の見立ても、作者だけ「スゴいだろ」と力んでいるばかりで、
読者は置いてけぼり・・・。
本作で評価できるのは、真犯人が六年経ってから再び連続殺人を起した動機ですね。これは意表をつい
たもので感心しました。
0113初代スレの>>3
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2011/04/10(日) 09:43:10.26ID:6Oi7KuOl
有馬頼義「四万人の目撃者」(双葉文庫)★★★☆
1958年の探偵作家クラブ賞受賞作長編。
プロ野球チーム・セネタースの四番打者・新海が試合中に頓死。たまたま球場にいて現場を目撃した
高山検事は死因に不審なものを感じ、独自に調査を進めるが、他殺の証拠を掴むことは出来なかった。
だが新海が出資する喫茶店の支配人・嵐鉄平や、新海の死後、レギュラーになった矢後選手、その婚
約者で新海の妻の妹・長岡阿い子らは何かの秘密を抱えているらしい。高山検事は知り合いの笛木刑
事とともに執念深く真相を追及するのだが・・・。
「本格」とは言い難いのですが、カン頼りとはいえ、高山検事の地道な捜査や、登場人物がなかなか魅力
的で面白く、一気に読み通すことができました
全く痕跡を残さない毒殺の真相は肩透かしだし、結末にも意外性はないのですが、本作以前の「本格」と
も、また、その後の「社会派」作品とも違う、どこか変わった雰囲気と魅力を持った良作だと思います。

三好徹「聖母の復讐」(徳間文庫)★★
1983〜87年に発表された、写真週刊誌の契約カメラマンである「私」を主人公とした連作集「聖母」シリーズ
の第1作。名作「天使」シリーズの雰囲気に近いかと期待して読み始めましたが、さて。
先ずは第1作の表題作。芸能界の麻薬スキャンダル。保釈された歌手を「私」は追うのだが、マネージャ
ーが殺されてしまう。真相は意外なことに・・・。意外性はありますが、やや伏線が不足気味。
「聖母の肖像」も事件の解明が余りにも急転直下すぎて・・・。
その他、「聖母の伝説」、「聖母の賭け」、「聖母の悪党」、「聖母の情事」、「聖母の失踪」の全7編。
いずれも意外性のある結末が待っていますが、伏線とか謎解きの手順が粗すぎて、高い評価はでき
ませんね。こうして比べてみると、「天使」シリーズの方は、最低限の「本格」の手順ぐらいは一応
守っていたんだなあ、と改めて思いました。
0114名無しのオプ
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2011/04/27(水) 18:17:18.37ID:RoIeQAnV
>>111
シニカルな視線も何も、日教組に反発した保守派の教員組合ができたのは1957年だよ。
その教団連が分裂したのが1960年代なので、主流派と反主流派の争いが描かれていたとしたら
教団連もモデルにしているのかもね。
0115初代スレの>>3
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2011/05/01(日) 10:09:38.61ID:oqilwguX
取りあえず、タイトルと評価だけ記載します。
若山三郎「オフィス殺人事件」(1987年、青樹社ビッグブックス)★
山崎洋子「三階の魔女」(1989年、講談社文庫)★★★★
藤原審爾「ろくでなしはろくでなし」(1974年、角川文庫)★☆
0116初代スレの>>3
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2011/05/01(日) 10:15:46.24ID:oqilwguX
梓林太郎「南アルプス殺人事件」(1985年、廣済堂文庫)★
森村誠一「砂の碑銘」(1976年、廣済堂文庫)★★☆
司城志朗「絶望からの銃弾」(1989年、大陸ノベルス)★★
0117名無しのオプ
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2011/05/02(月) 21:25:24.51ID:Put4Vf59
詳細は後日、を期待してます。
山崎洋子の「三階の魔女」の表題作は、昔、アンソロジーで読んで面白かった
記憶がありますが(推協賞の候補作でしたね)、どうやら短編集自体、傑作の
ようですね。捜してみます。
0118名無しのオプ
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2011/05/06(金) 23:59:46.09ID:ckl1G1H1
アガサ・クリスティ殺人事件てどう?
0120名無しのオプ
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2011/05/07(土) 10:37:54.97ID:9JukE05M
>>118
オリエントの意外な真相っていうのも、新しいミステリを読みなれてると正直拍子抜けで、
そこに至るまでの、ミステリ部分以外の作者のインド語りに付き合うのがしんどかった。
0121名無しのオプ
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2011/05/07(土) 20:43:41.13ID:gEZgFKW6
幻影城連載時に読んでいた身としましては
内容よりも掲載誌休刊のショックのほうが大きかった
忘れたころにNONノベルスで出たときは嬉しい驚き
速攻で買って読みましたけどね
読後感は…うーん
河野典生はやっぱりハードボイルドですかねえ
0122名無しのオプ
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2011/05/07(土) 22:15:17.46ID:PenPOVKt
>121
同士がいたw
「歌う男」という仮題での予告や、最終号の島崎編集長の、奥歯にもののはさ
まったようなコメントも忘れられない。
作品自体は、まあ・・・ね。
0123初代スレの>>3
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2011/06/23(木) 12:38:08.83ID:hnSRCROu
平岩弓枝「釣女」(集英社文庫)★★☆
1965〜1976年に断続的に描かれた、幕府目付・遠山景晋の密命を受けた花房一平の活躍を描く
捕物帳シリーズ。
「花の咲く日」では、瀕死の主人が大事な物をどこに隠したか、というトリックが使われ、表題
作では、京都御所を監督する役所の不正行為を調べるべく花房一平が上洛、そこで出会った謎
の美女の正体は・・・、という意外性が、また、長崎の唐人町を舞台にした「彩舟流し」では、トリ
ック自体は素朴なものですが、その場面の描写で、ちょっとした叙述上の仕掛けがあり、楽し
めます。
但し、残りの「子を思う闇」、「桜の下で」「呪いの家」は、謎解き趣向が弱くて、江戸の風物等の
描写に重点が移っておりミステリとしては薄味になっています。
0124初代スレの>>3
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2011/06/23(木) 12:40:31.63ID:hnSRCROu
笹沢左保「まぼろしの旅路」(角川文庫)★★
1979年の長編。
外科医・一ノ瀬の妻・理絵が日本全国を旅行中に福井・若狭湾で自殺。一ノ瀬は9年前に起きた
轢き逃げ事故で病院に収容された縁で理絵と知り合い結婚していたのだが、どうやらそれ以前の
彼女の過去に秘密があるらしい。一ノ瀬は妻の旅行先を訪ねて、自殺の真相を知ろうとするのだ
が、何者かが先回りして、妻の秘密を知る関係者を殺し始める・・・。
うーん、謎の真相が中盤辺りで全て丸分かりになっておしまいました。雑誌「旅の手帖」に連載さ
れたからなのか、一般読者向けというか、旅行好きの読者向けのサービスといった趣きのお話。
一ノ瀬の行動を察知して殺人犯が先回りできた理由も簡単に推測できるし、序盤の或る場面の描
写も空々しいことこの上ないですね。まあ作者も謎解きを志向して書いたものではないのでしょ
うが・・・。
0125初代スレの>>3
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2011/06/24(金) 12:32:26.50ID:QknSyruD
出久根達郎「むほん物語」(中公文庫)★★★
1992年の連作集。
古書業界に突如現れた「笈の角文」という、江戸時代の貸本屋による日記。もしかしたら偽書
ではないのか、二人の古書店主がその来歴を探ろうとするのだが、彼らの調査の行く手には
次々と不可解な出来事が起こる。一体、「笈の角文」に隠された秘密とは・・・。
古書店主二人の軽妙なやり取り、地口、洒落に溢れた日記、古書業界の長老による昔話、電話
の会話のやり取り、痴呆気味の老人による通訳を交えた談話など、様々な文体による作品が展
開され、やがて明らかになるのは、大塩平八郎の乱に絡んだ秘史と、二軒の老舗古書店による
暗闘の歴史。いわゆる「信頼できない語り手」の手法を存分に使っており、「叙述トリック」とは
言えないものの、どこまでが真実なのか、読み終わっても定かではない話が続いた揚句、いき
な読者を外に放り出して終了するという、非常に風変りな作品。その点は楽しめたとはいえ、
やはり「本格ミステリ」とは言い難いですかねえ・・・。
0126名無しのオプ
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2011/06/25(土) 09:31:19.22ID:3HJHTogM
平岩弓枝・・・まったく眼中に無い作家でした。
さすがに点数は低いようですが、3氏の探求心には脱帽します。
ところで、「御宿かわせみ」って、ミステリ要素があるんでしょうか?
読んでる人、誰かいます?
