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1957〜1987年あたりの本格ミステリ作家達 4
0001名無しのオプ
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2010/09/24(金) 22:33:43ID:tbMTY///
落ちてたようなので、初代スレ3氏他多くの方々の帰還を願いつつ立て直してみますた

過去スレの>>1さんの主旨です
>清張以降綾辻以前の本格ミステリは、泡坂・島田・笠井・連城・東野・岡嶋などといった一部を除いて絶版が多い。
>また、名前は知られていても本格ミステリ作家としての認知度が低い作家も多い(笹沢・西村・森村等)。

>この時期に活躍した本格ミステリ作家達のうち専用スレがない作家達の傑作・駄作を紹介して下さい。
>(要するに「ミステリーズ」でやってた「本格ミステリフラッシュバック」のようなものです)

過去スレ
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1143140545/
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1195364956/

前スレ
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1237095365/
0144名無しのオプ
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2011/08/14(日) 16:43:31.17ID:WIq2gxHY
>>142
3つ目、確か愛川晶にその手口があるので、それ読んでたらタイトルでバレバレな気が・・・
0145初代スレの>>3
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2011/08/19(金) 12:50:56.00ID:DjBNWD71
雑誌「幻影城」(1976年5月号)★★☆
「新人賞作家競作」特集では、何と言っても泡坂「右腕山上空」◎。他の作品とレベルが違いすぎます。
説明不要ですね。
筑波孔一郎「懸賞小説」△、作者自身と「幻影城」新人賞そのものを題材にした作品ですが、凝った割
に謎の設定が唐突で粗い。
宮田亜佐「白い釣瓶」△、土地買収に携わる不動産会社社員の死。古臭く、やっつけ仕事も良いところ。
滝原満「旅立ち」△、母親が臨終を迎えようとしている娘が出会った男は・・・。幻想的なホラーの味を
狙ったのでしょうが、素人レベル。
村岡圭三「風紋」○、砂丘で写真のモデルとなった謎の女は、同時刻に起きた殺人事件の容疑者だった
が、アリバイが・・・。ごく単純なトリックですが、前2作に比べればマシ。
あと、書き下ろし中編の、飛鳥高「とられた鏡」○、内ゲバの殺人犯が工事現場の飯場に潜り込むが、
その秘密を知る男に脅迫され、人を殺してしまう。だが死体が消失して・・・。さすがに文章はシッカリ
しており、消失トリックも単純ですが、コンパクトにまとまった良作。
メインの「女流作家傑作集」には、四季桂子「胎児」(1957年)、藤木靖子「女と子供」があるが、ど
ちらも大した出来ではないです。泡坂を除けば、村岡圭三と飛鳥高の作品以外に見るべきものは無い
です。
0146初代スレの>>3
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2011/08/19(金) 12:54:09.69ID:DjBNWD71
栗本薫「ネフェルティティの微笑」(中公文庫)★★☆
>>62さんが紹介された作品、1981年のノンシリーズ長編。
失恋の痛手から、エジプトに旅立った秋夫は、カイロで謎めいた女性・小笠原那智に出会う。妖艶な
那智の不可解な行動に翻弄されてゆく秋夫だったが、ピラミッドの石室で、那智が何者かに襲われて
しまう。だが次の瞬間、犯人も那智もピラミッドから消え失せてしまった。何が起こったのか、そし
て那智の秘密とは・・・。
ピラミッド内の人間消失トリックは、はっきり言ってアンフェアというか、最後になってそんなこと
言われてもなあ、というのが正直な感想です。真犯人も、登場人物の少なさから簡単に想定できてし
まうレベル。カイロの街の喧騒に満ちた猥雑な雰囲気や、那智に翻弄され破滅してゆく男たちの心理
などは上手く描かれているとは思いました。
0147初代スレの>>3
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2011/08/29(月) 12:26:22.36ID:ta5vyS9x
結城昌治「死者と栄光への挽歌」(文春文庫)★★
1980年の長編。「フラッシュバック」紹介作ですね。
先の大戦で戦死したはずの父が今まで生きていて、交通事故死したという。息子の売れない画家・睦男は
生命保険の受取人に指名されるが、納得のできないカネは受け取りたくない。そもそも交通事故死した男
は本当に自分の父親なのか、もしそうだとしても、何故何十年も家族の元に帰って来なかったのか、睦男
は関係者を尋ね歩き、真相を探るが、やがて不可解な事件に巻き込まれてしまう・・・。
ハードボイルドでお馴染みの「失踪人探し」テーマの変形で、父親は本物なのか、本物ならば何故今まで名乗
り出なかったのか、偽者ならば、それは誰か、別人の名を騙った理由は何なのか、というところがポイン
トなのですが・・・。うーん、これを「本格ミステリ」と評価するには無理があり過ぎますねえ。謎解きの核
として、作者は、旧日本軍に関する或る「動機」を持ち出し、父親の真偽と、更に派生して起きた事件の
謎解きを行い、その「非人間性」を告発しているのですが、発表当時の1970〜80年代ならともかく、現代
では読者の支持を得にくいのでは、とも思います。
また「あとがき」のヒステリックな主張は、結城昌治ともあろう者が見苦しいです。こんな調子だから、「真犯
人」に対する主人公の最終的な「処置」が、作者の告発した「非人間性」と同等の仕打ちであることに、主人
公が(すなわち作者が)全く気付きもしないのではないか。今読んでもピンと来ないし、むしろ「真犯人」を
支持する人の方が多くて反感を買いそうな話ですね。
0148初代スレの>>3
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2011/08/29(月) 12:29:03.57ID:ta5vyS9x
笹沢左保「無情岬」(光文社文庫)★★★
1979年の「岬」シリーズ第3作。
会社の同じ課で立て続けに起きた3件の殺人事件。会社上層部は企業イメージ悪化を恐れて、課長の佐竹
を左遷する。一方、事件は、佐竹の部下・早乙女が失踪し、指名手配されることで解決したかに見えた。
だが佐竹は、真犯人は他にいるのではないかと疑い始める。やがて早乙女の不可解な服毒自殺が発覚した
ことで、早乙女の妻で、かつて佐竹を愛していた律子こそが真犯人なのではないかと佐竹は追及を始める。
だが彼女には鉄壁のアリバイがあった・・・。
「事件当時、容疑者は主人公とともに、現場のはるか沖合の船上にいた」という飛び切りのアリバイが出て
きますが、笹沢左保の先行する某名作が一種のミスディレクションになっているところがミソでしょうか。
作者がどこまで意識してやったかは分かりませんが、その誤誘導される名作は2作あり、俺はてっきり、
どっちかのパターンだろうと思っていたら、まんまと騙されてしまいました。但し、トリック単体の出来は、
先行2作の方が上で、先行作品を知らない読者には効果的なものではないし、本作のアリバイ工作自体、
少々無理があるのでは、と思いますね。
0149初代スレの>>3
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2011/09/06(火) 12:25:56.76ID:+rlOmtW3
司城志朗「?(はてな)の家族殺人事件」(講談社Jノベルス)★★☆
1987年の長編。
女子大生の小林尚子は、年の離れた弟の幼稚園の友人で大富豪の息子・志麻津雅樹の屋敷に招かれる。
祖父と父母、執事ほかの使用人たちとの晩さん会。だが全員の様子がどことなくおかしい。泊った晩
に廊下に倒れていた家政婦は、翌朝、何ともなく元気だったかと思えば、男の死体は消えてしまうし、
もう一人の家政婦は遠く離れた場所で殺されてしまう。更に町のあちこちで、家族や使用人にソック
リの人間を見かける尚子。一体、この大富豪一族は何者なのか・・・。
メインのアイディアはなかなかトリッキーで面白く、ちょっと似た趣向は、麻耶雄嵩の某作品にも見
られるものですが、これが中盤で明かされてしまい、以降、真犯人捜しに移行してしまうのが残念。
真犯人の意外性だけではなく、このアイディアもひっくるめて、伏線を凝らして、結末まで引っ張っ
てほしかったですね。
なお「スラプスティックス・ミステリ」と銘打っていますが、さほどのドタバタではないのは良いもの
の、いかにも1980年代風といった風俗描写が今となってはイタいw
0150初代スレの>>3
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2011/09/06(火) 12:27:28.18ID:+rlOmtW3
佐々木淳「消えた共犯者」(祥伝社ノンポシェット)☆
現役の大阪市役所幹部だった作者による1987年のデビュー作。
若手サラリーマンの里見真右エ門は、オーナー会長の孫娘・松平彬が社長を務める子会社に出向した
とたん、彬が一目ぼれし、婚約することに。そんな折、彬の自動車が盗まれ、高速道路で逆走して正
面衝突する事故が発生、だが衝突したもう一方の車もまた盗難車で、両方の運転者が行方をくらまし
てしまった。更に同様の事件が相次ぐ。盗難車を使って正面衝突を繰り返すのは何故なのか。二人は
事件を追及するのだが・・・。
・・・何と言うか、良い所が一つもない、ダメダメのお話。構成もダメなら文章もダメ、登場人物、特に
ヒロインの彬のキャラがもう何というか・・・、こんなバカ丸出しの気色悪い女を描いて、作者は「可愛い
女」だとでも思っているのでしょうか。事件の真相も採るところ皆無。ユーモア・ミステリとのこと
だが、殆ど笑えないアナクロぶり。
作者はミステリファンだというが、一体どんなミステリを読んできたのだろうか?どう考えても、志茂
田景樹ファンとしか思えないレベルの低さ。大阪市役所の現役幹部だった頃に発表しているけど、世間
体というものを考えなかったのだろうか?駄作中の駄作。
0151名無しのオプ
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2011/09/06(火) 14:23:00.49ID:OSE/rZv9
倉知淳の本名が佐々木淳じゃなかったっけ。
でも別人か。
0153名無しのオプ
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2011/10/11(火) 18:34:39.84ID:EHOJ0Ov4
3氏お元気ですか?