0128初代スレの>>3
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2011/06/30(木) 12:43:47.76ID:Gr6bFAXE
若桜木虔「死者のデビュー曲」(文化出版局ポケットメイツ)★★
1980年の中高生向けジュブナイル長編。
売れっ子作曲家の津田が殺人の容疑で逮捕された。無実を信じる弟子でアイドルの卵・順子は、友人で
弁護士事務所に勤める珠貴に助けを求め、珠貴は師匠の弁護士・長安とともに調査に乗り出す。被害者
は歌手志望の女性で、盛んに売り込みをかけていたらしい。ライバル作曲家やトラブルのあったレコー
ド会社らによる陰謀ではないかとも思われたが、彼らにはアリバイがあった。やがて珠貴らは、被害者
とその姉が世話になった元代議士の一家に疑いを持ち始めるのだったが・・・。
真犯人の意外性と、古典的な或るトリックによるアリバイ工作に挑んでいますが、伏線や手がかりの殆
どが後出しで、「実はこうだったのだ」と言われてもなあ・・・。そもそも、真犯人があんな面倒なトリック
を施した必然性が無いし、無理があり過ぎますね。
評価できるとすれば、被害者の衣服に関する伏線でしょうか。これは読者、特に男性読者の盲点を突く
もので、へえ、そうなんだ、と感心しましたが、感心したのはそこだけ。駄作、と切り捨てるほどでは
ないが、凡作とも言えないでしょう。
0129名無しのオプ
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2011/07/01(金) 17:43:26.86ID:/7lWpLFl
まさか馬鹿詐欺作品の感想を読めるとは…ありがたやありがたや
0130初代スレの>>3
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2011/07/04(月) 12:24:02.00ID:1KD7FBul
黒木陽之助「逆光のブルース」(春陽文庫)★★★☆
内容から1968〜70年頃の作品でしょうか。当時ブームだったグループサウンズを題材にした芸能界
物の長編。
人気GS、ザ・サイケデリックスのヴォーカリスト・サニーがライブ中に毒殺される。本番直前に
楽屋で飲んだ栄養剤に毒薬が仕掛けられていたらしい。だがその薬は、別のメンバー風見の常用薬
だった。犯人が狙ったのは風見だったのか。学生時代にサックスを吹いていた白石刑事と老刑事・
中島のコンビが事件を追及するのだが・・・。
白石・中島刑事のコンビの設定が意外とシッカリしており、捜査の過程も手堅いし、中盤での毒殺
を巡る刑事コンビの推理合戦なども面白く、こりゃ掘り出し物かな、と思って読み進めましたが・・・。
全体に伏線不足であり、せっかくのラストのドンデン返しの連続が活きていません。とはいえ、スト
ーリーの構成や、刑事コンビの造形が丁寧に作られており、また毒殺の真相の伏線だけはバッチリ決
まっています(バレやすいかも)。傑作とは言い難いですが、一読の価値はあります。
0131初代スレの>>3
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2011/07/04(月) 12:26:09.13ID:1KD7FBul
森村誠一「シンデレラスター殺人事件」(双葉文庫)★★
主として中高生向けジュブナイル作品を収めた1970年代の短編集。
「本格」として一応見るべきものは、山岳物で、登山ならではのアリバイ工作を扱った「腐った山脈」、捜査陣
も一緒に豪雪に閉じ込められるクローズド・サークルの変形「雪の湖殺人事件」、鉄道アリバイ物の推理
クイズ「545M列車の乗客」といったところ。
残りの表題作や「殺意の交差路」、「歪んだ構図」は出来が今イチ、というか子供騙しのレベル。
0132初代スレの>>3
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2011/07/11(月) 12:26:48.26ID:nhzYuRvw
邦光史郎「幻の日本原人」(徳間文庫)★★☆
歴史評論家・神原東洋を主人公とする、1976年の「幻の・・・」シリーズ第5作。
テレビ制作会社のプロデューサー松坂は、日本原人の特集番組を企画していたが、スポンサーの強引な
主張で、当時、広島県・比婆山で目撃が相次いでいた謎の動物ヒバゴンを追う番組に変更させられる。
そのロケの最中に、元モデルの女性社員がヒバゴンらしき怪物に拉致され、心臓発作で死亡する事件が
発生。更にロケに参加していたスタッフが失踪の末、死体で発見される。更に第三の事件が起き、松坂
は事件の渦中に巻き込まれてゆく・・・。
うーん、古典的なトリックによる真犯人の意外性も考慮されていますが、このトリックは法医学的には
無理、バレるに決まっているでしょうね。
ただ、第三の事件、「男女の無理心中と思われるのに、死体が一つしかないのは何故?」で神原が示した
推理とその後の展開など、かなり「本格」を意識した構成にはなっており、凡作ではありますが、切り捨
てるほどではないと思います。
0133初代スレの>>3
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2011/07/11(月) 12:28:23.68ID:nhzYuRvw
津村秀介「洞爺湖殺人事件」(講談社文庫)★★☆
浦上伸介物にして「湖」シリーズの1989年の長編。
北海道・洞爺湖畔で起きたサラリーマンの刺殺事件。被害者は何者かに電話で呼び出されたのだが、
彼の妹もまた一年前に刺殺され、迷宮入りとなっていた。どうやら、妹の事件の真相を掴んだもの
の、犯人に返り討ちにあったらしい。浦上は、容疑者を二人に絞るのだが、一方の容疑者は事件発
生時、九州におり、もう一方は寝台車「北斗星」で北海道に向かう途中だったという、鉄壁のアリバイ
があった・・・。
いつものパターンである交通機関がらみのアリバイ工作以外に、切り札として、思いきった着想が
用意されており、作者も冒頭の描写などにトリッキーな趣向を凝らしていますが、残念ながら不発
ぎみ。落ちついて良く考えれば、すぐにバレる子供騙しのレベル。浦上や先輩の新聞記者は騙せて
も、警察の前では何の効力もないでしょうね。作者自身も承知の上で、結末で言い訳してはいます
が、やはり冴えているとは言い難いですね。
まあ作者も、いつものアリバイ工作以外に新趣向を、と努力したことは認めますが・・・。
0134初代スレの>>3
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2011/07/22(金) 12:21:24.03ID:yXqorKVx
野村正樹「八月の消えた花嫁」(集英社文庫)★★★★
1989年の長編第3作。デビュー作「殺意のバカンス」(★★初代スレ参照)は、全共闘世代の勝手な価値観
を押しつける悪作でしたが(但し、トリックなどは練られていました)、同じ登場人物が探偵役となる
本作は、果たして・・・。
雑誌社の懸賞旅行に当たった加奈子はタヒチへ。ツアーの一行には著名なエッセイスト夫婦、下心のあ
りそうなカメラマン、少女時代に両親が悲惨な死を遂げ、その復讐を誓う女性、更には訳ありの不倫カ
ップルなどもいて、早くも波乱含みの予感。カメラマンの川越が落下したヤシの実に当たって死亡する
事故が起き、エッセイストの妻の溺死事故も起こる。更に帰国したメンバーを狙って、遂に殺人事件が
勃発。加奈子は恋人の速水とともに事件の追及に乗り出したが・・・。
同じ年に出た本岡類「ウブドの花嫁」(★★☆初代スレ参照)もまた、バリ島でのバブルな海外旅行を題
材にしたミステリでしたが、まさにバブル絶頂期、今読むと相当に恥ずかしい場面もチラホラしますが、
それに目をつぶれば、些細な伏線、特にヤシの実殴打事件の凶器や南十字星のエピソードなど、なかな
か侮りがたい出来栄え。またダイイングメッセージのヒネり方や毒殺トリック、ラストのドンデン返し
も計算されており、かなりの良作です。
0135初代スレの>>3
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2011/07/22(金) 12:23:35.88ID:yXqorKVx
鎌田敏夫「白い帽子の女」(角川文庫)★
1983年の長編。明治時代、日本最初の女探偵の活躍を描くミステリ。
明治時代末期の東京。浜松から出奔して、私立探偵事務所を営む村木のもとに弟子入りした宮野英子。
謎めいた女性から、浮世絵の春画に描かれたモデルの主を探してほしいとの依頼を受けたことから連
続殺人事件に巻き込まれてゆく。手始めに春画を描いたと思しき画家が殺され、更には関係する戦争
成金らが宴会の最中にフグの毒で死亡し、調理師が逃亡の末、自殺。一体、」事件の真相とは・・・。
うーん、ずいぶんとエログロな描写もあったりして、その癖、謎解きの構成が脆弱ではないかとも思っ
たのですが、結末は・・・。
ああ、ダメだ、こりゃ。謎解きの基本がまるで出来ていない。行きあたりばったりも良いところで、伏
線や推理の要素など殆どない。ただの小説としても非常に貧弱。悪役の程度も低いし、ヒロイン以外
の登場人物の造形もまるでダメ。
一点だけ、「あの犯人はどうやってアレを行えたのか?」に関する物理的なトリックとその伏線に少々
感心しただけ。他は採るところ無し。著名な脚本家なのに、小説はこの程度なのか。駄作ですね。
0136名無しのオプ
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2011/08/07(日) 15:27:19.45ID:zTj1Vju8
何だろう、>>134のタイトルだけはどっかで聞いたことある感は。
ぐぐってみたけどドラマ化されたものも知らないし。
0139名無しのオプ
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2011/08/07(日) 19:09:59.78ID:BMteToM1
「殺意のバカンス」は本田美奈子だな
0141初代スレの>>3
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2011/08/10(水) 12:26:32.62ID:iTH+Jqv9
小峰元「ヘシオドスが種蒔きゃ鴉がほじくる」(講談社文庫)★★★
1981年の連作集。
兵庫県・宝塚市近郊の宝谷村。地元の高校三年生、「おれ」こと「豪商」、寺の跡取り息子「法王」、芸大
を目指す「画伯」の三人組の身辺で巻き起こる怪事件の数々。三人組を向こうに回して名推理を披露
する「豪商」の祖母、「バアチャン」の活躍や如何に。
相も変わらず、「大人が脳内で妄想した、スレた高校生像」の、同時代からのズレ具合が気になります
が、今回はアクの強いキャラもなく、主人公は「バアチャン」の方なので、違和感は少ないですね。
各エピソードは、アリバイ工作、足跡のない殺人現場と感電死の謎、誘拐事件のヒネッた顛末など、謎
解き趣向の強い作品が多いのですが、各エピソードが短く、伏線があからさまだったりするのは残念で
すね。
とはいえ、この作者の作品では初の、先ず先ず楽しめる作品でした。解説の風見潤も、新本格登場以前