レビューはいいんで生存報告だけでも
0154初代スレの>>3
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2011/10/13(木) 13:06:28.36ID:jUdjjuPU
ハイ、元気です。最近ペースが落ちていますが、斎藤栄、松本清張、本岡類、赤江瀑など、紹介したい
作品は未だ未だ控えておりますので(但しこれから読むのですが)、長い目で待っていてください。

草野唯雄「仁衛門島殺人事件」(徳間文庫)★★
1977〜84年に発表された作品を収めた短編集。
表題作は、終盤で「読者への挑戦」のある気合いの入った作品、千葉の仁衛門島でコートの取り違え
から起きた殺人事件を推理するもの。コートを取り違えられた男と友人、被害者の娘の推理合戦がミソ、
伏線なども考えられていますが、所詮、中学生向け雑誌掲載作ということもあって、その程度の出来。
その他、「二億円の嘲笑」は、警官と組んで組の資金を奪ったヤクザ、出所してみると警官の行方が
分からない、持ち逃げされたのか?という話。
「まぼろしの指紋」は、身に覚えのない容疑者が、どうやって凶器に指紋を付けてしまったかを追うもの
だが出来は悪い。
「老人は撃った」、「復讐の導火線」、「みどりという女」などはサスペンス物。
異色作は「罪九族に及ぶ」。文豪・国木田独歩とその関係者たちを相次いで襲った悲劇を、作家が文献
から推理するもので、無論、長編「文豪挫折す」の元作品。但しミステリというには、ただ文献に当たっ
て調査しただけ、という感じが強く、思いきった発想とか着想の飛躍がないので今一つです。
0155名無しのオプ
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2011/10/13(木) 19:59:30.81ID:8UKpD8GW
3氏乙でございます
お元気で何より
0156初代スレの>>3
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2011/10/18(火) 12:24:18.39ID:Ttsc1RCN
岩崎正吾「風の記憶」(東京創元社)★★☆
1989〜90年に発表された作品を収めた短編集。
「八ヶ岳南麓・首なし死体」は、小海線で起きた死体轢断事件。初老の刑事が付近の別荘地に住む忘れ
られた往年の流行作家の行動に疑問を抱くが・・・。基本的なトリックですが、まあ短編だし、こんな
ものでしょうか。
「ぼくの愛した少女」は、山梨県の富士川流域を舞台にした青臭い青春小説ですが、奇抜なアリバイ工
作が印象的。
「長崎から来た女」は、作者の学生時代を反映した内容で、ミステリ味は薄い。
表題作も、少年時代に山で迷子になった男たちが、二十数年後、行方不明の仲間を探すために再会
して・・・、というもので、ホラー風でもあるが、本格ミステリではないです。
いずれも、この作者の持ち味が出ているのですが、「風よ、緑よ、故郷よ」や「恋の森殺人事件」(過去
スレ参照)と同様、どこか青臭さが抜けないですね。
0157初代スレの>>3
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2011/10/18(火) 12:26:30.72ID:Ttsc1RCN
斎藤栄「富士山麓殺人事件」(祥伝社ノンポシェット)(採点不能)
1979年の長編。後の小早川警視正シリーズに発展する牧警部シリーズの第1作とのこと。
フランス留学中に牧と知り合った智子は、帰国早々、母親の死に直面した。現場の別荘は密室で
事故死の可能性もあったが、母親の過去と、死の直前に漏らした「富士山麓って良いことがあるわ」と
いう言葉に疑問を持った智子は、牧野の助けを得て調査を開始する。
一方、国会議員・桜内の息子の誘拐事件が勃発。息子は既に成人した医師で、しかも犯人側は身
代金の代わりに桜内所蔵の絵画を要求するなど、不可解な状況だったが、無事、息子は解放され
る。だが、この事件がやがて、智子の追及する事件と絡んでくることに・・・。
うーん、アリバイ工作に密室、不可解な誘拐事件の真相など、トリッキーではあるし、一応論理
的に辻褄が合っているようにみえるのですが、常識的に考えて真犯人の行動が全く必然性ゼロ、
矛盾撞着も甚だしいです。あのアリバイ工作もショボいし、密室トリックも実に下らない。
「富士山麓」の謎は中盤であっけなく解決、むろん謎の核心でもないオマケ程度の謎だが、まあ誰も
が直ぐに思いつくアレですw気付かない方がどうかしている。
一点だけ、或る人物のレッドヘリングとしての使い方は上手く、伏線もあったのに、真犯人を上
手に隠すことには成功したとは思います。でもなあ・・・。
因みに、例のお抱え解説者の某、「トリッカー斎藤栄」とか持ち上げていますが、そりゃ何だ?「トリ
ッキー」とか「トリック・メーカー」とは言うけどねえw(この某、実は斎藤栄本人なんじゃないか?)
0158初代スレの>>3
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2011/10/18(火) 12:30:14.50ID:Ttsc1RCN
あと、>>115で題名だけ挙げた作品の紹介です。

山崎洋子「三階の魔女」(講談社文庫)★★★★
1986〜1989年に発表された作品を収めた短編集。
「ラブレター」は、同窓会で再会した級友と不倫の関係になった男。相手から借金を申し込まれるの
だが・・・。冒頭の伏線から意外性のある結末までスキがない出来の佳作。
「狼女は眠れない」は誘拐物。祖父母に甘やかされている男児を誘拐した女性。実は・・・。
「いきなりハードボイルド」はユーモア調だが箸休め程度の作品。
「六本木メランコリー」は1960年代末に青春を過ごしたデザイナーの話。不倫の話やら団塊世代の
1960年代のノスタルジックな話で大したことないかと思っていたら、ラストでトリッキーな謎解
き物に変貌する良作。「赤いお月さま」は、モテない男が巻き込まれた罠の話。凡作。
「人形と暮らす女」は、乳母車に乗せた人形を自分の娘だと信じている母親に出会ったヒロイン。
精神病かと同情して彼女の家で家政婦として働き始めるが・・・。ホラーかと思わせて謎解き物に
変貌し、更にラストでは・・・、という凝った作品。
表題作は、カラオケスナックで働くヒロインの隣家に、人質を取って立てこもった男。ヒロイン
の知り合いだと言い、一緒に無理心中してくれないと隣家の住人を殺す、などと無茶苦茶な要求
を突き付けてくる・・・。これも、奇抜な冒頭のやり取りがラストで一転、鮮やかな結末を迎え
る佳作です。
0159初代スレの>>3
垢版 |
2011/10/24(月) 12:38:01.86ID:Kxt/1G1E
高木彬光「どくろ観音−千両文七捕物帳」(春陽文庫)★★★☆
初出等の詳細は不明ですが、主に1950年代に発表された、白皙の美男子だが女嫌いの千両文七親分
(神津恭介に共通しますね)と、手下の合点勘八が活躍する捕物帳シリーズ。
「天狗の仇討ち」、人間には不可能な状況での怪事件、天狗の仕業かと思われたが・・・。トリッキー
ではあるが、解決がやや唐突かな。
「妖異雛人形」も、駕篭からの人間消失トリックが出てきて期待させるが、真相はあっけない。
その他、「新牡丹燈籠記」では長屋の密室からの消失、「怪談一つ家」はバラバラ死体の謎、「荒寺の
鬼」はアリバイ工作、表題作は作者お得意の刺青ネタに筋書き殺人の変形、更に「離魂病」では
クリスティの超有名作品に挑むなど、トリッキーな趣向がてんこ盛りで、その点は満足できた
のですが、如何せん、文庫版で各編30ページ弱の分量では、伏線や解明手順があっけなさ過ぎ
ますね。
とは言え、全12編、先ず先ずの収穫でした。
0160初代スレの>>3
垢版 |
2011/10/24(月) 12:41:33.21ID:Kxt/1G1E
松本清張「失踪」(双葉文庫)★★★
これまでに文庫未収録だった1956〜71年までの作品を収めた短編集。
冒頭の「草」が面白い。病院に入院している、出版社の経営者である「私」。病院長と看護婦の駆け落ち
に続いて事務長の自殺など、病院内に怪事件が頻発する。隣室のおせっかいな入院患者の男とともに
一連の事件の真相を探るのだが・・・。後半になって突然、それまでの「私」の語りが変化し、急転直下
の結末に至ります。はっきり言ってアンフェアですが、それでも肝心の部分を登場人物のセリフにす
るなど、地の文と「私」の行動には一応整合性をとって注意を払っており、ラスト一行のセリフも含め、
この作者がこんな作品を・・・、という意外性はあります。
「詩と電話」は、病み上がりで九州の地方支局に異動になった新聞記者が、いつも特ダネにありつく地元
紙の古参記者の秘密に迫る話。特ダネに一番乗りするアイディア、作品の雰囲気なども含め、解説に
あるとおり、時代風俗を無視すれば、横山秀夫の新作短編といっても通りそうな佳作。
残りの「二冊の同じ本」と表題作は全体に消化不良ぎみの凡作。
0161初代スレの>>3
垢版 |
2011/10/24(月) 12:45:17.84ID:Kxt/1G1E
赤羽建美「彼に殺される!?」(集英社文庫)★
1987年のノンシリーズ長編。
真理子は恋人の進一の不可解な行動に悩まされ、更に、自分が高校生時代に書いた日記の「将来、恋人に
殺されることになる」という記述が現実のものになるかも知れないと怯えていた。ところが、進一が轢き
逃げに遭って死亡する事件が起こる。進一はどんな秘密を抱えていたのか、真理子は調査を進める
うちに知り合った野口とともに事件を追及するのだが・・・。
アハハ、この作家はミステリを全く理解できていない。過去の日記の一節と現在の事件には繋がりは
無いし、進一を轢き逃げした犯人の設定は伏線無しで藪から棒も良いところだし、ヒロインは言い訳
しつつも節操が無い女だし、何より芥川賞候補になったとは信じられないほど文章も幼稚(まあ、芥川
賞受賞作家にも、宇能鴻一郎や菊村到のような例はありますが、彼らの通俗小説は題材が幼稚であっ
ても、流石と思わせる部分もあるのに、この作者と来たら・・・)。
おまけにバブル丸出しで、それも当時の先端を行っていたならともかく、本作より何年も前に出た
「なんとなく、クリスタル」の猿真似に近いとは・・・。
エピローグで、或る人物の思いもよらない真実が明らかになるという意外性もあるのですが、これ
また全体の流れから浮いてしまっており、駄作としか言いようがないですね。
0163おっさん
垢版 |
2011/10/27(木) 14:55:12.82ID:7fMkIdm4
>>159
時代ミステリとしての捕物帳に興味があり、未読のものにも少しずつ手をだして
いるところでした。
高木の千両文七ものを具体的に紹介していただき、これは読まねばと、大いに
刺激されました。

>初出等の詳細は不明ですが
「夢現半球」というサイトの、「高木彬光の部屋」に労作の時代小説リストがあり、
そこでかなりの程度、確認できます。ご参考まで。
0164名無しのオプ
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2011/10/27(木) 21:32:39.53ID:yqqGKu08
3氏の紹介か知らないけど
アンソロジー「ホシは誰だ?」を入手しました
文庫なんだけど、土屋作品が削られてるみたいですね
5年以内に読めたらな・・・
0165初代スレの>>3
垢版 |
2011/11/08(火) 12:34:44.85ID:DlTbwRRl
>>163
サンクスです。

本岡類「窒息地帯」(新潮社)★★
1995年のノンシリーズの長編。発表年代はスレの主旨には合いませんが、文庫化もされていない作品
のようなので、ここで紹介しておきます。
東京の弁護士事務所でイソ弁勤めをしていた夏原は、ボスの急死によって、郷里の水戸に戻って独立、
弁護士事務所を開設する。第一号の依頼者の持ち込んだ事件は、連続放火事件の容疑者として逮捕さ
れた男の弁護だった。ムシャクシャしてボヤを起こした事件は認めたが、それ以外の死亡者を出した
放火事件は全く心当たりがなく、冤罪だと訴える被疑者。夏原は、地元新聞の女性記者・栗田泉とと
もに事件の真相を追うのだが・・・。
放火事件の詳細の描写がおろそかだったり、重要な情報が後出しだったりと、これは到底、佳作とは
言えない出来で残念。法廷の場面も力不足。主人公の弁護士のキャラは力を入れていますが、法廷ミ
ステリとしても、小杉健治には遠く及ばないです。
また真犯人の設定と伏線、その動機に絡む社会的な問題への掘り下げ方も中途半端な感じ。残念なが
ら凡作でしょう。
0166初代スレの>>3
垢版 |
2011/11/08(火) 12:37:39.71ID:DlTbwRRl
大谷羊太郎「殺意の交差点」(双葉ノベルス)★
1989年のノンシリーズ?長編。
色男の拝原は年上の女性実業家と結婚、だが女傑の妻に首根っこを押さえられているのを不満に思い、
知り合いの加賀と共謀して彼女を殺そうと企む。加賀が写真を使ったアリバイ工作を用意して、拝原は
自宅へ向かうが、いるはずの妻がいない。それどころか加賀もまた姿を消していた。一方、未解決の
迷宮入り事件を追う沖津警部は、過去の保険金詐欺事件を追っていたが、いつしか拝原の事件へと絡
んでくることに・・・。
ああ、ダメだ。二重、三重に絡み合った共犯関係とその騙し合いを、それを知らない狂言回しの拝原の
視点からだけに絞って描いて、ラストの謎解きで解決すれば、一応見られる作品になったのに、裏の
連中の動向も並行して描いたんじゃ全く無意味。謎解きもヘッタクレもあったもんじゃない。駄作。
0167初代スレの>>3
垢版 |
2011/11/16(水) 12:23:05.44ID:q67uSR5A
笹沢左保「江戸の夕霧に消ゆ 追放者・九鬼真十郎1」(徳間文庫)★★★
江戸の浪人・九鬼真十郎が、裏切った仲間を殺して「重追放」の身となり、犬のシロを連れて諸国を
放浪、他人を一切信じず、関わりを持とうとしないにも拘わらず、様々な事件に巻き込まれては意外
な真相を暴いてゆく、という趣向の、1978年の時代物の連作集、第1弾。
第1話の表題作で、主人公が重追放となる経緯が描かれていますが、この話でも、真犯人の設定にヒ
ネりが加えられています。
「街道の青い鬼」は、信州の街道沿いに出没する鬼の正体と、その黒幕の動機の意外性が上手い。
「地獄の声か娘たち」は旗本の忘れ形見の娘と思われる候補者の娘たちが次々と殺される。容疑者には
アリバイがあったのだが・・・。読者をアリバイ崩しかと誘導させておいての意外な結末。
ベストは「むらさきの姫君」。田舎で暮らしていた江戸の豪商の娘を見捨てて死に至らしめた男たちが
次々と怪死。かつて娘が飼っていた小ギツネの祟りなのか・・・。シロの様子や冒頭の些細な出来事から
事件の真相を見破る真十郎の推理が見事。特に伏線の張り方は非常に巧みで、クリスティの古典的
な趣向まで使って、間然とするところのない佳作です。
その他「さすらいの狼」、「恐怖の村祭り」で全6編。
0168初代スレの>>3
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2011/11/16(水) 12:25:06.51ID:q67uSR5A
笹沢左保「美女か狐か峠みち 追放者・九鬼真十郎2」(徳間文庫)★★★★
居場所を定められず諸国を放浪する、重追放の浪人を主人公とする1978年の連作集第2弾。
「師走の風に舞う」○、武士との果たし合いに勝つため、真十郎は天気予報の名人二人に当日の天候を
聞くが、二人の天気予報は全く異なるものだった・・・。片方の予報を信じるに至るまでの、真十郎の逆説
的な論理展開がユニーク。
「雪に桜の影法師」○、飼い犬に大金を持ち逃げされたと訴える盗賊。真十郎はシロを使い、盗賊の犬
が逃げた真相と、裏の真犯人を暴く。
表題作△、峠に三本脚の狐が出没して旅人が相次いで殺される。真十郎の暴いた真相とは。
「禁じられた助太刀」◎、医師の娘にケガをしたシロを助けてもらった真十郎。娘とその父親は、母親
を殺した侍の敵討ちをするという。その助太刀を引き受けた真十郎だが・・・。結末の大ドンデン返しと、
それを支える伏線が実に見事、作者の「本格」魂が炸裂する傑作です。
「死んだ女の用心棒」◎、これも傑作。雪深い信州の宿に閉じ込められた真十郎と五人の男女。江戸で
夫が妾を殺すのを目撃して出奔してきた女が殺される。真十郎、出しゃばり過ぎですが、クローズド
サークルの事件を解決し、さらに江戸で起きた雪の密室殺人まで解決してしまう名探偵ぶりw
「鉄火場に鶯が啼く」△、止むにやまれぬ事情から、賭場で大金を得ようとする名主と出会った真十郎。
壺振りの若者とイカサマの手はずを整えたが・・・。
全体に「木枯らし紋次郎」と異なり、主人公のニヒルぶりが薄れ、むしろ積極的に全国津々浦々で起き
た事件を解決して回っているみたいw、ミステリとしてはこのシリーズの方が面白いかも。特にこの
第2集は「本格ミステリ」として評価できる佳作が揃っており、「求婚の密室」や「岬」シリーズなどの
「本格」の佳作群を書いていた同時期の時代小説として要注目でしょう。
0169名無しのオプ
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2011/11/22(火) 01:10:10.21ID:1TrJI+vz
九鬼真十郎、露口茂主演でドラマ化されてるよね
0170初代スレの>>3
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2011/11/24(木) 12:44:59.01ID:H6X2TEts
高木彬光「刺青の女−千両文七捕物帳」(春陽文庫)★★★☆
「どくろ観音」(>>159参照)に続く、千両文七シリーズ第2弾、文七も登場する連作「私版天保六花選」
も併録。
「羽子板娘」△、さる藩のご落胤を探すよう、藩の重役から依頼された文七。折から起きていた羽子板
盗難事件と複雑に絡んでいることを知るが・・・。ご落胤の正体に意外性はありますが、やや錯綜しすぎで
スッキリしない。
「雪おんな」○、祝言間近の娘が雪女に攫われる。雪の現場には、娘の足跡しか残っていなかった・・・。
足跡トリックですが、江戸時代らしいおバカなネタが楽しい。
「阿蘭陀かるた」△、常磐津の女師匠が駕篭の中で殺される。誰も近づいた者はいないのだが・・・。
「白首大尽」△、盗賊上がりの豪商の正体は・・・。
「花嫁の死」△、新婚早々の嫁が実家に帰る途中で殺される・・・。
表題作◎、江戸じゅうの刺青持ちの女を集めた品評会の席上で起きた殺人。彫師の双子の娘に嫌疑が
かかるが、二人にはアリバイがあった・・・。瓜二つの双子の娘、見分ける手段は刺青の図柄の違い・・・、
あの名作のパロディか?と見せてのドンデン返しが面白い。
連作「私版天保六花選」は、江戸の悪党・河内山宗俊と片岡直次郎を主人公にした連作集なのですが、
各エピソードのつなげ方がマズく、全体としては凡作。但し、第1話「直侍雪の夜話」は傑作。江戸
を出奔した片岡直次郎を追って、中山道・深谷宿にやってきた千両文七。宿屋の主人から妻殺しの真
犯人を探してほしい、と頼まれるのだが・・・。結末のドンデン返しと真相に「アンフェアじゃないか?」
と読み返してみたのですが、これが実に見事な書き方。確かに・・・・・・・とは書いていないし、上手く
回避して読者に一杯喰わせており感心。作者の某佳作と同趣向ですが、こんな時代小説で、あのネタ
を使い回しているとは思いもしなかったw
0171初代スレの>>3
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2011/12/09(金) 12:39:13.51ID:iUUvAPtS
津村秀介「横須賀線殺人事件」(講談社文庫)★★
1991年の浦上伸介物の長編。
横浜を走る横須賀線の列車内で起きた女性の刺殺事件。捜査を進めるうち、被害者は4億円ものサギ
事件に関わっていたことが分かり、サギ師グループの仲間割れかと思われた。更に北海道ではほぼ同
じ頃に、やはりサギ師グループの一員が殺されていることが判明する。やがて浮かび上がった容疑者
には、事件直前に列車から降りたことは間違いないという鉄壁のアリバイが。またどうやって北海道
へ飛んだのか、浦上と助手の美保の活躍や如何に・・・。
「北海道へ瞬時に飛んだ謎」は肩透かし、「いったん降りた列車にどうやって戻ることが出来たのか」も、
手掛かりが出た瞬間に誰でも分かるシロモノで、大したトリックではありません。だいたい、謎の提
出の段階が遅すぎるし、そのため謎解きの興味で引っ張る話になっておらず、凡作でしょう。
0172初代スレの>>3
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2011/12/09(金) 12:41:39.24ID:iUUvAPtS
笹沢左保「影が見ていた」(徳間文庫)★★☆
1961年発表、自動車セールスマン北川を主人公とした三部構成の連作集。現代物では、「セブン殺人事件」
(過去スレ参照)とともに、作者には珍しい、シリーズ物の主人公が出てくる作品です。
先ず第一部(というか独立した第一話ですね)「もう時間がない」○、セールスのお得意先の有閑婦人が服
毒自殺?北川は、瀕死の彼女が言い遺した「もう時間がない」というダイイング・メッセージの謎を追及す
るのだが・・・。取り立ててトリッキーでもないのですが、冒頭の些細な伏線のさり気なさが上手い。それにし
ても、代官山が「場末」とは、さすが五十年も前の作品w、時代を感じさせます。
第二部「闇の眼」も先ず先ずの出来で○。北川が乗り捨てたタクシーの運転手が殺される。警察から疑われ
た北川は、彼の後に入れ違いでそのタクシー乗った男女二人組が真犯人ではないかと追及するが・・・。古典
的なトリックですが、一応、フェアな描写になっています。
第三部「静寂が来た」は、北川と愛人が旅行先で出くわした新婚旅行中の妻の自殺事件。北川の取引先に絡
んでくるのだが・・・。ミステリとしては大した出来ではないが、ラストは、いかにも笹沢左保らしい結末。
・・・本作は、「真昼に別れるのはいや」、「空白の起点」「泡の女」(いずれも過去スレ参照)といった名作・
佳作群と同じ年に書かれた、ごく初期の作品ですが、やはり上記の名作群と比べると見劣りしますね。
0174名無しのオプ
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2011/12/14(水) 15:27:05.54ID:1E79mKmg
このスレはおもしろいね
0175名無しのオプ
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2011/12/16(金) 16:58:35.33ID:2wn7GBbf
原子炉の蟹が復刊されたね
0176わふー ◆wahuu..wDY
垢版 |
2011/12/16(金) 17:01:46.73ID:Ae3vHCvJ
        /: : :ヽ: : : : : : : : : : : : : \
       / : : : : : : :ヽ: : : : : : : : : : : : : ヽ
      /: : : : : : : : : : :「:` : : : : : : : :\ : ',
        !: : : : : :/: : : : : ,!: : : : ト、: : : : : :\:!