にして、風太郎「おんな牢秘抄」やE・D・ホックに言及したりと、レベルの高いものでした。
0142初代スレの>>3
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2011/08/10(水) 12:30:08.80ID:iTH+Jqv9
伴野朗「暴露(スクープ)」(祥伝社ノンノベルス)★★☆
秋田市と思しき東北の町で新聞記者を勤める「俺」を主人公とした「野獣」シリーズの、主に1989〜90年
に発表された作品を収めた連作集。
「愉快犯」○、町の自動販売機に置かれたドリンク剤に毒が混入され、三人が相次いで死亡。「俺」は
無差別殺人ではなく、隠された真相があるのでは、と疑うが、被害者には何の繋がりも無かった・・・。
トリッキーなのは良いですが、短い枚数では伏線がバレバレだなあ。
「悪夢の殺人」○、就寝中に悪夢にうなされ、隣に寝ている妻を絞殺してしまった男。だが実は・・・。
これもトリッキーなんですが、フェアな描き方のため全て丸分かり。
「背負い地蔵」○、中学生が自殺を装って絞殺される。二人の容疑者はいずれも手をケガしており、被害
者を絞め殺すことは出来なかった・・・。J・D・カーや横溝の某作品にもあるトリックの、ローカルな
ネタが楽しい。
残りの「香水の罠」、「アル中の女」、「危険な心中」はいずれも出来が悪く、△。
巻末には番外編で、作者本人が「俺」に出会うという趣向の「バー『ヘレン』で」を収録。
全体的に、トリッキーな作品も多いのですが、枚数が短いところにフェアに伏線を張ったため、読者に
感づかれ易くなってしまったのが残念。
0144名無しのオプ
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2011/08/14(日) 16:43:31.17ID:WIq2gxHY
>>142
3つ目、確か愛川晶にその手口があるので、それ読んでたらタイトルでバレバレな気が・・・
0145初代スレの>>3
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2011/08/19(金) 12:50:56.00ID:DjBNWD71
雑誌「幻影城」(1976年5月号)★★☆
「新人賞作家競作」特集では、何と言っても泡坂「右腕山上空」◎。他の作品とレベルが違いすぎます。
説明不要ですね。
筑波孔一郎「懸賞小説」△、作者自身と「幻影城」新人賞そのものを題材にした作品ですが、凝った割
に謎の設定が唐突で粗い。
宮田亜佐「白い釣瓶」△、土地買収に携わる不動産会社社員の死。古臭く、やっつけ仕事も良いところ。
滝原満「旅立ち」△、母親が臨終を迎えようとしている娘が出会った男は・・・。幻想的なホラーの味を
狙ったのでしょうが、素人レベル。
村岡圭三「風紋」○、砂丘で写真のモデルとなった謎の女は、同時刻に起きた殺人事件の容疑者だった
が、アリバイが・・・。ごく単純なトリックですが、前2作に比べればマシ。
あと、書き下ろし中編の、飛鳥高「とられた鏡」○、内ゲバの殺人犯が工事現場の飯場に潜り込むが、
その秘密を知る男に脅迫され、人を殺してしまう。だが死体が消失して・・・。さすがに文章はシッカリ
しており、消失トリックも単純ですが、コンパクトにまとまった良作。
メインの「女流作家傑作集」には、四季桂子「胎児」(1957年)、藤木靖子「女と子供」があるが、ど
ちらも大した出来ではないです。泡坂を除けば、村岡圭三と飛鳥高の作品以外に見るべきものは無い
です。
0146初代スレの>>3
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2011/08/19(金) 12:54:09.69ID:DjBNWD71
栗本薫「ネフェルティティの微笑」(中公文庫)★★☆
>>62さんが紹介された作品、1981年のノンシリーズ長編。
失恋の痛手から、エジプトに旅立った秋夫は、カイロで謎めいた女性・小笠原那智に出会う。妖艶な
那智の不可解な行動に翻弄されてゆく秋夫だったが、ピラミッドの石室で、那智が何者かに襲われて
しまう。だが次の瞬間、犯人も那智もピラミッドから消え失せてしまった。何が起こったのか、そし
て那智の秘密とは・・・。
ピラミッド内の人間消失トリックは、はっきり言ってアンフェアというか、最後になってそんなこと
言われてもなあ、というのが正直な感想です。真犯人も、登場人物の少なさから簡単に想定できてし
まうレベル。カイロの街の喧騒に満ちた猥雑な雰囲気や、那智に翻弄され破滅してゆく男たちの心理
などは上手く描かれているとは思いました。
0147初代スレの>>3
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2011/08/29(月) 12:26:22.36ID:ta5vyS9x
結城昌治「死者と栄光への挽歌」(文春文庫)★★
1980年の長編。「フラッシュバック」紹介作ですね。
先の大戦で戦死したはずの父が今まで生きていて、交通事故死したという。息子の売れない画家・睦男は
生命保険の受取人に指名されるが、納得のできないカネは受け取りたくない。そもそも交通事故死した男
は本当に自分の父親なのか、もしそうだとしても、何故何十年も家族の元に帰って来なかったのか、睦男
は関係者を尋ね歩き、真相を探るが、やがて不可解な事件に巻き込まれてしまう・・・。
ハードボイルドでお馴染みの「失踪人探し」テーマの変形で、父親は本物なのか、本物ならば何故今まで名乗
り出なかったのか、偽者ならば、それは誰か、別人の名を騙った理由は何なのか、というところがポイン
トなのですが・・・。うーん、これを「本格ミステリ」と評価するには無理があり過ぎますねえ。謎解きの核
として、作者は、旧日本軍に関する或る「動機」を持ち出し、父親の真偽と、更に派生して起きた事件の
謎解きを行い、その「非人間性」を告発しているのですが、発表当時の1970〜80年代ならともかく、現代
では読者の支持を得にくいのでは、とも思います。
また「あとがき」のヒステリックな主張は、結城昌治ともあろう者が見苦しいです。こんな調子だから、「真犯
人」に対する主人公の最終的な「処置」が、作者の告発した「非人間性」と同等の仕打ちであることに、主人
公が(すなわち作者が)全く気付きもしないのではないか。今読んでもピンと来ないし、むしろ「真犯人」を
支持する人の方が多くて反感を買いそうな話ですね。
0148初代スレの>>3
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2011/08/29(月) 12:29:03.57ID:ta5vyS9x
笹沢左保「無情岬」(光文社文庫)★★★
1979年の「岬」シリーズ第3作。
会社の同じ課で立て続けに起きた3件の殺人事件。会社上層部は企業イメージ悪化を恐れて、課長の佐竹
を左遷する。一方、事件は、佐竹の部下・早乙女が失踪し、指名手配されることで解決したかに見えた。
だが佐竹は、真犯人は他にいるのではないかと疑い始める。やがて早乙女の不可解な服毒自殺が発覚した
ことで、早乙女の妻で、かつて佐竹を愛していた律子こそが真犯人なのではないかと佐竹は追及を始める。
だが彼女には鉄壁のアリバイがあった・・・。
「事件当時、容疑者は主人公とともに、現場のはるか沖合の船上にいた」という飛び切りのアリバイが出て
きますが、笹沢左保の先行する某名作が一種のミスディレクションになっているところがミソでしょうか。
作者がどこまで意識してやったかは分かりませんが、その誤誘導される名作は2作あり、俺はてっきり、
どっちかのパターンだろうと思っていたら、まんまと騙されてしまいました。但し、トリック単体の出来は、
先行2作の方が上で、先行作品を知らない読者には効果的なものではないし、本作のアリバイ工作自体、
少々無理があるのでは、と思いますね。
0149初代スレの>>3
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2011/09/06(火) 12:25:56.76ID:+rlOmtW3
司城志朗「?(はてな)の家族殺人事件」(講談社Jノベルス)★★☆
1987年の長編。
女子大生の小林尚子は、年の離れた弟の幼稚園の友人で大富豪の息子・志麻津雅樹の屋敷に招かれる。
祖父と父母、執事ほかの使用人たちとの晩さん会。だが全員の様子がどことなくおかしい。泊った晩
に廊下に倒れていた家政婦は、翌朝、何ともなく元気だったかと思えば、男の死体は消えてしまうし、
もう一人の家政婦は遠く離れた場所で殺されてしまう。更に町のあちこちで、家族や使用人にソック
リの人間を見かける尚子。一体、この大富豪一族は何者なのか・・・。
メインのアイディアはなかなかトリッキーで面白く、ちょっと似た趣向は、麻耶雄嵩の某作品にも見
られるものですが、これが中盤で明かされてしまい、以降、真犯人捜しに移行してしまうのが残念。
真犯人の意外性だけではなく、このアイディアもひっくるめて、伏線を凝らして、結末まで引っ張っ
てほしかったですね。
なお「スラプスティックス・ミステリ」と銘打っていますが、さほどのドタバタではないのは良いもの
の、いかにも1980年代風といった風俗描写が今となってはイタいw
0150初代スレの>>3
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2011/09/06(火) 12:27:28.18ID:+rlOmtW3
佐々木淳「消えた共犯者」(祥伝社ノンポシェット)☆
現役の大阪市役所幹部だった作者による1987年のデビュー作。
若手サラリーマンの里見真右エ門は、オーナー会長の孫娘・松平彬が社長を務める子会社に出向した
とたん、彬が一目ぼれし、婚約することに。そんな折、彬の自動車が盗まれ、高速道路で逆走して正
面衝突する事故が発生、だが衝突したもう一方の車もまた盗難車で、両方の運転者が行方をくらまし
てしまった。更に同様の事件が相次ぐ。盗難車を使って正面衝突を繰り返すのは何故なのか。二人は
事件を追及するのだが・・・。
・・・何と言うか、良い所が一つもない、ダメダメのお話。構成もダメなら文章もダメ、登場人物、特に
ヒロインの彬のキャラがもう何というか・・・、こんなバカ丸出しの気色悪い女を描いて、作者は「可愛い
女」だとでも思っているのでしょうか。事件の真相も採るところ皆無。ユーモア・ミステリとのこと
だが、殆ど笑えないアナクロぶり。
作者はミステリファンだというが、一体どんなミステリを読んできたのだろうか?どう考えても、志茂
田景樹ファンとしか思えないレベルの低さ。大阪市役所の現役幹部だった頃に発表しているけど、世間
体というものを考えなかったのだろうか?駄作中の駄作。
0151名無しのオプ
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2011/09/06(火) 14:23:00.49ID:OSE/rZv9
倉知淳の本名が佐々木淳じゃなかったっけ。
でも別人か。
0153名無しのオプ
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2011/10/11(火) 18:34:39.84ID:EHOJ0Ov4
3氏お元気ですか?