      |: : : : : /: : : : : / ヽ : : ',  \: : : : : ',ヽ─ァ
      |: /: : :i; : : : : / __,,ィ: : ヽ `ー\ : : : !: : :/
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        _ -‐‐N/_) l !   ̄」ヽ_ l´Y lr‐
         //イ: :// ) ! |二二 ィ: : : : ! | | |r、
      ///: : : : レ / 」 lL__/ )_」 : : 「ヽ |_│ | |
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      // {: : : : : ヘ   j  /: : : : : : ヽ     |
      ヽ:い-── ヘ    イ: : : : : : : : : \   i'
0177初代スレの>>3
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2011/12/26(月) 12:36:07.46ID:XPW8zVrp
嵯峨島昭「軽井沢夫人」(光文社文庫)★★★☆
1979年、「・・・夫人」シリーズの第3作。
軽井沢の別荘で発見された若い男の死体。友人の別荘に遊びに来ていた酒島警視が捜査本部とは別に
調査を続けるうち、被害者は一年前に軽井沢にやって来た貧乏学生・紫藤純一と判明。関係者を訪ね
歩くうちに分かってくる紫藤の野望と挫折。別荘で暮らす社長夫人・中川佳子に取り入って不倫の恋
に落ち、更に彼女を足がかりにして大臣令嬢を誘惑し、政財界に食い込んでゆこうとする紫藤。夏の
軽井沢で一体何が起きたのか・・・。
例によってベタベタのメロドラマ、今回はヒロインのみ清廉で、相方の主人公はピカレスクな青年で
したが、何とも昭和の香り漂う、古き良き時代のブルジョワ生活の延々とした描写にウンザリ・・・、と
思いきや、終盤では怒涛の謎解きが展開され、二重、三重のドンデン返しの末、意外な真犯人が暴露
され、ひと夏の野望に燃え尽きた主人公は破滅的な結末を迎えます。
しかし・・・、これほどの謎解きがありながら、中盤までの伏線が少な過ぎる。確かに幾つかの点では事
前に示唆されており、この点は良かったのですが、あの真相を支えるには不十分。もっと伏線に配慮
していれば傑作となりえたのに、惜しい作品です。
なお、作中でも言及がありますが、アラン・ドロンの名作映画「太陽がいっぱい」を連想する作品で、
読んでいる間はずっと、「太陽がいっぱい」の、あの何ともやるせない主題曲が流れていましたよ。
これで「・・・夫人」シリーズ、「湘南夫人」、「札幌夫人」(いずれも過去スレ参照)三部作を全て読了。
本作と「札幌夫人」の出来が割と良かったですね。
因みに、この作品、日活で映画化されましたね。高田美和と五代高之が主演。日活映画なので、当然
アレなのですが、当時高校生だった俺は・・・(以下略)。
0178初代スレの>>3
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2011/12/26(月) 12:38:16.56ID:XPW8zVrp
赤江瀑「金環食の影飾り」(角川文庫)★☆
1975年の長編。
女優の綾野曙子は、亡き姉・姚子の遺した新作歌舞伎「大内御所花闇菱」の上演を見に行くが、劇場で
姉に良く似た女性が何者かに襲われるのを目撃する。曙子は京都で暮らしていた姉の秘密を追及する
のだが・・・。
うーん、好きな人は熱狂的に好きになるのでしょうが、ミステリとしては余りに構成が杜撰。真犯人
の設定や真相には何の意外性もなく、作中作となる「大内御所花闇菱」がもっと本筋に絡んでくるのか
と思ったらそうでもないし・・・。耽美小説としては別の評価があるでしょうが、「ミステリ」としては
お粗末な作品でしょう。
0179初代スレの>>3
垢版 |
2012/01/06(金) 12:29:55.61ID:FoHWpL5v
五木寛之「蒼ざめた馬を見よ」(文春文庫)★★★
「さらばモスクワ愚連隊」に続く、1967年のごく初期の短編集で、表題作は直木賞受賞作。約20年ぶりに
読み返してみました。
表題作は、実は「本格」風味を湛えた佳作です。ソ連の老作家による幻の未発表長編大作の存在を知った
新聞記者の鷹野。レニングラードに飛び、ソ連では発禁が予想されるその原稿を入手し、密かに国外
に持ち出し、全世界に発表しようと目論む。老作家は頑として原稿を手渡そうとしなかったが、苦労
の末、ようやく原稿を手に入れることに成功するのだが・・・。同時代の三好徹の作品といっても通りそ
うな国際謀略物の佳作です。三好や高柳芳夫の作品で見かける「裏の裏をかく」ドンデン返しと、或るト
リックが冴えまくっており、そのトリックを使った肝心の箇所も、一応、叙述に配慮してフェアな描
写になっています。これは思わぬ掘り出し物でした。
その他、「天使の墓場」は、高校登山部が冬山登山中、墜落した米軍機を見かけるが、一行は遭難し、唯
一生き残った教師は、墜落事故が隠蔽され闇に葬られる中、精神病院に入院させられてしまう。苦難
の末、墜落現場に戻った教師が見たものとは・・・。これまた、森村誠一作品のような社会派・謀略物ミ
ステリ。ラストは何となく予想できましたが、なかなかにコワいオチです。
残りの「赤い広場の女」、「バルカンの星の下で」は、冷戦下のソ連・東欧を舞台にした作者お得意の作品
ですがミステリ味は薄く、「弔いのバラード」は広告業界の酷薄さを糾弾した作品。
・・・作者には、「幻の女」などの「奇妙な味」系の作品も多く、「カーセックスの怪」など、ヨコジュンも裸足
で逃げ出すバカSFのケッサクもあり、また夢野久作ファンでもあり、傑作「戒厳令の夜」、「ヤヌスの首」
などの広義のミステリともいえる伝奇ふう冒険小説もあるなど、一時期、熱心に読んでいました。
0180初代スレの>>3
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2012/01/06(金) 12:32:29.67ID:FoHWpL5v
山村美紗「京都鞍馬殺人事件」(徳間文庫)★☆
1985年のキャサリン物の長編。
京都で随一の日本舞踊の家元一族を巡って起きた連続不審死。鞍馬寺近辺で家元夫人が服毒死を遂げた
のが皮切りだったが、自殺とみられ、病気入院中の家元が、呼吸器が外れて死亡した件も事故と思われ
ていた。だが次期家元候補だった息子が舞台の本番で毒殺されるに及んで、ついに連続殺人と判断され、
京都府警が乗り出してきた。次期家元の座を巡る事件とみたキャサリンは、浜口とともに事件を追及す
るのだが・・・。
・・・山村美紗といえば、ベストセラーとテレビの二時間ドラマ・映画化という、ビジネス化した「産業ミス
テリ」(レコードの売り上げとコンサートで莫大な収入を得るためにポップス化し、何の批評性も持たず
にビッグビジネスと化した「産業ロック」(by渋谷陽一)と同様の意味で。邦光史郎らの「産業推理」ではな
いです)の一人ですが、むろん最初からそうだった訳ではなく、初期の作品には良いものもありました。
本作は1985年発表、前年の「京都大原殺人事件」(過去スレ参照。「京都××殺人事件」の嚆矢となった作品)
辺りから急激に発表作が増え、粗製濫造が開始された頃の作品ですが・・・。
冒頭の「自動販売機で何個もジュースを買って、それを置き去りにしてゆく男」など、「掴み」の不可解性
などは面白いのですが、やがてダメダメの展開に。病室の密室トリックも腰砕けなら、舞台での毒殺の
真相も何の伏線もなくただ説明するだけ、自動車電話のアリバイも「だから何?」といったレベル。
それにしても、キャサリンだけ重要な証拠や証言を得ることができて、京都府警が教えてもらう、なん
て、どこまでボンクラなんだ?
0182名無しのオプ
垢版 |
2012/01/23(月) 11:58:06.67ID:trxqCVbU
梶龍雄、本岡類が読みたくてブコフ巡りをしてるんだが、なかなか見つからないな。
0183初代スレの>>3
垢版 |
2012/01/25(水) 12:37:31.17ID:nj4SLeHM
山崎洋子「危険なあなた」(中公文庫)★★★☆
学生時代の友人5人組、卒業から二十年近くたち、結婚や仕事など生活に追われる中、それぞれが遭遇
した事件をロンド形式で描いた、1989年の連作集。
「あじさい色のレディ」△、冴えない中年主婦。母親が臨終の際に、父親は有名俳優だと言い遺したことか
ら起きた事件。主人公の言動にややイライラしましたが、真相は・・・。まあ大した出来ではないです。
「曼珠沙華の夜」○、夫の愛人と共謀して夫を殺そうとするが、実は・・・。ドンデン返しの効いた良作。
「ボニーに首ったけ」○、これも同様で、冴えない中年男に強盗に入られた、喫茶店を経営するヒロイン。
男を説得して、もっと身入りの良い、銀行の支店長を一緒に脅迫しようと持ちかけるが・・・、ラストの
ヒネりが効いています。
「騒々しい悪魔」◎、高校生の息子が妊娠させた年上の女性が息子の自宅に乗り込んでくる。夫と当の
息子が海外留学中、留守の母親は翻弄されっぱなし。女は自分の家族まで呼び寄せて傍若無人な振る
舞いに及ぶが・・・、「銀の仮面」ネタかよ、それにしても好い加減にしろよな、と読者のイライラが頂点
に達したところで、全く予想外の真相へ。この切れ味の鋭さはスゴい。「銀の仮面」ネタを、アレと結び
つけた例は他に知りませんね。
「あなたのいない夜」○、下着会社のキャリアウーマンで部長の要職にある女性。仕事が超多忙なため、
家庭を顧みなくなっていたところ、夫が失踪する、やがて、夫を拉致した犯人と思われる人物から謎
めいた電話が・・・、これも、主人公の傲慢ぶりが頂点に達する寸前でストンと落とし、意外な真相で
着地する作品。
・・・連作集ですが、基本的に各エピソードは独立した内容で、どれも、この作者特有のクセのあるヒロ
イン揃いで、読者はヘキエキするかも知れませんが、それすら演出にして、読者の不快感が頂点に達
する寸前で、ハッピーエンド、とはいかないまでもほろ苦くも暖かい、意外性のある真相を用意した、
なかなかの作品集です。「本格」とは言えないかも知れない内容ですが、作者の本領は長編よりも、
「三階の魔女」(>>158参照)や本作などの短編にあるようです。
0184初代スレの>>3
垢版 |
2012/01/25(水) 12:40:51.08ID:nj4SLeHM
赤川次郎「上役のいない月曜日」(文春文庫)★★
1980年のサラリーマンを主人公とした作品で固めた短編集。過去スレにて、どなたかが推薦されていた
作品ですが、さて。
冒頭の表題作は、色々な人物の思惑や事件が、最後のオチに収斂するまでをスピーディに描いた作者お
得意の作品だが、ミステリ風味は薄い。
「花束のない送別会」は、長期出張から帰ると自分の席が無いばかりか、上司や同僚全員から「お前は自分
で退職届を出して会社を辞めたじゃないか」と言われるが実は・・・、発端からグイグイと読ませるが、後
味は悪い。「禁酒の日」も同様、あのオチは無いだろ?
「徒歩十五分」は、引っ越し早々、終電で帰って来た男、自分の家が分からなくなってしまい迷子になる
が・・・、バッドエンドではなく、先ず先ずの作品。
「見えない手の殺人」は、結婚に反対する恋人の父親が工場に乗り込んできて主人公とケンカしたところ、
父親は内臓破裂で死亡。主人公がちょっと小突いただけなのに何故?まあそんなことも起こり得るで
しょうし、真相を暗示する伏線も巧みだが、これまた後味の悪いことといったら。そういえば、J・D・
カーの短編に、同じタイトルの短編があったと思うけど、比較にもならない。
うーん、全体に謎解き要素は薄いですね。あと、江上剛の解説もピント外れ。認識の甘さと読みの浅い
こと。アンタの銀行員時代の自慢は結構。同じ銀行員出身の池井戸潤の爪の垢でも煎じて飲めば?
0185名無しのオプ
垢版 |
2012/01/25(水) 23:55:29.82ID:LMiWFAOj
赤川次郎ってバッドエンドの名手でもあるよね
0186初代スレの>>3
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2012/02/06(月) 12:45:51.59ID:1lpMxuXM
豊田行二「スイス銀行日本支店」(廣済堂文庫)(採点不能)
1977年の長編。「ひかり10号殺人事件」(過去スレ参照)のイカガワしさを求めて、「久々に豊田行二でも読む
かあ」と、ブクオフで手にとってみると、「本格長編推理」と銘打たれていたので購入。むろん、1980年代
以前のミステリで「本格長編推理」とあっても全く信用できないのですが、それでも読まずにいられないの
は「性(さが)」なのかw・・・どっちにしろ、こんなタイトルじゃ、ミステリだと思ってくれる人は皆無だろ
うなあ・・・。
国会議員・茅野敬太郎のお抱え運転手が何者かに絞殺される。現場には戦前の郵便貯金通帳が遺されて
いた。被害者の友人もまた殺され、もう一人の友人はKCIAの陰謀だと怯える。彼らの過去に何があ
ったのか。
一方、茅野は、隠し資産を「スイス銀行日本支店」の口座に隠しているというが、その口座の在りかを家
族にも秘密にしていた。スイス銀行の日本支店とは何を意味するのか。長男の太郎は、その秘密を探る
うち、父親の愛人・知佳子と深い仲になってゆく・・・。
「スイス銀行日本支店」の真相である「××貯金制度」の実態がテーマだそうですが、作者は、それでは読
者の食い付きが悪いので「推理仕立てにした」とのこと。ミステリをナメているよなあ(そういう作品は当
時は多かったのでしょうね)。
しかし、そのお陰でw、「××貯金」を巡る政界物プラス官能小説プラス本格ミステリの出来損ない、という
キテレツな怪作を読むことができました。連続殺人の方は、一応、意外な真犯人に関する伏線とか(しょー
もない出来ですw)、事件発生時に主人公と一緒にいたというアリバイ崩しのアキれた真相など、無理やり
にも「謎解き」の趣向を取り入れて、それが官能描写とも、「××貯金」とも、全く相いれない浮きあがった
ものになっているのが何だかオカしくて・・・。
「採点不能」作品が好きな方にしかお勧めできません。
0187初代スレの>>3
垢版 |
2012/02/06(月) 12:47:34.43ID:1lpMxuXM
笹沢左保「日暮妖之介 流れ星破れ編笠」(集英社文庫)★★☆
1972〜73年に連載された時代物の連作集。父親を殺して脱藩した大谷伊左衛門を討つべく、但馬・出石藩
の目付の職を投げ打って、敵討ちの旅に出た日暮。ある時、同姓同名の別人を誤って殺してしまったこと
から、その娘に付け狙われる羽目になり、三つ巴の追跡行となるのだが・・・。
どのエピソードも、基本的な「結末の意外性」は持っているのですが、作者の股旅物でお馴染みのパター
ンが多く、いささかマンネリ気味。
強いて一編を挙げるならば、「影に怒る」のエピソード。日暮が道中で出くわした若い武士の敵討ち。若い
武士は討ちそこない、相手に逃げられてしまうが、日暮と意気投合。しかしその武士は近所で起きた殺人
事件の容疑者となる。事件発生時、その武士は例の逃げた武士と最初の斬り合いをしておりアリバイがあ
るという。日暮は逃げた武士を探し出し、その武士も男らしく、敵のアリバイを証明してくれるのだが、
実は・・・。これは結末の意外性、ドンデン返しもさることながら、「アリバイ」物にしては非常にユニー
クな真相で、ごくシンプルなものながら、話の構成上、盲点となる部分を突く見事な出来の作品でした。
なお連作の最後のエピソードにも、シリーズ全体にまたがるドンデン返しが用意されていますが、こちら
は容易に推測できました。
0188初代スレの>>3
垢版 |
2012/02/06(月) 12:50:58.25ID:1lpMxuXM
南條範夫「情事の連環」(徳間文庫)★☆
1963年の連作集。
父親の遺した資産で優雅に暮らす尾形康子は、父親の知り合いだという村上信夫と出会い結婚する。だが
村上はとんだ曲者だった。彼女の資産を横取りするため、わざと康子に近づき、見事成功を収める・・・。
だが次の話では、その村上の上前をハネようとする女性が登場し、更に次の話では、彼女もまた破滅に至
る。そして巡り巡って最終話、驚きの真相が・・・。
いわゆる「輪舞形式」というヤツで、当時のミステリでは未だ珍しかったのでしょうが、今となっては、その
先駆的な意義しか評価できないですね。騙した者が騙されて・・・、の連続も、トリッキーな趣向が少ないので
楽しめません。
最終回の驚きの真相も、もう誰でも予想できるレベル、驚きでも何でもなく、ヒネりも無い。ただ読みやす
くて、昭和30年代の風俗を懐かしがって読んでいれば良いだけの話です。
0189初代スレの>>3
垢版 |
2012/02/08(水) 12:45:33.08ID:UceycdAg
>>115で題名と評価だけ書いた作品の感想を追加しておきます。

藤原審爾「ろくでなしはろくでなし」(角川文庫)★☆
1974年のブンヤ物の長編、短編「新宿西口ビル街殺人事件」を併録。
表題作。スポーツ紙の不良記者・柳井は、他社の週刊誌に雑文を売るなどして不当な利益を稼いでいる
女たらしの新聞記者。知り合いでもあったプロ野球選手・久野が身元不明の女と自動車事故で不審死を
遂げた事件を追及するうち、競馬・競輪の賭博組織が絡んでいることを知る。新聞社内の派閥争いと上
からの圧力にもめげず、柳井は真相を追及するのだが・・・。
典型的な「社会派推理」ですね。不審死の真相に関する謎解きはあるけど、主人公がうろつき回るうちに
都合よく真相が次々と明らかになってゆくだけで、推理の要素は殆ど無し。面白かったのは、悪役のは
ずの主人公のキャラクターが非常にユニークで、どうしようもない悪徳記者なのに、読み進めるうちに
何故か主人公に肩入れしてしまう点で、楽しく読むことができました。でもやはり1974年の作品にして
は古めかしくて、完全に時代から取り残されているなあ・・・。
短編「新宿西口ビル街殺人事件」は「新宿警察」シリーズの一編。新宿西口のバーで起きた殺人事件。店の
常連だった某国の外交官が容疑者として上がるが、彼は鉄壁のアリバイと、外交特権の壁に守られて
いた・・・。アリバイ工作にしても結末の付け方にしても全てピントがズレている駄作。
以前に読んだ、殺意を抱きあう夫婦を描いた長編「贅沢な殺人」(1969年)はまっとうなミステリでし
たが、それでも古めかしさが目立っており、同時代の清水一行、森村誠一らはもとより、1960年代の
松本清張あたりと比べても更に古びてしまっており、既に1970年代初にして全盛期は過ぎていた作家
だったのでしょうかね。
0190初代スレの>>3
垢版 |
2012/02/08(水) 12:50:39.02ID:UceycdAg
同じく>>115の作品の感想を。

若山三郎「オフィス殺人事件」(青樹社ビッグブックス)★
春陽文庫の「お嬢さんシリーズ」など知られる作者の、1987年の長編。この投げやりなタイトルからして、
ダメダメな作品だろうな、と危惧していたのですが、果たして・・・。
中堅会社の新入社員・大宿淳吉はサッパリした気性の大男で、色々な女性から言い寄られる果報者だが、
誰にもなびかない硬派の男。またしても、勤務先の元OLだったホステス・春美に付きまとわれるが、春
美は大宿が留守の間にアパートで殺されてしまう。大宿は容疑を晴らすため、親友で同期入社の横村と
ともに捜査に乗り出し、被害者を一方的に慕っていたチンピラやら、かつて関係のあった会社の専務ら
と関わるうち、春美が不倫相手を脅迫していたという事実を知る。更に、第二、第三の殺人が起きるの
だが、果たして真犯人は・・・。
うーん、1987年発表の作品ですが、バブルまっ盛り、国鉄はJRに変わり、「新本格」誕生直前だというの
に、何なんだ、このアナクロぶりはw
ガンコ者の会社社長、蓮っ葉な令嬢とダメ社員、お転婆娘らを向こうに回して、腕っ節の強い明朗な坊っ
ちゃん社員が銀座で大活躍、という、昭和30年代から何も進歩していないストーリー。一応、1980年代の
風俗なども取り込んではいるのですが、時代に取り残されて浮きまくっています。
で、肝心の事件の謎解きは、レッドヘリングなり、アリバイ工作のための小技なトリックなり考えられて
はいるし、最後まで真犯人を隠そうと努力はしているのですが、全くパッとしない出来栄え。特に破綻し
ている訳ではないですが、およそ評価できるレベルではないですね。以前に読んだジュブナイルの「遅すぎ
た殺人事件」とドッコイドッコイの出来のスットコドッコイな駄作ですw
0193初代スレの>>3
垢版 |
2012/02/20(月) 12:35:19.47ID:yE8pxbMt
>>191
そのブログ、過去の感想を確認、参照したいときなど、たいへん重宝しています。先般も、笹沢左保「眠れ、わが愛よ」
の俺の感想文に間違いがあったので、訂正をお願いしました。

島田一男「社会部長」(青樹社文庫)★★☆
1949〜1956年に発表された、東京日報・北崎社会部長と彼の部下らの新聞記者の活躍を描いた連作集。「特報社会
部記者」(過去スレ参照)と同じシリーズで、スレの主旨の年代からは遡ってしまいますがご容赦ください。
巻頭の表題作は、音楽家が巻き込まれた殺人事件。アリバイ崩しなども出てくるが取り立てて言うレベルで
はない凡作。「三つの仮面」も元華族の男の失踪話だが、ただの人情譚。
「泥濘の町」は、地元業者やヤクザと結託していると噂される新聞記者が殺される。だが真相は・・・。
「女殺陣師」は、部隊の稽古中に小道具の日本刀が本物とすり替えられ、斬殺された女剣劇の座長。果た
して刀をすり替えた真犯人は・・・。
「三行広告」は先ず先ずの作品。宝石店の不可解な募集広告。指定されたとおりのダンディな格好をした
男たちで溢れかえる宝石店。だが、その直後に起きた殺人事件で現場から逃げた男もまた同じ格好をして
いた・・・。広告の真相は、シャーロック・ホームズのアレというより、「ルパン三世」の或るエピソードを
思い出す愉快なもの。
「幻の男」は古典的な或るトリックだが、やはり法医学的にはどうかなあ。
「特ダネ売り」は、謎めいた情報屋から、大学生の殺し屋による殺人計画のネタを買った記者の話。
「アリバイ売ります」も先ず先ずの出来。ミエミエのアリバイ工作が実は逆に・・・、という発想の転換は面白い。
0194名無しのオプ
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2012/02/27(月) 15:26:05.23ID:mSbCDoeK
種村直樹の鉄ミスってどうですか?