レビューはいいんで生存報告だけでも
0154初代スレの>>3
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2011/10/13(木) 13:06:28.36ID:jUdjjuPU
ハイ、元気です。最近ペースが落ちていますが、斎藤栄、松本清張、本岡類、赤江瀑など、紹介したい
作品は未だ未だ控えておりますので(但しこれから読むのですが)、長い目で待っていてください。

草野唯雄「仁衛門島殺人事件」(徳間文庫)★★
1977〜84年に発表された作品を収めた短編集。
表題作は、終盤で「読者への挑戦」のある気合いの入った作品、千葉の仁衛門島でコートの取り違え
から起きた殺人事件を推理するもの。コートを取り違えられた男と友人、被害者の娘の推理合戦がミソ、
伏線なども考えられていますが、所詮、中学生向け雑誌掲載作ということもあって、その程度の出来。
その他、「二億円の嘲笑」は、警官と組んで組の資金を奪ったヤクザ、出所してみると警官の行方が
分からない、持ち逃げされたのか?という話。
「まぼろしの指紋」は、身に覚えのない容疑者が、どうやって凶器に指紋を付けてしまったかを追うもの
だが出来は悪い。
「老人は撃った」、「復讐の導火線」、「みどりという女」などはサスペンス物。
異色作は「罪九族に及ぶ」。文豪・国木田独歩とその関係者たちを相次いで襲った悲劇を、作家が文献
から推理するもので、無論、長編「文豪挫折す」の元作品。但しミステリというには、ただ文献に当たっ
て調査しただけ、という感じが強く、思いきった発想とか着想の飛躍がないので今一つです。
0155名無しのオプ
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2011/10/13(木) 19:59:30.81ID:8UKpD8GW
3氏乙でございます
お元気で何より
0156初代スレの>>3
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2011/10/18(火) 12:24:18.39ID:Ttsc1RCN
岩崎正吾「風の記憶」(東京創元社)★★☆
1989〜90年に発表された作品を収めた短編集。
「八ヶ岳南麓・首なし死体」は、小海線で起きた死体轢断事件。初老の刑事が付近の別荘地に住む忘れ
られた往年の流行作家の行動に疑問を抱くが・・・。基本的なトリックですが、まあ短編だし、こんな
ものでしょうか。
「ぼくの愛した少女」は、山梨県の富士川流域を舞台にした青臭い青春小説ですが、奇抜なアリバイ工
作が印象的。
「長崎から来た女」は、作者の学生時代を反映した内容で、ミステリ味は薄い。
表題作も、少年時代に山で迷子になった男たちが、二十数年後、行方不明の仲間を探すために再会
して・・・、というもので、ホラー風でもあるが、本格ミステリではないです。
いずれも、この作者の持ち味が出ているのですが、「風よ、緑よ、故郷よ」や「恋の森殺人事件」(過去
スレ参照)と同様、どこか青臭さが抜けないですね。
0157初代スレの>>3
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2011/10/18(火) 12:26:30.72ID:Ttsc1RCN
斎藤栄「富士山麓殺人事件」(祥伝社ノンポシェット)(採点不能)
1979年の長編。後の小早川警視正シリーズに発展する牧警部シリーズの第1作とのこと。
フランス留学中に牧と知り合った智子は、帰国早々、母親の死に直面した。現場の別荘は密室で
事故死の可能性もあったが、母親の過去と、死の直前に漏らした「富士山麓って良いことがあるわ」と
いう言葉に疑問を持った智子は、牧野の助けを得て調査を開始する。
一方、国会議員・桜内の息子の誘拐事件が勃発。息子は既に成人した医師で、しかも犯人側は身
代金の代わりに桜内所蔵の絵画を要求するなど、不可解な状況だったが、無事、息子は解放され
る。だが、この事件がやがて、智子の追及する事件と絡んでくることに・・・。
うーん、アリバイ工作に密室、不可解な誘拐事件の真相など、トリッキーではあるし、一応論理
的に辻褄が合っているようにみえるのですが、常識的に考えて真犯人の行動が全く必然性ゼロ、
矛盾撞着も甚だしいです。あのアリバイ工作もショボいし、密室トリックも実に下らない。
「富士山麓」の謎は中盤であっけなく解決、むろん謎の核心でもないオマケ程度の謎だが、まあ誰も
が直ぐに思いつくアレですw気付かない方がどうかしている。
一点だけ、或る人物のレッドヘリングとしての使い方は上手く、伏線もあったのに、真犯人を上
手に隠すことには成功したとは思います。でもなあ・・・。
因みに、例のお抱え解説者の某、「トリッカー斎藤栄」とか持ち上げていますが、そりゃ何だ?「トリ
ッキー」とか「トリック・メーカー」とは言うけどねえw(この某、実は斎藤栄本人なんじゃないか?)
0158初代スレの>>3
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2011/10/18(火) 12:30:14.50ID:Ttsc1RCN
あと、>>115で題名だけ挙げた作品の紹介です。

山崎洋子「三階の魔女」(講談社文庫)★★★★
1986〜1989年に発表された作品を収めた短編集。
「ラブレター」は、同窓会で再会した級友と不倫の関係になった男。相手から借金を申し込まれるの
だが・・・。冒頭の伏線から意外性のある結末までスキがない出来の佳作。
「狼女は眠れない」は誘拐物。祖父母に甘やかされている男児を誘拐した女性。実は・・・。
「いきなりハードボイルド」はユーモア調だが箸休め程度の作品。
「六本木メランコリー」は1960年代末に青春を過ごしたデザイナーの話。不倫の話やら団塊世代の
1960年代のノスタルジックな話で大したことないかと思っていたら、ラストでトリッキーな謎解
き物に変貌する良作。「赤いお月さま」は、モテない男が巻き込まれた罠の話。凡作。
「人形と暮らす女」は、乳母車に乗せた人形を自分の娘だと信じている母親に出会ったヒロイン。
精神病かと同情して彼女の家で家政婦として働き始めるが・・・。ホラーかと思わせて謎解き物に
変貌し、更にラストでは・・・、という凝った作品。
表題作は、カラオケスナックで働くヒロインの隣家に、人質を取って立てこもった男。ヒロイン
の知り合いだと言い、一緒に無理心中してくれないと隣家の住人を殺す、などと無茶苦茶な要求
を突き付けてくる・・・。これも、奇抜な冒頭のやり取りがラストで一転、鮮やかな結末を迎え
る佳作です。
0159初代スレの>>3
垢版 |
2011/10/24(月) 12:38:01.86ID:Kxt/1G1E
高木彬光「どくろ観音−千両文七捕物帳」(春陽文庫)★★★☆
初出等の詳細は不明ですが、主に1950年代に発表された、白皙の美男子だが女嫌いの千両文七親分
(神津恭介に共通しますね)と、手下の合点勘八が活躍する捕物帳シリーズ。
「天狗の仇討ち」、人間には不可能な状況での怪事件、天狗の仕業かと思われたが・・・。トリッキー
ではあるが、解決がやや唐突かな。
「妖異雛人形」も、駕篭からの人間消失トリックが出てきて期待させるが、真相はあっけない。
その他、「新牡丹燈籠記」では長屋の密室からの消失、「怪談一つ家」はバラバラ死体の謎、「荒寺の
鬼」はアリバイ工作、表題作は作者お得意の刺青ネタに筋書き殺人の変形、更に「離魂病」では
クリスティの超有名作品に挑むなど、トリッキーな趣向がてんこ盛りで、その点は満足できた
のですが、如何せん、文庫版で各編30ページ弱の分量では、伏線や解明手順があっけなさ過ぎ
ますね。
とは言え、全12編、先ず先ずの収穫でした。
0160初代スレの>>3
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2011/10/24(月) 12:41:33.21ID:Kxt/1G1E
松本清張「失踪」(双葉文庫)★★★
これまでに文庫未収録だった1956〜71年までの作品を収めた短編集。
冒頭の「草」が面白い。病院に入院している、出版社の経営者である「私」。病院長と看護婦の駆け落ち
に続いて事務長の自殺など、病院内に怪事件が頻発する。隣室のおせっかいな入院患者の男とともに
一連の事件の真相を探るのだが・・・。後半になって突然、それまでの「私」の語りが変化し、急転直下
の結末に至ります。はっきり言ってアンフェアですが、それでも肝心の部分を登場人物のセリフにす
るなど、地の文と「私」の行動には一応整合性をとって注意を払っており、ラスト一行のセリフも含め、
この作者がこんな作品を・・・、という意外性はあります。
「詩と電話」は、病み上がりで九州の地方支局に異動になった新聞記者が、いつも特ダネにありつく地元
紙の古参記者の秘密に迫る話。特ダネに一番乗りするアイディア、作品の雰囲気なども含め、解説に
あるとおり、時代風俗を無視すれば、横山秀夫の新作短編といっても通りそうな佳作。
残りの「二冊の同じ本」と表題作は全体に消化不良ぎみの凡作。
0161初代スレの>>3
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2011/10/24(月) 12:45:17.84ID:Kxt/1G1E
赤羽建美「彼に殺される!?」(集英社文庫)★
1987年のノンシリーズ長編。
真理子は恋人の進一の不可解な行動に悩まされ、更に、自分が高校生時代に書いた日記の「将来、恋人に
殺されることになる」という記述が現実のものになるかも知れないと怯えていた。ところが、進一が轢き
逃げに遭って死亡する事件が起こる。進一はどんな秘密を抱えていたのか、真理子は調査を進める
うちに知り合った野口とともに事件を追及するのだが・・・。
アハハ、この作家はミステリを全く理解できていない。過去の日記の一節と現在の事件には繋がりは
無いし、進一を轢き逃げした犯人の設定は伏線無しで藪から棒も良いところだし、ヒロインは言い訳
しつつも節操が無い女だし、何より芥川賞候補になったとは信じられないほど文章も幼稚(まあ、芥川
賞受賞作家にも、宇能鴻一郎や菊村到のような例はありますが、彼らの通俗小説は題材が幼稚であっ
ても、流石と思わせる部分もあるのに、この作者と来たら・・・)。
おまけにバブル丸出しで、それも当時の先端を行っていたならともかく、本作より何年も前に出た
「なんとなく、クリスタル」の猿真似に近いとは・・・。
エピローグで、或る人物の思いもよらない真実が明らかになるという意外性もあるのですが、これ
また全体の流れから浮いてしまっており、駄作としか言いようがないですね。
0163おっさん
垢版 |
2011/10/27(木) 14:55:12.82ID:7fMkIdm4
>>159
時代ミステリとしての捕物帳に興味があり、未読のものにも少しずつ手をだして
いるところでした。
高木の千両文七ものを具体的に紹介していただき、これは読まねばと、大いに
刺激されました。

>初出等の詳細は不明ですが
「夢現半球」というサイトの、「高木彬光の部屋」に労作の時代小説リストがあり、
そこでかなりの程度、確認できます。ご参考まで。
0164名無しのオプ
垢版 |
2011/10/27(木) 21:32:39.53ID:yqqGKu08
3氏の紹介か知らないけど
アンソロジー「ホシは誰だ?」を入手しました
文庫なんだけど、土屋作品が削られてるみたいですね
5年以内に読めたらな・・・
0165初代スレの>>3
垢版 |
2011/11/08(火) 12:34:44.85ID:DlTbwRRl
>>163
サンクスです。

本岡類「窒息地帯」(新潮社)★★
1995年のノンシリーズの長編。発表年代はスレの主旨には合いませんが、文庫化もされていない作品
のようなので、ここで紹介しておきます。
東京の弁護士事務所でイソ弁勤めをしていた夏原は、ボスの急死によって、郷里の水戸に戻って独立、
弁護士事務所を開設する。第一号の依頼者の持ち込んだ事件は、連続放火事件の容疑者として逮捕さ
れた男の弁護だった。ムシャクシャしてボヤを起こした事件は認めたが、それ以外の死亡者を出した
放火事件は全く心当たりがなく、冤罪だと訴える被疑者。夏原は、地元新聞の女性記者・栗田泉とと
もに事件の真相を追うのだが・・・。
放火事件の詳細の描写がおろそかだったり、重要な情報が後出しだったりと、これは到底、佳作とは
言えない出来で残念。法廷の場面も力不足。主人公の弁護士のキャラは力を入れていますが、法廷ミ
ステリとしても、小杉健治には遠く及ばないです。
また真犯人の設定と伏線、その動機に絡む社会的な問題への掘り下げ方も中途半端な感じ。残念なが
ら凡作でしょう。
0166初代スレの>>3
垢版 |
2011/11/08(火) 12:37:39.71ID:DlTbwRRl
大谷羊太郎「殺意の交差点」(双葉ノベルス)★
1989年のノンシリーズ?長編。
色男の拝原は年上の女性実業家と結婚、だが女傑の妻に首根っこを押さえられているのを不満に思い、
知り合いの加賀と共謀して彼女を殺そうと企む。加賀が写真を使ったアリバイ工作を用意して、拝原は
自宅へ向かうが、いるはずの妻がいない。それどころか加賀もまた姿を消していた。一方、未解決の
迷宮入り事件を追う沖津警部は、過去の保険金詐欺事件を追っていたが、いつしか拝原の事件へと絡
んでくることに・・・。
ああ、ダメだ。二重、三重に絡み合った共犯関係とその騙し合いを、それを知らない狂言回しの拝原の
視点からだけに絞って描いて、ラストの謎解きで解決すれば、一応見られる作品になったのに、裏の
連中の動向も並行して描いたんじゃ全く無意味。謎解きもヘッタクレもあったもんじゃない。駄作。
0167初代スレの>>3
垢版 |
2011/11/16(水) 12:23:05.44ID:q67uSR5A
笹沢左保「江戸の夕霧に消ゆ 追放者・九鬼真十郎1」(徳間文庫)★★★
江戸の浪人・九鬼真十郎が、裏切った仲間を殺して「重追放」の身となり、犬のシロを連れて諸国を
放浪、他人を一切信じず、関わりを持とうとしないにも拘わらず、様々な事件に巻き込まれては意外
な真相を暴いてゆく、という趣向の、1978年の時代物の連作集、第1弾。
第1話の表題作で、主人公が重追放となる経緯が描かれていますが、この話でも、真犯人の設定にヒ
ネりが加えられています。
「街道の青い鬼」は、信州の街道沿いに出没する鬼の正体と、その黒幕の動機の意外性が上手い。
「地獄の声か娘たち」は旗本の忘れ形見の娘と思われる候補者の娘たちが次々と殺される。容疑者には
アリバイがあったのだが・・・。読者をアリバイ崩しかと誘導させておいての意外な結末。
ベストは「むらさきの姫君」。田舎で暮らしていた江戸の豪商の娘を見捨てて死に至らしめた男たちが
次々と怪死。かつて娘が飼っていた小ギツネの祟りなのか・・・。シロの様子や冒頭の些細な出来事から
事件の真相を見破る真十郎の推理が見事。特に伏線の張り方は非常に巧みで、クリスティの古典的
な趣向まで使って、間然とするところのない佳作です。
その他「さすらいの狼」、「恐怖の村祭り」で全6編。
0168初代スレの>>3
垢版 |
2011/11/16(水) 12:25:06.51ID:q67uSR5A
笹沢左保「美女か狐か峠みち 追放者・九鬼真十郎2」(徳間文庫)★★★★
居場所を定められず諸国を放浪する、重追放の浪人を主人公とする1978年の連作集第2弾。
「師走の風に舞う」○、武士との果たし合いに勝つため、真十郎は天気予報の名人二人に当日の天候を
聞くが、二人の天気予報は全く異なるものだった・・・。片方の予報を信じるに至るまでの、真十郎の逆説
的な論理展開がユニーク。
「雪に桜の影法師」○、飼い犬に大金を持ち逃げされたと訴える盗賊。真十郎はシロを使い、盗賊の犬
が逃げた真相と、裏の真犯人を暴く。
表題作△、峠に三本脚の狐が出没して旅人が相次いで殺される。真十郎の暴いた真相とは。
「禁じられた助太刀」◎、医師の娘にケガをしたシロを助けてもらった真十郎。娘とその父親は、母親
を殺した侍の敵討ちをするという。その助太刀を引き受けた真十郎だが・・・。結末の大ドンデン返しと、
それを支える伏線が実に見事、作者の「本格」魂が炸裂する傑作です。
「死んだ女の用心棒」◎、これも傑作。雪深い信州の宿に閉じ込められた真十郎と五人の男女。江戸で
夫が妾を殺すのを目撃して出奔してきた女が殺される。真十郎、出しゃばり過ぎですが、クローズド
サークルの事件を解決し、さらに江戸で起きた雪の密室殺人まで解決してしまう名探偵ぶりw
「鉄火場に鶯が啼く」△、止むにやまれぬ事情から、賭場で大金を得ようとする名主と出会った真十郎。
壺振りの若者とイカサマの手はずを整えたが・・・。
全体に「木枯らし紋次郎」と異なり、主人公のニヒルぶりが薄れ、むしろ積極的に全国津々浦々で起き
た事件を解決して回っているみたいw、ミステリとしてはこのシリーズの方が面白いかも。特にこの
第2集は「本格ミステリ」として評価できる佳作が揃っており、「求婚の密室」や「岬」シリーズなどの
「本格」の佳作群を書いていた同時期の時代小説として要注目でしょう。
0169名無しのオプ
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2011/11/22(火) 01:10:10.21ID:1TrJI+vz
九鬼真十郎、露口茂主演でドラマ化されてるよね
0170初代スレの>>3
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2011/11/24(木) 12:44:59.01ID:H6X2TEts
高木彬光「刺青の女−千両文七捕物帳」(春陽文庫)★★★☆
「どくろ観音」(>>159参照)に続く、千両文七シリーズ第2弾、文七も登場する連作「私版天保六花選」
も併録。
「羽子板娘」△、さる藩のご落胤を探すよう、藩の重役から依頼された文七。折から起きていた羽子板
盗難事件と複雑に絡んでいることを知るが・・・。ご落胤の正体に意外性はありますが、やや錯綜しすぎで
スッキリしない。
「雪おんな」○、祝言間近の娘が雪女に攫われる。雪の現場には、娘の足跡しか残っていなかった・・・。
足跡トリックですが、江戸時代らしいおバカなネタが楽しい。
「阿蘭陀かるた」△、常磐津の女師匠が駕篭の中で殺される。誰も近づいた者はいないのだが・・・。
「白首大尽」△、盗賊上がりの豪商の正体は・・・。
「花嫁の死」△、新婚早々の嫁が実家に帰る途中で殺される・・・。
表題作◎、江戸じゅうの刺青持ちの女を集めた品評会の席上で起きた殺人。彫師の双子の娘に嫌疑が
かかるが、二人にはアリバイがあった・・・。瓜二つの双子の娘、見分ける手段は刺青の図柄の違い・・・、
あの名作のパロディか?と見せてのドンデン返しが面白い。
連作「私版天保六花選」は、江戸の悪党・河内山宗俊と片岡直次郎を主人公にした連作集なのですが、
各エピソードのつなげ方がマズく、全体としては凡作。但し、第1話「直侍雪の夜話」は傑作。江戸
を出奔した片岡直次郎を追って、中山道・深谷宿にやってきた千両文七。宿屋の主人から妻殺しの真
犯人を探してほしい、と頼まれるのだが・・・。結末のドンデン返しと真相に「アンフェアじゃないか?」
と読み返してみたのですが、これが実に見事な書き方。確かに・・・・・・・とは書いていないし、上手く
回避して読者に一杯喰わせており感心。作者の某佳作と同趣向ですが、こんな時代小説で、あのネタ
を使い回しているとは思いもしなかったw
0171初代スレの>>3
垢版 |
2011/12/09(金) 12:39:13.51ID:iUUvAPtS
津村秀介「横須賀線殺人事件」(講談社文庫)★★
1991年の浦上伸介物の長編。
横浜を走る横須賀線の列車内で起きた女性の刺殺事件。捜査を進めるうち、被害者は4億円ものサギ
事件に関わっていたことが分かり、サギ師グループの仲間割れかと思われた。更に北海道ではほぼ同
じ頃に、やはりサギ師グループの一員が殺されていることが判明する。やがて浮かび上がった容疑者
には、事件直前に列車から降りたことは間違いないという鉄壁のアリバイが。またどうやって北海道
へ飛んだのか、浦上と助手の美保の活躍や如何に・・・。
「北海道へ瞬時に飛んだ謎」は肩透かし、「いったん降りた列車にどうやって戻ることが出来たのか」も、
手掛かりが出た瞬間に誰でも分かるシロモノで、大したトリックではありません。だいたい、謎の提
出の段階が遅すぎるし、そのため謎解きの興味で引っ張る話になっておらず、凡作でしょう。
0172初代スレの>>3
垢版 |
2011/12/09(金) 12:41:39.24ID:iUUvAPtS
笹沢左保「影が見ていた」(徳間文庫)★★☆
1961年発表、自動車セールスマン北川を主人公とした三部構成の連作集。現代物では、「セブン殺人事件」
(過去スレ参照)とともに、作者には珍しい、シリーズ物の主人公が出てくる作品です。
先ず第一部(というか独立した第一話ですね)「もう時間がない」○、セールスのお得意先の有閑婦人が服
毒自殺?北川は、瀕死の彼女が言い遺した「もう時間がない」というダイイング・メッセージの謎を追及す
るのだが・・・。取り立ててトリッキーでもないのですが、冒頭の些細な伏線のさり気なさが上手い。それにし
ても、代官山が「場末」とは、さすが五十年も前の作品w、時代を感じさせます。
第二部「闇の眼」も先ず先ずの出来で○。北川が乗り捨てたタクシーの運転手が殺される。警察から疑われ
た北川は、彼の後に入れ違いでそのタクシー乗った男女二人組が真犯人ではないかと追及するが・・・。古典
的なトリックですが、一応、フェアな描写になっています。
第三部「静寂が来た」は、北川と愛人が旅行先で出くわした新婚旅行中の妻の自殺事件。北川の取引先に絡
んでくるのだが・・・。ミステリとしては大した出来ではないが、ラストは、いかにも笹沢左保らしい結末。
・・・本作は、「真昼に別れるのはいや」、「空白の起点」「泡の女」(いずれも過去スレ参照)といった名作・
佳作群と同じ年に書かれた、ごく初期の作品ですが、やはり上記の名作群と比べると見劣りしますね。
0174名無しのオプ
垢版 |
2011/12/14(水) 15:27:05.54ID:1E79mKmg
このスレはおもしろいね
0175名無しのオプ
垢版 |
2011/12/16(金) 16:58:35.33ID:2wn7GBbf
原子炉の蟹が復刊されたね
0176わふー ◆wahuu..wDY
垢版 |
2011/12/16(金) 17:01:46.73ID:Ae3vHCvJ
        /: : :ヽ: : : : : : : : : : : : : \
       / : : : : : : :ヽ: : : : : : : : : : : : : ヽ
      /: : : : : : : : : : :「:` : : : : : : : :\ : ',
        !: : : : : :/: : : : : ,!: : : : ト、: : : : : :\:!