0196初代スレの>>3
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2012/03/05(月) 12:57:18.89ID:VxVkbo+U
>>194
種村直樹は「日本国有鉄道最後の事件」(1987年、過去スレ参照)しか読んでいませんが、通常の「鉄道
ミステリ」とは異なる切り口が新鮮でしたね。

笹沢左保「残照岬」(光文社文庫)★★
1987年、一時中断していた「岬」シリーズの第7作。
蓉子は28歳独身、母親と兄夫婦らと暮らしていた。隣家で、夫が妻を殺して床下に埋めていた事件が、
何者かによる放火で発覚したのを皮切りに、一家にも暗雲が垂れこめてくる。居候していた兄の妻の
妹・真紀が謎の失踪を遂げる。真紀は、隣家の殺人犯の夫と深い仲にあり、放火したのも真紀なので
はないか、蓉子は義妹の疑いを晴らすべく、調査に乗り出したのだが・・・。
うーん、これまでの「岬」シリーズにあった、孤独感、ニヒリズムが消えてしまっており、真紀の行方を
探すヒロインの旅行は、恋人になった男と一緒のノホホンとしたものだし、結末の意外性、皮肉なオチ
は決まっているものの、錯綜した謎の真相が余りにもご都合主義的。ラストも、やや皮肉味が過ぎて、
悲劇性が薄れてしまったように思えます。凡作でしょう。
0197初代スレの>>3
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2012/03/07(水) 12:30:10.01ID:I2XGE4y4
北杜夫「マンボウ最後の名推理」(青春出版社)★★
1992〜93年に発表された作品を収めた短編集。
「にっぽん丸殺人事件」は、サハリン行きの客船に乗り込んだ作家の「北杜夫」氏。船内で知り合った老人が
身投げしたらしき痕跡を発見、躁鬱病も手伝って、他殺と決めつけ、支離滅裂な推理を展開するのだが・・・。
客船からの消失の真相は肩透かしですが、本作の意外性は、何と言っても、老人と連れの少年の正体・・・。
これには意表を突かれたw
「梅干し殺人事件」は、ドケチの大富豪が変死。そこにやって来た「北杜夫」氏は、大好物の梅干しに毒が仕
込まれていたのではないか、と勝手な推理を展開するのだが・・・。うーん、ユーモアの質も落ちてしまったな
あ。見る影もない。オチも不出来。
「赤ん坊泥棒」は、ブラジルを舞台にしたドキュメント風の作品。収録作では一番手の込んだ作りだが、残念
ながら謎ときにはなっていない。
作者の作品では、以前に読んだ、旧制高校生が北アルプスの登山中に出会った謎の男が結末で実は・・・、とい
うミステリとして非常に出来の良い短編(題名失念)がありましたが、本作は凡作でしょう。
0198初代スレの>>3
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2012/03/07(水) 12:31:47.94ID:I2XGE4y4
草上仁「市長、お電話です」(ハヤカワ文庫)
1991年のSF短編集ですが、注目すべきはSFミステリ「転送室の殺人」★★★☆。宇宙船内の物質転送装置
内で起きた殺人事件、現場は密室状態だったのだが、真犯人はどうやって出入りできたのか。乗船していた
刑事が突き止めた真相とは・・・。SFならではのトリックではありますが、伏線はバッチリ、真犯人の或る
描写など心憎いほどさり気なくキマッている。「あとがき」で作者は謙遜していますが、これは密室物の佳作。
他の作品はSFですので割愛。
0200初代スレの>>3
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2012/03/09(金) 12:33:34.49ID:6sMmOnhw
嵯峨島昭「グルメ刑事(デカ)」(光文社文庫)(採点不能)
1987年の長編。
無類の食通である西郷刑事は、北大路魯山人を名乗る謎のグルメ男と出会い、恋人の由紀とともに、日本一の
料理人を決めるテレビ番組に出ることに。だが、「怪人百面相」と名乗る脅迫状が届く。日本一の料理人が決ま
り次第、殺害するという。上司の平束刑事も加わって、「怪人百面相」の正体を追いつつ、グルメの旅を続ける
のだが・・・。
出てくる料理は、ステーキ、カレー、鮨、フレンチにラーメン・・・。各料理の名店と料理人を訪ねて日本全国
を旅して回る、という、「美食倶楽部殺人事件」(過去スレ参照)と同様の展開。しかも、「美味しんぼ」にも似た、
もう聞き飽きたフレーズの数々・・・。ミステリとしての筋はかなり好い加減で、実在の名店を連想する店を登
場させ、その味やレシピを、登場人物のセリフを借りて批評しているだけの部分もあり、何というか、まあ・・・、
ですねw
そしてラスト、北大路魯山人と脅迫犯「怪人百面相」の意外な正体が明らかに・・・。魯山人の方は事前にバレバレ
ですが、脅迫犯の方は・・・、これは意外すぎて、というか、「そんなのアリかよ!!」と叫んでしまいました。まあ、
伏線らしきものもあったのですけどねえ・・・。
・・・これで嵯峨島昭作品も、残すは「秘湯ギャル探偵・・・」と「『活けじめ美女』・・・」の2作のみとなったが、1990年
代に発表された上記作品の評判は、・・・だからなあ。どうしようw
0202初代スレの>>3
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2012/03/14(水) 12:43:29.91ID:pJ3NWZAU
谷恒生「大暴風(ハリケーン)」(徳間文庫)★★★★
1991年の長編。
鉱油船「ブルーメディア号」号の三等航海士・伍代正之は、南米コロンビアの港町サンクレメンテで、麻薬
を巡るマフィアらの抗争に巻き込まれてゆく。手始めに一等航海士がフィリピン人の下級船員に殺され、
更に、ボーイが行方不明となる。そして伍代が宿泊していたホテルでドイツ人の船長が殺され、地元警察
からも追われる羽目に・・・。日系アメリカ人、チャイニーズ、スペイン人、イギリス人、フィリピン人など、
様々な人種が入り乱れ、一癖も二癖もありそうな船員たち。その中にマフィアの手先、殺人犯がいるので
はないか・・・。
作者お得意の海洋冒険小説ではありますが、連続殺人の犯人を探すフーダニットの基本は守られており、
疑わしい人物のアリバイが吟味されるなど、なかなかに謎解きの要素も充実しています。更に、ストー
リーの流れから、事件の真相を逸らせるテクニックも上手い。ネタバレにならない範囲で書いておくと、
真相は麻薬絡みと思っていたら実は・・・、というもので、コロンビアとくれば、メデジンカルテルで、コカ
インで・・・、と読者を誘導しておいての意外性。真相に係るさり気ない伏線も先ず先ずの出来で、ラストに
は、数々の出来事は実はこういう意味だったのだ、と明かす謎解きもあり、三好徹や伴野朗あたりの謎
解き要素の強いスパイ小説、冒険小説に近いテイスト、「本格」を意識した佳作といえます。あと、主人公
の伍代が冒険小説らしからぬ、やや軟弱な奴であるのもちゃんと意味があり、ラストで決着を付けてく
れます。とにかく面白かった。お勧めです。
・・・但し、この文庫版は、裏表紙の「あらすじ」で、全く許し難いことに、結末の真相、真犯人まで明かし
ているお粗末を演じています。読まれる方は要注意(俺は目も通さずにさっさと本文に取り掛かったの
でネタバレを免れましたが、読了後に読んでみて唖然としましたよ)。
徳間書店の担当者は、ミステリを全く知らないド素人の大バカ者なのか・・・。
0203初代スレの>>3
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2012/03/16(金) 12:43:11.01ID:bdDQUEgK
山村美紗「京都新婚旅行殺人事件」(光文社文庫)★★★
1985年のノンシリーズの長編。
南田物産に勤める美知子は、独身の部長と結婚、玉の輿に乗るが、同じ日に結婚式を挙げた社長令嬢が
新婚初夜に京都のホテルから飛び降り自殺する事件に遭遇。だが京都府警の狩矢警部らの捜査により、
自殺ではなく他殺と断定される。更に琵琶湖畔に浮かぶ遊覧船の状態の船室で社長が殺される。財産目
当ての後妻の犯行か、或いは会社の人事抗争か。美知子は事件の謎を追うが、実は彼女の夫もまた、以
前に三人の妻を事故死や自殺で亡くしており、彼女とは四度目の結婚だった。夫への疑惑が膨れ上がる
うち、彼女もまた、命を狙われることに・・・。
はい、いつもの「産業ミステリ」ですね(>>180参照)。テレビドラマ化したときの演出だけを考えたかのよ
うな登場人物、構成ですが、それでも本作は、一応(飽くまで、一応、ですが)、謎解きの過程には、そ
れなりに力を入れており、密室の真相も、作者の作品で良くあるパターンを脱しようと努力はしています。
真犯人の動機には疑問があるものの、レッドヘリングも工夫の跡が見え、終盤まで容易に犯人を割らせま
せん。但し、アリバイ工作の方は・・・、例の電話のアレ、好い加減にしたらどうだ。
以上、陳腐な電話トリックを除いては、かなり努力していますので、決して駄作ではないと思います。少
なくとも、>>180の「京都鞍馬殺人事件」よりはマシ。
しかし、解説の郷原宏、よくもヌケヌケとこんなことを書いて絶賛できたものだなあ。作者の作品では
使い古された電話トリックを「乱歩の『類別トリック集成』に新しい一項目を要求して恥じない」って一体・・・。
おまけに「名前だけで本を買っても絶対に損をしない」とはねえ・・・。解説者としてのプライドはない
のか?
0204初代スレの>>3
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2012/03/16(金) 12:50:39.67ID:bdDQUEgK
× 遊覧船の状態の船室で・・・
○ 遊覧船の密室状態の船室で・・・
0205名無しのオプ
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2012/03/18(日) 05:28:29.00ID:9z4nyKpY
>>203
ないでしょ
質より量の典型的な提灯解説者って印象
○谷や小○も同じ印象
0206名無しのオプ
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2012/03/19(月) 14:01:05.86ID:LiKyEP0B
○谷や小○も、石川真介の「不連続線」の馬鹿詐欺先生の解説には敵うまいw
0207名無しのオプ
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2012/03/19(月) 15:47:46.32ID:tDN9bgCM
馬鹿詐欺って解説も書いてたのかw
誰だよ頼んだの
0209名無しのオプ
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2012/03/19(月) 22:01:36.87ID:LZ+naH6f
郷原の手がけた松本清張事典のような本、実は内容もそこそこ充実していたんだが、
編者郷原ってことでずいぶん評価を下げていたような気がする。
実際、中身を見て郷原もこんなに仕事ができたんだと驚いた
0210名無しのオプ
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2012/03/19(月) 23:26:17.38ID:I9BRb0uz
郷原宏は
詩壇の芥川賞といわれるH氏賞を受賞していると知った時には
へ〜と思ったものだが
文庫で書きまくっている解説の中身にはちょっとなんといいますかね
0213初代スレの>>3
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2012/03/26(月) 12:45:45.59ID:Up8caYKg
雑誌「幻影城」(1979年1月号)
本号の作家再評価シリーズは竹村直伸。乱歩の称賛を得てデビュー、短編3本を送ったら3本まとめて
「宝石」誌に掲載されたというエピソードもある作家、本誌には1958〜59年の「宝石」誌掲載作を収録。
「風の便り」★★★☆、デビュー作。子供が風船に付けて飛ばした父親宛ての手紙。殺人容疑に問われ、今
は精神病院にいる父親から返事が届く。離婚して住所を知らせていないし、そもそも風船が父親のもと
に届くことなどあり得るのか、母親は不審を抱くが・・・。語り手の「私」の設定がややアンフェアではあ
りますが、冒頭の一行目など実にシブい。佳作ですね。
「タロの死」★★★☆、3作一挙掲載のうちの1本。これも良作。見知らぬ女性から犬を譲られた少年。
タロと名付け飼おうとするが母親の反対にあう。ガス中毒死した父親の巻き添えで死んだ犬もまた同じ
種類の犬でタロといい、母親は犬を譲った女性に不審を抱くが実は・・・。短編ミステリのお手本のような
作品。ガス中毒と犬の死の真相と、結末の繋げ方が抜群の冴えですね。
「見事な女」★★★、生活を支える妻に甘えて市役所を辞めて靴磨きになった男、妻が失踪した後、花屋
の出店を出した男と知り合う。彼もまた、妻に甘えて花屋に転身したのだが、その妻は靴磨き男の妻
だった。やがて・・・、これも上手いし、結末までグイグイ読ませるけど、真相はちょっとやり過ぎかなあ。
・・・以上3作、1950年代の作品にしてはセンスの良さが光りますね。伏線には不満が残るが、結末の
切れ味は現代でも通じる、独特の雰囲気に満ちた、洒落た短編を読んだな、と満足できます。
その他、書き下ろし作品としては、筑波孔一郎「自殺志願者」★★。六人組グループの一人が語る、不可
解な毒死事件。果たして自殺か他殺か。・・・些細な伏線はともかく、毒殺トリックも陳腐ならドンデン返
しも乱歩の亜流レベル。
日影丈吉「東官鶏」は戦時中の台湾を舞台にした作品、李家豊「深紅の寒流」は冒険小説(田中芳樹「流星
航路」収録、過去スレ参照)。赤川次郎「五分間の殺意」も作者お得意の展開だが後味悪し。
やはり収録作では、連城「桔梗の宿」、泡坂「意外な遺骸」がダントツの出来、説明不要ですね。
0214名無しのオプ
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2012/03/26(月) 13:54:27.49ID:+81JQ1hs
竹村直伸はアンソロで読んだ「タロの死」が面白かったから他の作品も読みたいと思ってたんだよな
幻影城捜してみよう
0215名無しのオプ
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2012/03/26(月) 21:20:48.76ID:E+Ur0ItW
>>213
>>雑誌「幻影城」(1979年1月号)
懐かしいですね
確かこれ50号記念とか銘打ちながら
この後数カ月休刊してやきもきした記憶があります
復刊後も三号くらいで休刊してジ・エンド
栗本薫・河野典生の長編連載、日影丈吉の長編分載後編があわや幻に…
0216初代スレの>>3
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2012/04/02(月) 12:45:18.12ID:yMS7y79B
風見潤「闇の夢殿殺人事件」(天山ノベルス)★★★☆
1989年、「殺意のわらべ唄」(過去スレ参照)に続く、天文考古学者の神堂と恋人の奈々のコンビが活躍
するシリーズ第2作。
奈々は友人の圭子から、姉の玲子が幼い子を置いて失踪した件で相談を受ける。玲子は新興宗教の信
者で、聖徳太子に由来するという教団の、「今太子」とも呼ばれる教祖の御曹司こそが自分の子の父親
であると主張して、教団発祥の地である栃木県の山奥を訪ねたところで行方を断ったらしい。神堂・
奈々コンビは調査に乗り出すが、玲子がついに死体で発見される・・・。
伏線、特に中盤でサラッと触れる小事件が結末でシブく決まっており、その他、アリバイ工作に密室
トリック、或るトリックなど、サービス満点の作品ではあるのですが、いかんせん200ページちょっと
の分量では消化不良ぎみ。特にラストの謎解きが駆け足すぎる。最後に起きた密室殺人は、真相その
ものが犯人特定につながるので、仕方ないかも知れませんが、もっとジックリ謎解きにページを割い
てほしいところ。なかなかの出来だけど、その点は残念。
0217初代スレの>>3
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2012/04/02(月) 12:46:45.28ID:yMS7y79B
加納一朗「血の色の冬」(トクマノベルス)★★
1983年の長編。
東京の青山でミニFM局を開局した若者たち。リポーターの坂口光子は、新宿のホームレスを取材中、
大学の恩師がホームレスとなっているのを見かける。だが数日後、そのホームレスは毒殺される。どう
やら大学講師時代の不倫相手と再会した末に、その相手に毒殺されたのではないかとの容疑が濃厚に。
しかし容疑者の女性は、事件発生直後、自動車事故を起こして意識不明の重体になっていた。不倫相手
を殺して自分も自殺覚悟で事故を起こしたのか。そして被害者の大学講師は、ホームレスになるまでに
一体何があったのか。光子は知り合いになった刑事らとともに調査を進めるが、第二の殺人事件が発生
し、全く別の容疑者が浮上することに・・・。
うーん、若者の風俗や刑事のダラダラした捜査にページを使い過ぎ。FM局の連中や若い刑事の心情な
どを丁寧に描写することにはなったけど、事件の展開のテンポが悪くなり、200ページ程度なのに読み
進めにくいことといったら・・・。事件の謎解きは、一つだけ或るトリックが使われているものの、第二の
殺人事件における犯人の動機が納得できない。何で殺す必要があるの?無理がありますね。
0219初代スレの>>3
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2012/04/09(月) 12:25:43.90ID:3AkfQi0m
草川隆「寝台特急富士で消えた女」(青樹社ビッグブックス)★★★☆
久々に読む草川作品、これは1989年の長編。
従姉妹どうしで少女マンガを合作する由美と幸子。次々と男を振ってきた由美に間違えられて幸子が
クルマに轢き殺されそうになったのも束の間、大分・別府への取材旅行のため乗った寝台特急「富士」で
遂に殺人事件が勃発。個室寝台に血痕を残して由美が姿を消し、やがて、別府の温泉でバラバラ死体
が発見される。犯人は個室内で由美を殺害、バラバラにして下車したのか、だが該当するような不審者
は全く目撃されていなかった。やがて、同じ寝台車に、由美にフラれたライター・石田が偶然乗り合
わせていたことから、石田は容疑者とされてしまう。身の潔白を証明するため、石田は事件の真相を
追うのだが・・・。
バラバラ殺人と列車のトリックは、作者の独壇場ではありますが、本作のトリックは、まあ傑作とは
言えないものの、先ず先ず面白くはありました。バラバラにした理由も納得できるもの。ただ、捜査
がもっと綿密だったら、これはバレてしまうよなあw
冒頭の大胆な伏線も先ず先ずだが、カンの良い人はこの時点で真相に感づくかも。
0220初代スレの>>3
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2012/04/09(月) 12:28:32.22ID:3AkfQi0m
笹沢左保「Tの複写」(角川文庫)★★☆
1976年の長編、「13番目の証人」を改題。
旅行代理店に勤める多美子は、上司の市原と不倫関係にあった。だが彼の態度が冷たくなり、その妻・タミ子
が子供を産んだことから二人の仲は決裂、絶望した多美子は市原を殺して自分も死ぬ、と思い詰め、最後の密
会だと男を誘い出して殺そうと計画、果たして市原の刺殺死体が発見され、警察は行方をくらました多美子を
容疑者と断定、その行方を追う。だが同じ日に、市原の自宅では、妻が目を離したスキに、生まれたばかりの
赤ん坊が誘拐される事件が起きていた。多美子の友人だった中曽根京子は、多美子が犯人なら、その場で後追
い自殺するはずだと不審を抱き、伯父で退職した元刑事の栗林に相談したところ、彼を大先輩と慕う、これま
た病気休職中の若い刑事・円城寺と知り合い、失踪した多美子と事件の真相を追及するのだが・・・。
うーん、事件を追う京子と円城寺による、ディスカッションの繰り返しによる推理がミソかと思うのですが、
如何せん、「意外性を求めるなら、アレしかないだろう?」と読者に容易に推測されてしまい、真相がそのとお
りなので、どうも物足りません。あと、誘拐事件の追及がなおざりにされており、後半の解決部分で思い出し
たかのように出してきて、しかも詰らない真相でガッカリ。
力の抜けた凡作としか言いようがないですね。それにしても元題「13番目の証人」って何だろう?題名の由来とな
るような内容は全く無かったようだが・・・。
0221初代スレの>>3
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2012/04/17(火) 12:47:22.16ID:U1zO4Uz6
藤丸卓哉「自衛隊脅迫」(トクマノベルス)★☆
1986年の長編。
防衛庁に届いた脅迫状。自衛隊員の給食の残飯代は換算すれば年間数十億円にも上っており、その分、社会
福祉に回すように要求。一蹴したところ、犯人側は、電力会社のエレベーターを皮切りに、野球場の照明設
備、遊園地の電源を相次いで爆破。死者を出さない巧妙な手口、しかも爆破装置は太陽電池を使ったデジタ
ル装置で、数十年先の日時まで指定して爆破できるもので、いつセットされたかも皆目分からない状況だっ
た。警視庁は福祉関係から容疑者を割り出そうとするが、果たして犯人は誰なのか・・・。
作者が残した2冊のミステリの一冊、もう1つの「殺人周波」は>>80参照。本作でも、科学者らしく爆破装置
のメカには力を入れて紹介していますが、フーダニットとしては余りに構成がお粗末。一応、レッドヘリン
グも考慮してはいますが、およそ効果が上がっていない。伏線もあからさまというか、ダメ。自衛隊に対す
る問題提起も余りに幼稚ですね。
0222初代スレの>>3
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2012/04/17(火) 12:51:03.33ID:U1zO4Uz6
福田洋「幻の女殺人事件」(光風社文庫)★★
1987年の長編。
東京のマンション駐車場で発見された不動産会社社長の死体。だが事件発覚直後に、盛岡で、会社社長と
偽って大金を引き出そうとしていた男が現れ、緊急逮捕。その男は、「見知らぬ女から依頼されてやっただけ」
と否定するが、警視庁は、その男が殺害犯と断定、起訴する。だが裁判中に、被告が主張する謎の女の存
在が明らかに。面目を失う警視庁。「幻の女」は一体どこに消えたのか。だが、裁判の証人となった探偵事務
所社長が何者かに殺害されたことから、事件は意外な方向に・・・。
序盤・中盤は快調でした。地を這うような捜査の手堅い描写、一向に正体を掴ませない「幻の女」の謎めいた
行動など、興味は後半まで繋がってゆくのですが・・・。ああ、こんな真相じゃダメだ。紆余曲折した挙句の
謎解きがまるでなっちゃいない。伏線には良いところもあるし、構成もシッカリとしており、ふた昔前ほど
の警察小説としては良く出来ているのですが、どうも謎解きにヒネりが足りないというか・・・。まあ探して
読むほどのレベルではないです。
0223初代スレの>>3
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2012/04/23(月) 12:52:07.42ID:5tUP5D0Z
平岩弓枝「ふたりで探偵」(新潮文庫)★★
旅行代理店の添乗員・森加奈子が旅先で出会った事件を、紀行作家である夫の清一郎に話し、その話
だけから解決するという、いわゆる「安楽椅子探偵」物の1987年の連作集。
先ずは第1話「ローマの蜜月」、ヨーロッパのツアーに参加した中年の男が帰国後、不審死を遂げる。旅
行中の様子から、清一郎の示した推理とは・・・。被害者が一人でツアーに参加していた理由などは面白
いのですが、推理が飛躍しているなあ。
「チュニジアの新婚旅行」は、息子夫婦の新婚旅行に同行した母親。気に入っていた嫁が見込み違いだっ
たことが分かるが実は・・・。意外性は十分だが、これまた推理が何の根拠も無く飛躍しすぎ。
「箱根・冬の旅」も結末のヒネりはあるが、清一郎の推理が、どうもなあ・・・。
その他、「スリランカの殺人」、「ロアールの幽霊」、「ハワイより愛をこめて」、「ニューヨーク旅愁」、
「香港の満月旅行」いずれも、オチの切れ味はともかく、探偵が推理して解決するような話ではない。
・・・全体に、探偵役を無理に登場させることは無かったかと思いますね。結末の意外性とオチだけ
で構成した方が良かったかと思います。
0224初代スレの>>3
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2012/04/23(月) 12:54:14.41ID:5tUP5D0Z
笹沢左保「影絵の愛」(光文社文庫)(採点不能)
1989年の長編。
大信田倫子は、スーパーの社長だが学者肌の夫に飽き、私立学校経営者の御曹司・白川との不倫に走って
いた。だが、新宿のホテルで人妻が殺される事件が勃発、あろうことか夫が容疑者として浮かび上がる。
夫は無実を訴えながらも、デタラメなアリバイを申し立て、全て虚偽だと暴かれてしまう始末。夫は一体
何を隠しているのか、倫子は白川とともに事件の真相を追うのだが・・・。
先ず、ヒロインの心理が甚だ不可解、作者はちゃんと説明していますが、どうも理解できかねます。そし
て、「すぐにバレるデタラメなアリバイ」の件は・・・、作者の先行作に、同じ趣向の某名作がありますが、
本作は・・・、うーん、そういうことですか。
しかし、事件の真犯人については・・・、なるほど伏線も巧みで、意外性に満ちてはいるけれど、真相発覚の
手掛かりや、夫が容疑者となった経緯が、余りにもご都合主義的。作者は、そうなる可能性をちゃんと
示唆してはいますが、広い東京で、そんなことが重なることなど先ずあり得ないでしょw
意外性を追求しすぎて、構成の手堅さを無視していますね。開いた口がふさがらない、面白かったけどw
0226名無しのオプ
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2012/05/11(金) 09:57:31.75ID:lW5T9ggf
0227初代スレの>>3
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2012/05/15(火) 12:31:29.61ID:fo+IHYt+
笹沢左保「文政・八州廻り秘録」(祥伝社ノン・ポシェット)★★★
1972年の「朝霧に消えた男」文庫改題版。無法状態だった関八州の治安に当たる「関東取締出役」の活躍を
描く連作集。1972年といえば、「木枯し紋次郎」シリーズ等で脂の乗り切った時期、無宿渡世人の敵役に
当たる関八州取締出役を主人公に据えています。
「闇の四天王の罠」◎、上州で一晩のうちに2箇所の商家に押し入った強盗団。十里余りも離れているの
に、2時間足らずで徒歩で移動して強盗することは不可能なのだが・・・。トリック自体はシンプルながらも、
巧妙に仕組まれた不可能犯罪物の佳作。結末のダメ押しも先ず先ず。
「魔性の肌」○、脱走した犯罪者が悪事を再開、野州・小山宿に出向いた関東取締出役。小山には馴染み
の女がいるのだが・・・。これは大阪圭吉のアレと同じ趣向ですね。バレやすいのが難ですが。
「甘い餌」◎、足跡一つ無い雪で覆われた離れでの密室殺人。密室トリックよりも、序盤の些細な言葉の
錯誤が上手い。
残りの「雷神を殺した女」、「女色の代償」、「お旗本の秘め事」は、いずれも出来悪く△。
0228初代スレの>>3
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2012/05/15(火) 12:33:00.23ID:fo+IHYt+
森村誠一「銀河鉄道殺人事件」(講談社文庫)☆
1985年の長編。
国鉄が主催した、行き先不明の「ミステリー列車・銀河鉄道X号」ツアー。参加者のうち、席を隣り合わ
せた二名の男が、遠く盛岡で殺害される事件が発生。更に相次いで殺人事件が発生する。ミステリー
列車に乗り合わせた乗客たちに一体何が起きたのか・・・。
極めつけの駄作。出だしは快調だったのに、事件の真相は、ただの偶然を積み重ねているだけ。最後
の最後に残った謎解きにやや期待したのですが、これもダメ。こんな偶然こそ在り得ない。
0229名無しのオプ
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2012/05/15(火) 18:50:58.35ID:6U744Zz9
中津文彦、亡くなっていたのか…。

吉村達也もスレに該当する世代でしょうか?