      |: : : : : /: : : : : / ヽ : : ',  \: : : : : ',ヽ─ァ
      |: /: : :i; : : : : / __,,ィ: : ヽ `ー\ : : : !: : :/
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         //イ: :// ) ! |二二 ィ: : : : ! | | |r、
      ///: : : : レ / 」 lL__/ )_」 : : 「ヽ |_│ | |
      |:| |: : : : :| |/ ヽ: j l: : : : :| |   ー、!
      |:| |: : : : :l  ヽ   V |: : : : : ! ヽ    |
      |:| | : : : : ',   ヽ   l: : : : : :l   `ヽ   !
      // {: : : : : ヘ   j  /: : : : : : ヽ     |
      ヽ:い-── ヘ    イ: : : : : : : : : \   i'
0177初代スレの>>3
垢版 |
2011/12/26(月) 12:36:07.46ID:XPW8zVrp
嵯峨島昭「軽井沢夫人」(光文社文庫)★★★☆
1979年、「・・・夫人」シリーズの第3作。
軽井沢の別荘で発見された若い男の死体。友人の別荘に遊びに来ていた酒島警視が捜査本部とは別に
調査を続けるうち、被害者は一年前に軽井沢にやって来た貧乏学生・紫藤純一と判明。関係者を訪ね
歩くうちに分かってくる紫藤の野望と挫折。別荘で暮らす社長夫人・中川佳子に取り入って不倫の恋
に落ち、更に彼女を足がかりにして大臣令嬢を誘惑し、政財界に食い込んでゆこうとする紫藤。夏の
軽井沢で一体何が起きたのか・・・。
例によってベタベタのメロドラマ、今回はヒロインのみ清廉で、相方の主人公はピカレスクな青年で
したが、何とも昭和の香り漂う、古き良き時代のブルジョワ生活の延々とした描写にウンザリ・・・、と
思いきや、終盤では怒涛の謎解きが展開され、二重、三重のドンデン返しの末、意外な真犯人が暴露
され、ひと夏の野望に燃え尽きた主人公は破滅的な結末を迎えます。
しかし・・・、これほどの謎解きがありながら、中盤までの伏線が少な過ぎる。確かに幾つかの点では事
前に示唆されており、この点は良かったのですが、あの真相を支えるには不十分。もっと伏線に配慮
していれば傑作となりえたのに、惜しい作品です。
なお、作中でも言及がありますが、アラン・ドロンの名作映画「太陽がいっぱい」を連想する作品で、
読んでいる間はずっと、「太陽がいっぱい」の、あの何ともやるせない主題曲が流れていましたよ。
これで「・・・夫人」シリーズ、「湘南夫人」、「札幌夫人」(いずれも過去スレ参照)三部作を全て読了。
本作と「札幌夫人」の出来が割と良かったですね。
因みに、この作品、日活で映画化されましたね。高田美和と五代高之が主演。日活映画なので、当然
アレなのですが、当時高校生だった俺は・・・(以下略)。
0178初代スレの>>3
垢版 |
2011/12/26(月) 12:38:16.56ID:XPW8zVrp
赤江瀑「金環食の影飾り」(角川文庫)★☆
1975年の長編。
女優の綾野曙子は、亡き姉・姚子の遺した新作歌舞伎「大内御所花闇菱」の上演を見に行くが、劇場で
姉に良く似た女性が何者かに襲われるのを目撃する。曙子は京都で暮らしていた姉の秘密を追及する
のだが・・・。
うーん、好きな人は熱狂的に好きになるのでしょうが、ミステリとしては余りに構成が杜撰。真犯人
の設定や真相には何の意外性もなく、作中作となる「大内御所花闇菱」がもっと本筋に絡んでくるのか
と思ったらそうでもないし・・・。耽美小説としては別の評価があるでしょうが、「ミステリ」としては
お粗末な作品でしょう。
0179初代スレの>>3
垢版 |
2012/01/06(金) 12:29:55.61ID:FoHWpL5v
五木寛之「蒼ざめた馬を見よ」(文春文庫)★★★
「さらばモスクワ愚連隊」に続く、1967年のごく初期の短編集で、表題作は直木賞受賞作。約20年ぶりに
読み返してみました。
表題作は、実は「本格」風味を湛えた佳作です。ソ連の老作家による幻の未発表長編大作の存在を知った
新聞記者の鷹野。レニングラードに飛び、ソ連では発禁が予想されるその原稿を入手し、密かに国外
に持ち出し、全世界に発表しようと目論む。老作家は頑として原稿を手渡そうとしなかったが、苦労
の末、ようやく原稿を手に入れることに成功するのだが・・・。同時代の三好徹の作品といっても通りそ
うな国際謀略物の佳作です。三好や高柳芳夫の作品で見かける「裏の裏をかく」ドンデン返しと、或るト
リックが冴えまくっており、そのトリックを使った肝心の箇所も、一応、叙述に配慮してフェアな描
写になっています。これは思わぬ掘り出し物でした。
その他、「天使の墓場」は、高校登山部が冬山登山中、墜落した米軍機を見かけるが、一行は遭難し、唯
一生き残った教師は、墜落事故が隠蔽され闇に葬られる中、精神病院に入院させられてしまう。苦難
の末、墜落現場に戻った教師が見たものとは・・・。これまた、森村誠一作品のような社会派・謀略物ミ
ステリ。ラストは何となく予想できましたが、なかなかにコワいオチです。
残りの「赤い広場の女」、「バルカンの星の下で」は、冷戦下のソ連・東欧を舞台にした作者お得意の作品
ですがミステリ味は薄く、「弔いのバラード」は広告業界の酷薄さを糾弾した作品。
・・・作者には、「幻の女」などの「奇妙な味」系の作品も多く、「カーセックスの怪」など、ヨコジュンも裸足
で逃げ出すバカSFのケッサクもあり、また夢野久作ファンでもあり、傑作「戒厳令の夜」、「ヤヌスの首」
などの広義のミステリともいえる伝奇ふう冒険小説もあるなど、一時期、熱心に読んでいました。
0180初代スレの>>3
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2012/01/06(金) 12:32:29.67ID:FoHWpL5v
山村美紗「京都鞍馬殺人事件」(徳間文庫)★☆
1985年のキャサリン物の長編。
京都で随一の日本舞踊の家元一族を巡って起きた連続不審死。鞍馬寺近辺で家元夫人が服毒死を遂げた
のが皮切りだったが、自殺とみられ、病気入院中の家元が、呼吸器が外れて死亡した件も事故と思われ
ていた。だが次期家元候補だった息子が舞台の本番で毒殺されるに及んで、ついに連続殺人と判断され、
京都府警が乗り出してきた。次期家元の座を巡る事件とみたキャサリンは、浜口とともに事件を追及す
るのだが・・・。
・・・山村美紗といえば、ベストセラーとテレビの二時間ドラマ・映画化という、ビジネス化した「産業ミス
テリ」(レコードの売り上げとコンサートで莫大な収入を得るためにポップス化し、何の批評性も持たず
にビッグビジネスと化した「産業ロック」(by渋谷陽一)と同様の意味で。邦光史郎らの「産業推理」ではな
いです)の一人ですが、むろん最初からそうだった訳ではなく、初期の作品には良いものもありました。
本作は1985年発表、前年の「京都大原殺人事件」(過去スレ参照。「京都××殺人事件」の嚆矢となった作品)
辺りから急激に発表作が増え、粗製濫造が開始された頃の作品ですが・・・。
冒頭の「自動販売機で何個もジュースを買って、それを置き去りにしてゆく男」など、「掴み」の不可解性
などは面白いのですが、やがてダメダメの展開に。病室の密室トリックも腰砕けなら、舞台での毒殺の
真相も何の伏線もなくただ説明するだけ、自動車電話のアリバイも「だから何?」といったレベル。
それにしても、キャサリンだけ重要な証拠や証言を得ることができて、京都府警が教えてもらう、なん
て、どこまでボンクラなんだ?
0182名無しのオプ
垢版 |
2012/01/23(月) 11:58:06.67ID:trxqCVbU
梶龍雄、本岡類が読みたくてブコフ巡りをしてるんだが、なかなか見つからないな。
0183初代スレの>>3
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2012/01/25(水) 12:37:31.17ID:nj4SLeHM
山崎洋子「危険なあなた」(中公文庫)★★★☆
学生時代の友人5人組、卒業から二十年近くたち、結婚や仕事など生活に追われる中、それぞれが遭遇
した事件をロンド形式で描いた、1989年の連作集。
「あじさい色のレディ」△、冴えない中年主婦。母親が臨終の際に、父親は有名俳優だと言い遺したことか
ら起きた事件。主人公の言動にややイライラしましたが、真相は・・・。まあ大した出来ではないです。
「曼珠沙華の夜」○、夫の愛人と共謀して夫を殺そうとするが、実は・・・。ドンデン返しの効いた良作。
「ボニーに首ったけ」○、これも同様で、冴えない中年男に強盗に入られた、喫茶店を経営するヒロイン。
男を説得して、もっと身入りの良い、銀行の支店長を一緒に脅迫しようと持ちかけるが・・・、ラストの
ヒネりが効いています。
「騒々しい悪魔」◎、高校生の息子が妊娠させた年上の女性が息子の自宅に乗り込んでくる。夫と当の
息子が海外留学中、留守の母親は翻弄されっぱなし。女は自分の家族まで呼び寄せて傍若無人な振る
舞いに及ぶが・・・、「銀の仮面」ネタかよ、それにしても好い加減にしろよな、と読者のイライラが頂点
に達したところで、全く予想外の真相へ。この切れ味の鋭さはスゴい。「銀の仮面」ネタを、アレと結び
つけた例は他に知りませんね。
「あなたのいない夜」○、下着会社のキャリアウーマンで部長の要職にある女性。仕事が超多忙なため、
家庭を顧みなくなっていたところ、夫が失踪する、やがて、夫を拉致した犯人と思われる人物から謎
めいた電話が・・・、これも、主人公の傲慢ぶりが頂点に達する寸前でストンと落とし、意外な真相で
着地する作品。
・・・連作集ですが、基本的に各エピソードは独立した内容で、どれも、この作者特有のクセのあるヒロ
イン揃いで、読者はヘキエキするかも知れませんが、それすら演出にして、読者の不快感が頂点に達
する寸前で、ハッピーエンド、とはいかないまでもほろ苦くも暖かい、意外性のある真相を用意した、
なかなかの作品集です。「本格」とは言えないかも知れない内容ですが、作者の本領は長編よりも、
「三階の魔女」(>>158参照)や本作などの短編にあるようです。
0184初代スレの>>3
垢版 |
2012/01/25(水) 12:40:51.08ID:nj4SLeHM
赤川次郎「上役のいない月曜日」(文春文庫)★★
1980年のサラリーマンを主人公とした作品で固めた短編集。過去スレにて、どなたかが推薦されていた
作品ですが、さて。
冒頭の表題作は、色々な人物の思惑や事件が、最後のオチに収斂するまでをスピーディに描いた作者お
得意の作品だが、ミステリ風味は薄い。
「花束のない送別会」は、長期出張から帰ると自分の席が無いばかりか、上司や同僚全員から「お前は自分
で退職届を出して会社を辞めたじゃないか」と言われるが実は・・・、発端からグイグイと読ませるが、後
味は悪い。「禁酒の日」も同様、あのオチは無いだろ?
「徒歩十五分」は、引っ越し早々、終電で帰って来た男、自分の家が分からなくなってしまい迷子になる
が・・・、バッドエンドではなく、先ず先ずの作品。
「見えない手の殺人」は、結婚に反対する恋人の父親が工場に乗り込んできて主人公とケンカしたところ、
父親は内臓破裂で死亡。主人公がちょっと小突いただけなのに何故?まあそんなことも起こり得るで
しょうし、真相を暗示する伏線も巧みだが、これまた後味の悪いことといったら。そういえば、J・D・
カーの短編に、同じタイトルの短編があったと思うけど、比較にもならない。
うーん、全体に謎解き要素は薄いですね。あと、江上剛の解説もピント外れ。認識の甘さと読みの浅い
こと。アンタの銀行員時代の自慢は結構。同じ銀行員出身の池井戸潤の爪の垢でも煎じて飲めば?
0185名無しのオプ
垢版 |
2012/01/25(水) 23:55:29.82ID:LMiWFAOj
赤川次郎ってバッドエンドの名手でもあるよね
0186初代スレの>>3
垢版 |
2012/02/06(月) 12:45:51.59ID:1lpMxuXM
豊田行二「スイス銀行日本支店」(廣済堂文庫)(採点不能)
1977年の長編。「ひかり10号殺人事件」(過去スレ参照)のイカガワしさを求めて、「久々に豊田行二でも読む
かあ」と、ブクオフで手にとってみると、「本格長編推理」と銘打たれていたので購入。むろん、1980年代
以前のミステリで「本格長編推理」とあっても全く信用できないのですが、それでも読まずにいられないの
は「性(さが)」なのかw・・・どっちにしろ、こんなタイトルじゃ、ミステリだと思ってくれる人は皆無だろ
うなあ・・・。
国会議員・茅野敬太郎のお抱え運転手が何者かに絞殺される。現場には戦前の郵便貯金通帳が遺されて
いた。被害者の友人もまた殺され、もう一人の友人はKCIAの陰謀だと怯える。彼らの過去に何があ
ったのか。
一方、茅野は、隠し資産を「スイス銀行日本支店」の口座に隠しているというが、その口座の在りかを家
族にも秘密にしていた。スイス銀行の日本支店とは何を意味するのか。長男の太郎は、その秘密を探る
うち、父親の愛人・知佳子と深い仲になってゆく・・・。
「スイス銀行日本支店」の真相である「××貯金制度」の実態がテーマだそうですが、作者は、それでは読
者の食い付きが悪いので「推理仕立てにした」とのこと。ミステリをナメているよなあ(そういう作品は当
時は多かったのでしょうね)。
しかし、そのお陰でw、「××貯金」を巡る政界物プラス官能小説プラス本格ミステリの出来損ない、という
キテレツな怪作を読むことができました。連続殺人の方は、一応、意外な真犯人に関する伏線とか(しょー
もない出来ですw)、事件発生時に主人公と一緒にいたというアリバイ崩しのアキれた真相など、無理やり
にも「謎解き」の趣向を取り入れて、それが官能描写とも、「××貯金」とも、全く相いれない浮きあがった
ものになっているのが何だかオカしくて・・・。
「採点不能」作品が好きな方にしかお勧めできません。
0187初代スレの>>3
垢版 |
2012/02/06(月) 12:47:34.43ID:1lpMxuXM
笹沢左保「日暮妖之介 流れ星破れ編笠」(集英社文庫)★★☆
1972〜73年に連載された時代物の連作集。父親を殺して脱藩した大谷伊左衛門を討つべく、但馬・出石藩
の目付の職を投げ打って、敵討ちの旅に出た日暮。ある時、同姓同名の別人を誤って殺してしまったこと
から、その娘に付け狙われる羽目になり、三つ巴の追跡行となるのだが・・・。
どのエピソードも、基本的な「結末の意外性」は持っているのですが、作者の股旅物でお馴染みのパター
ンが多く、いささかマンネリ気味。
強いて一編を挙げるならば、「影に怒る」のエピソード。日暮が道中で出くわした若い武士の敵討ち。若い
武士は討ちそこない、相手に逃げられてしまうが、日暮と意気投合。しかしその武士は近所で起きた殺人
事件の容疑者となる。事件発生時、その武士は例の逃げた武士と最初の斬り合いをしておりアリバイがあ
るという。日暮は逃げた武士を探し出し、その武士も男らしく、敵のアリバイを証明してくれるのだが、
実は・・・。これは結末の意外性、ドンデン返しもさることながら、「アリバイ」物にしては非常にユニー
クな真相で、ごくシンプルなものながら、話の構成上、盲点となる部分を突く見事な出来の作品でした。
なお連作の最後のエピソードにも、シリーズ全体にまたがるドンデン返しが用意されていますが、こちら
は容易に推測できました。
0188初代スレの>>3
垢版 |
2012/02/06(月) 12:50:58.25ID:1lpMxuXM
南條範夫「情事の連環」(徳間文庫)★☆
1963年の連作集。
父親の遺した資産で優雅に暮らす尾形康子は、父親の知り合いだという村上信夫と出会い結婚する。だが
村上はとんだ曲者だった。彼女の資産を横取りするため、わざと康子に近づき、見事成功を収める・・・。
だが次の話では、その村上の上前をハネようとする女性が登場し、更に次の話では、彼女もまた破滅に至
る。そして巡り巡って最終話、驚きの真相が・・・。
いわゆる「輪舞形式」というヤツで、当時のミステリでは未だ珍しかったのでしょうが、今となっては、その
先駆的な意義しか評価できないですね。騙した者が騙されて・・・、の連続も、トリッキーな趣向が少ないので
楽しめません。
最終回の驚きの真相も、もう誰でも予想できるレベル、驚きでも何でもなく、ヒネりも無い。ただ読みやす
くて、昭和30年代の風俗を懐かしがって読んでいれば良いだけの話です。
0189初代スレの>>3
垢版 |
2012/02/08(水) 12:45:33.08ID:UceycdAg
>>115で題名と評価だけ書いた作品の感想を追加しておきます。

藤原審爾「ろくでなしはろくでなし」(角川文庫)★☆
1974年のブンヤ物の長編、短編「新宿西口ビル街殺人事件」を併録。
表題作。スポーツ紙の不良記者・柳井は、他社の週刊誌に雑文を売るなどして不当な利益を稼いでいる
女たらしの新聞記者。知り合いでもあったプロ野球選手・久野が身元不明の女と自動車事故で不審死を
遂げた事件を追及するうち、競馬・競輪の賭博組織が絡んでいることを知る。新聞社内の派閥争いと上
からの圧力にもめげず、柳井は真相を追及するのだが・・・。
典型的な「社会派推理」ですね。不審死の真相に関する謎解きはあるけど、主人公がうろつき回るうちに
都合よく真相が次々と明らかになってゆくだけで、推理の要素は殆ど無し。面白かったのは、悪役のは