0230!ninja
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2012/05/22(火) 19:58:07.19ID:1RF01IOC
合掌

「政宗の天下」しか読んだことなかった
積んでる「黄金流砂」「特ダネ記者殺人事件」も読まないとなぁ
0231初代スレの>>3
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2012/06/01(金) 12:45:10.96ID:YX5zIOxP
大谷羊太郎「華麗なる惨劇」(集英社文庫)★★
1977年の長編の文庫改稿版。
城之内は暴力団を脱退し、芸能界専門の揉め事解決業に従事していた。だが或る時、彼に犯罪予告の電話が
かかってきて、予告通り、人気演歌歌手が殺害される。更に犯罪を予告してくる謎の男。どうやらバックに
は巨大な悪の勢力がついているらしい。また城之内の所属していた暴力団も、ただで城之内を解放した訳で
はなく、何かを画策しているらしい。続けて起こる第二、第三の殺人。犯人の狙いは一体何なのか、城之内
は単身、事件を追及するのだが・・・。
暴力団や裏社会の描き方が、今読むとマンガのようで今一つ迫力に欠けるのですが、それはさておき、殺人
犯の正体を中盤で明らかにしてしまったため、殺人犯を操るバックの勢力の真の動機と、暴力団側の狙いが
何なのかに期待したのですが・・・。
まあ、クリスティのアレの趣向も分からなくは無いですが、効果が上がっていませんね。バックの勢力に対
しても、そんなことのために連続殺人を犯すのかよ、と突っ込みたいです。駄作とはいかずとも、凡作も良
いところでしょう。
0232初代スレの>>3
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2012/06/01(金) 12:48:05.53ID:YX5zIOxP
小池真理子「あなたに捧げる犯罪」(双葉文庫)★★☆
1989年の短編集。
基本的にサスペンス・ホラー系の作品が多いのですが、火災発生の伏線が巧みな「菩薩の様な女」○、推理
作家協会賞受賞作の「妻の女友達」○、これも序盤の伏線が上手く、ちょっと読者の予想からズレたところ
の真相とオチが決まっています。
あと注目は、割とオーソドックスな倒叙物で、アリバイ工作の手抜かりがどこにあったかがポイントと
なる「セ・フィニ−終幕」○も在り来たりのトリックながら面白い。上記3作くらいが論理的に割り切れる
ミステリとして、それなりに評価できる作品でしょうか。
一番の傑作は「男喰いの女」ですが、これはホラー系で、一応ラストで結論が出るものの、「本当にそう
か?」と一抹の疑惑を残す手際が見事。
残りの「転落」、「間違った死に場所」は水準作といったところ。
0233名無しのオプ
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2012/06/02(土) 22:34:50.03ID:TaMjtGIR
3氏殿
久々のアップで嬉しい限りです。
0234名無しのオプ
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2012/06/03(日) 15:16:42.65ID:sZ2BwM1t
高柳芳夫の「『禿鷹城』の惨劇」を読んだ
題名の響きと目次におどる密室の文字にワクワクして購入。
……本格魂は感じられるし、どんでん返しをしっかり仕込んであったり、凝りに凝った物理密室トリックなどは良いんだが
小説としてはどうかと思った
登場人物が無暗に多すぎるのと社会派要素と本格要素が分離していた印象
0235初代スレの>>3
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2012/06/04(月) 12:42:55.15ID:IdbNwq4r
梶龍雄「女たちの復讐」(トクマノベルス)★★★☆
久々に読む梶龍雄作品、これは1986年の長編。
興信所の探偵・真藤は知り合いの由香と鏡子の姉妹に騙され、全裸で監禁されてしまった。彼女らの父親
を殺した犯人が真藤だと言う。実は真藤は裏稼業で殺し屋もしており、確かに或る依頼者から彼女らの父
親殺しを依頼されていたのだが、真藤が被害者の住む熱海の別荘にやって来た時には、相手は既に何者か
によって殺された後だった。それを信じようとしない姉妹に対し、真藤は監禁されたまま、真犯人は誰な
のかを推理し、身の潔白を証明しようとするのだが・・・。
全裸で監禁だの、本筋に関係ないヒャッハー男の乱入など、エロ路線のサービスぶりが鼻につきますが、
のっけから異常な状況で展開する辺り、「浅間山麓殺人推理」に近いテイストで、主人公のキャラも軽ハー
ドボイルド風ではありますが、やはり、数年前に起きてしまった殺人事件を、関係者が説明してゆき、そ
こから真相に至る展開での謎解きには苦労したようで、説明ぶりが何とも渋滞気味で、二転三転する展
開なのに何故か重苦しく、話のスムーズさを欠いてしまったようで残念。それでも、さすがは梶龍雄、ダ
ラダラした説明にも周到に伏線を張っており、或る些細な事実から意外性のある真相を導く手際はなかな
かのもの。佳作というには一寸、ですが、決して凡作ではないと思います。
・・・これで梶龍雄も確か38冊目くらい、残りはあと3、4作くらいかなあ?
0236初代スレの>>3
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2012/06/13(水) 12:30:14.40ID:5lMdi9rO
船山馨「海の壁」(河出文庫)★★
1959〜63年に発表された2中編&連作の全3本を収録。
表題作は、保険会社社員が出張中に失踪、その妻が単独で夫の行方を追う。やがて神戸港で水死体が上が
り、夫と目されるが、信じ切れない妻は更に事件の真相を追及するのだが・・・。
発表時期からみても、完全な清張の亜流。真犯人の意外性はなかなかのものだが、およそ中編レベルで収
めるには無理があり、伏線が不十分で、真相の解き方に欠点が露わになってしまった。身内が証言するア
リバイを「疑問の余地がない」とする点にも、作者の素人ぶりが如実に現れている。少々ヒネッた構成は良
かったのですが・・・。
「兜町殺人事件」も同様。錯綜した裏の裏の真相、真犯人の巧妙な手口などプロットは面白いのに、謎の隠
し方と解き方が甘い。とはいえ、これは一応水準作でしょうか。
「明日を売る男」は、謎めいた男に会った人々が人生を転落してゆく様を描いた全4話の連作。柴田錬三郎
「幽霊紳士」というか、「わらゥせぇるすまん」に近いテイストか。謎解き物ではないが、この時期にしては
センスの良い連作だとは思います。
0237初代スレの>>3
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2012/06/13(水) 12:32:07.39ID:5lMdi9rO
林葉直子「気まぐれ天使は夜空がお好き!−恋の事件簿」(学習研究社)★
1992年のシリーズ物?の長編。作者はむろん、あのお騒がせ天才女流棋士、数々のスキャンダルの後、
今はどこで何をしているのでしょうか?
由衣は女子大生、製薬会社の研究者である兄の親友で写真雑誌「マタイデー」記者の大松を憎からず思っ
ているが、会えばケンカばかり。或る時、実験のミスで出来た新薬を飲んで由衣は透明人間になって
しまう。すったもんだの挙句、由衣は兄の会社の専務が絡む麻薬のスキャンダルを知り、大松ととも
に事件の真相を追うのだが・・・。
まあ、こんなラブコメ風ミステリに謎解きを云々するのも大人げないですが、冒頭の小事件が結末に
絡んでくる辺りは、素人にしては、その程度のことは考えているんだなあ、ぐらいは思いました。他に
は言及するようなレベルではないですね。探して読むような本ではないです。
0238名無しのオプ
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2012/06/17(日) 21:53:57.58ID:/1qQ6jK0
林葉はついこのあいだ将棋界に復帰したよ
もちろんもうプロじゃないし実力は見る影もなくなってたが
0239初代スレの>>3
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2012/06/25(月) 12:36:36.65ID:5lo7l5kR
別役実「淋しいおさかな」(PHP文庫)★★★★
1973年の、NHK幼児番組向けに書いた童話集。これは幼児向けにはもったいないほどレベルの高い
童話集で、しかも、発端の面白さと意表を突いたオチが見事な傑作。謎解き風の話もあり、特に序盤
の伏線と「発想の転換」的な結末に、本格ミステリのテイストに近いものがあります。幾つか紹介す
ると・・・。
「煙突のある電車」、乗客ゼロの市街電車。或る日、初めての乗客が乗って来たかと思ったら、この電車
で働かせてほしいという。そういう志願者が続出して・・・。なるほど、結末はこう来るかw
「機械のある街」街の中心に巨大な謎の機械が置かれている。何をする機械なのか誰も知らず、撤去する
ことになったのだが・・・。これぞ発想の転換というか、チェスタートンにも通じるナンセンスな結末が
冴える傑作。
「みんなスパイ」、謎の委員会から、スパイに任命したと手紙が届く・・・。ヒネりにヒネッたフーダニット
物かw
「工場のある街」、煙を出し続ける工場。何を作っているのか、工場で完成した物とは・・・。「機械のある
街」にも通じる逆転の発想が見事。
「穴のある街」、市民みんなで、ひたすら穴を掘り続ける街。七十年以上もかけて掘った穴が完成したと
き、最初に穴を掘ることを開始した市長の手紙が公開される・・・。これも素晴らしいオチ。
どれもこれも、本格ミステリのエッセンス、とまでは行かなくとも、発想のヒントになりそうな話が満載
の全22編、以前に紹介した「探偵物語」のような難解さは無いので、お勧めです。
0240名無しのオプ
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2012/06/30(土) 23:45:57.73ID:lLa4412N
age
0241初代スレの>>3
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2012/07/09(月) 12:47:10.17ID:v/KR3a6r
井口民樹「外科病棟の陰謀」(双葉文庫)★★☆
1984年の長編。
大学病院で出世街道を走る外科医・交野。恩師の教授の娘との結婚で、足がかりを掴むかに見えた
が、悪性の腫瘍により、外科医の命ともいうべき右腕を切断、悲観して飛び込み自殺を遂げる。だ
が彼の恋人と交野の後輩である榊原は殺人ではないかと疑念を抱き、独自に真相を追及する。やが
て、交野を脅迫していた男も殺され、事件は医大の後継者争いにも関わってくることに。果たして
真犯人は・・・。
トリッキーな趣向に乏しいため高い評価はできませんが、地味ながらもフーダニットに徹した作品。
真犯人を特定する伏線が一つしかないのも難点ですが、さり気ない描写がシブく決まっています。
レッドヘリングの扱いにも難がありますが、新本格登場前、同時期の森村誠一や斎藤栄あたりの駄
作に比べれば遥かにマシ。
0242初代スレの>>3
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2012/07/09(月) 12:49:12.02ID:v/KR3a6r
城島明彦「平家教団の陰謀」(光風社ノベルス)★☆
1986年の長編。
フリーのコピーライター蔵原圭子は、急激に拡大してきた新興宗「平家教団」の謎の女教祖の顔写真を
見て驚愕する。5年前の学生時代、若狭地方を一緒に旅行した時に行方不明になった親友・久江に瓜二
つだった。果たして本物なのか、久江はどういう事情で教祖になったのか、圭子と恋人の山口は教団に
近づくが、彼女らの身辺で連続殺人が勃発。教団幹部・平林の不審な行動の目的とは、そして教祖は本
当に久江なのか・・・。
本筋の殺人事件の顛末はお粗末で、論評すべき出来ではないです。むしろ、平家教団にまつわる、壇ノ
浦における平家滅亡と安徳天皇生存説の方がめっぽう面白くってw
既に知られている伝説の類の寄せ集めではあるし、出所不明のデッチ上げのような説も交じっています
が、読物としては、大変スリリングに、分かりやすく紹介されており、「成吉思汗の秘密」以来の面白さ。
まあ、これを「本格ミステリ」というかは疑問ですが、高木彬光の「・・・の秘密」シリーズふうの構成に
したら結構面白くなったのに・・・。
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