ずの主人公のキャラクターが非常にユニークで、どうしようもない悪徳記者なのに、読み進めるうちに
何故か主人公に肩入れしてしまう点で、楽しく読むことができました。でもやはり1974年の作品にして
は古めかしくて、完全に時代から取り残されているなあ・・・。
短編「新宿西口ビル街殺人事件」は「新宿警察」シリーズの一編。新宿西口のバーで起きた殺人事件。店の
常連だった某国の外交官が容疑者として上がるが、彼は鉄壁のアリバイと、外交特権の壁に守られて
いた・・・。アリバイ工作にしても結末の付け方にしても全てピントがズレている駄作。
以前に読んだ、殺意を抱きあう夫婦を描いた長編「贅沢な殺人」(1969年)はまっとうなミステリでし
たが、それでも古めかしさが目立っており、同時代の清水一行、森村誠一らはもとより、1960年代の
松本清張あたりと比べても更に古びてしまっており、既に1970年代初にして全盛期は過ぎていた作家
だったのでしょうかね。
0190初代スレの>>3
垢版 |
2012/02/08(水) 12:50:39.02ID:UceycdAg
同じく>>115の作品の感想を。

若山三郎「オフィス殺人事件」(青樹社ビッグブックス)★
春陽文庫の「お嬢さんシリーズ」など知られる作者の、1987年の長編。この投げやりなタイトルからして、
ダメダメな作品だろうな、と危惧していたのですが、果たして・・・。
中堅会社の新入社員・大宿淳吉はサッパリした気性の大男で、色々な女性から言い寄られる果報者だが、
誰にもなびかない硬派の男。またしても、勤務先の元OLだったホステス・春美に付きまとわれるが、春
美は大宿が留守の間にアパートで殺されてしまう。大宿は容疑を晴らすため、親友で同期入社の横村と
ともに捜査に乗り出し、被害者を一方的に慕っていたチンピラやら、かつて関係のあった会社の専務ら
と関わるうち、春美が不倫相手を脅迫していたという事実を知る。更に、第二、第三の殺人が起きるの
だが、果たして真犯人は・・・。
うーん、1987年発表の作品ですが、バブルまっ盛り、国鉄はJRに変わり、「新本格」誕生直前だというの
に、何なんだ、このアナクロぶりはw
ガンコ者の会社社長、蓮っ葉な令嬢とダメ社員、お転婆娘らを向こうに回して、腕っ節の強い明朗な坊っ
ちゃん社員が銀座で大活躍、という、昭和30年代から何も進歩していないストーリー。一応、1980年代の
風俗なども取り込んではいるのですが、時代に取り残されて浮きまくっています。
で、肝心の事件の謎解きは、レッドヘリングなり、アリバイ工作のための小技なトリックなり考えられて
はいるし、最後まで真犯人を隠そうと努力はしているのですが、全くパッとしない出来栄え。特に破綻し
ている訳ではないですが、およそ評価できるレベルではないですね。以前に読んだジュブナイルの「遅すぎ
た殺人事件」とドッコイドッコイの出来のスットコドッコイな駄作ですw
0193初代スレの>>3
垢版 |
2012/02/20(月) 12:35:19.47ID:yE8pxbMt
>>191
そのブログ、過去の感想を確認、参照したいときなど、たいへん重宝しています。先般も、笹沢左保「眠れ、わが愛よ」
の俺の感想文に間違いがあったので、訂正をお願いしました。

島田一男「社会部長」(青樹社文庫)★★☆
1949〜1956年に発表された、東京日報・北崎社会部長と彼の部下らの新聞記者の活躍を描いた連作集。「特報社会
部記者」(過去スレ参照)と同じシリーズで、スレの主旨の年代からは遡ってしまいますがご容赦ください。
巻頭の表題作は、音楽家が巻き込まれた殺人事件。アリバイ崩しなども出てくるが取り立てて言うレベルで
はない凡作。「三つの仮面」も元華族の男の失踪話だが、ただの人情譚。
「泥濘の町」は、地元業者やヤクザと結託していると噂される新聞記者が殺される。だが真相は・・・。
「女殺陣師」は、部隊の稽古中に小道具の日本刀が本物とすり替えられ、斬殺された女剣劇の座長。果た
して刀をすり替えた真犯人は・・・。
「三行広告」は先ず先ずの作品。宝石店の不可解な募集広告。指定されたとおりのダンディな格好をした
男たちで溢れかえる宝石店。だが、その直後に起きた殺人事件で現場から逃げた男もまた同じ格好をして
いた・・・。広告の真相は、シャーロック・ホームズのアレというより、「ルパン三世」の或るエピソードを
思い出す愉快なもの。
「幻の男」は古典的な或るトリックだが、やはり法医学的にはどうかなあ。
「特ダネ売り」は、謎めいた情報屋から、大学生の殺し屋による殺人計画のネタを買った記者の話。
「アリバイ売ります」も先ず先ずの出来。ミエミエのアリバイ工作が実は逆に・・・、という発想の転換は面白い。
0194名無しのオプ
垢版 |
2012/02/27(月) 15:26:05.23ID:mSbCDoeK
種村直樹の鉄ミスってどうですか?
0196初代スレの>>3
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2012/03/05(月) 12:57:18.89ID:VxVkbo+U
>>194
種村直樹は「日本国有鉄道最後の事件」(1987年、過去スレ参照)しか読んでいませんが、通常の「鉄道
ミステリ」とは異なる切り口が新鮮でしたね。

笹沢左保「残照岬」(光文社文庫)★★
1987年、一時中断していた「岬」シリーズの第7作。
蓉子は28歳独身、母親と兄夫婦らと暮らしていた。隣家で、夫が妻を殺して床下に埋めていた事件が、
何者かによる放火で発覚したのを皮切りに、一家にも暗雲が垂れこめてくる。居候していた兄の妻の
妹・真紀が謎の失踪を遂げる。真紀は、隣家の殺人犯の夫と深い仲にあり、放火したのも真紀なので
はないか、蓉子は義妹の疑いを晴らすべく、調査に乗り出したのだが・・・。
うーん、これまでの「岬」シリーズにあった、孤独感、ニヒリズムが消えてしまっており、真紀の行方を
探すヒロインの旅行は、恋人になった男と一緒のノホホンとしたものだし、結末の意外性、皮肉なオチ
は決まっているものの、錯綜した謎の真相が余りにもご都合主義的。ラストも、やや皮肉味が過ぎて、
悲劇性が薄れてしまったように思えます。凡作でしょう。
0197初代スレの>>3
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2012/03/07(水) 12:30:10.01ID:I2XGE4y4
北杜夫「マンボウ最後の名推理」(青春出版社)★★
1992〜93年に発表された作品を収めた短編集。
「にっぽん丸殺人事件」は、サハリン行きの客船に乗り込んだ作家の「北杜夫」氏。船内で知り合った老人が
身投げしたらしき痕跡を発見、躁鬱病も手伝って、他殺と決めつけ、支離滅裂な推理を展開するのだが・・・。
客船からの消失の真相は肩透かしですが、本作の意外性は、何と言っても、老人と連れの少年の正体・・・。
これには意表を突かれたw
「梅干し殺人事件」は、ドケチの大富豪が変死。そこにやって来た「北杜夫」氏は、大好物の梅干しに毒が仕
込まれていたのではないか、と勝手な推理を展開するのだが・・・。うーん、ユーモアの質も落ちてしまったな
あ。見る影もない。オチも不出来。
「赤ん坊泥棒」は、ブラジルを舞台にしたドキュメント風の作品。収録作では一番手の込んだ作りだが、残念
ながら謎ときにはなっていない。
作者の作品では、以前に読んだ、旧制高校生が北アルプスの登山中に出会った謎の男が結末で実は・・・、とい
うミステリとして非常に出来の良い短編(題名失念)がありましたが、本作は凡作でしょう。
0198初代スレの>>3
垢版 |
2012/03/07(水) 12:31:47.94ID:I2XGE4y4
草上仁「市長、お電話です」(ハヤカワ文庫)
1991年のSF短編集ですが、注目すべきはSFミステリ「転送室の殺人」★★★☆。宇宙船内の物質転送装置
内で起きた殺人事件、現場は密室状態だったのだが、真犯人はどうやって出入りできたのか。乗船していた
刑事が突き止めた真相とは・・・。SFならではのトリックではありますが、伏線はバッチリ、真犯人の或る
描写など心憎いほどさり気なくキマッている。「あとがき」で作者は謙遜していますが、これは密室物の佳作。
他の作品はSFですので割愛。
0200初代スレの>>3
垢版 |
2012/03/09(金) 12:33:34.49ID:6sMmOnhw
嵯峨島昭「グルメ刑事(デカ)」(光文社文庫)(採点不能)
1987年の長編。
無類の食通である西郷刑事は、北大路魯山人を名乗る謎のグルメ男と出会い、恋人の由紀とともに、日本一の
料理人を決めるテレビ番組に出ることに。だが、「怪人百面相」と名乗る脅迫状が届く。日本一の料理人が決ま
り次第、殺害するという。上司の平束刑事も加わって、「怪人百面相」の正体を追いつつ、グルメの旅を続ける
のだが・・・。
出てくる料理は、ステーキ、カレー、鮨、フレンチにラーメン・・・。各料理の名店と料理人を訪ねて日本全国
を旅して回る、という、「美食倶楽部殺人事件」(過去スレ参照)と同様の展開。しかも、「美味しんぼ」にも似た、
もう聞き飽きたフレーズの数々・・・。ミステリとしての筋はかなり好い加減で、実在の名店を連想する店を登
場させ、その味やレシピを、登場人物のセリフを借りて批評しているだけの部分もあり、何というか、まあ・・・、
ですねw
そしてラスト、北大路魯山人と脅迫犯「怪人百面相」の意外な正体が明らかに・・・。魯山人の方は事前にバレバレ
ですが、脅迫犯の方は・・・、これは意外すぎて、というか、「そんなのアリかよ!!」と叫んでしまいました。まあ、
伏線らしきものもあったのですけどねえ・・・。
・・・これで嵯峨島昭作品も、残すは「秘湯ギャル探偵・・・」と「『活けじめ美女』・・・」の2作のみとなったが、1990年
代に発表された上記作品の評判は、・・・だからなあ。どうしようw
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