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1957〜1987年あたりの本格ミステリ作家達 4
0001名無しのオプ
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2010/09/24(金) 22:33:43ID:tbMTY///
落ちてたようなので、初代スレ3氏他多くの方々の帰還を願いつつ立て直してみますた

過去スレの>>1さんの主旨です
>清張以降綾辻以前の本格ミステリは、泡坂・島田・笠井・連城・東野・岡嶋などといった一部を除いて絶版が多い。
>また、名前は知られていても本格ミステリ作家としての認知度が低い作家も多い(笹沢・西村・森村等)。

>この時期に活躍した本格ミステリ作家達のうち専用スレがない作家達の傑作・駄作を紹介して下さい。
>(要するに「ミステリーズ」でやってた「本格ミステリフラッシュバック」のようなものです)

過去スレ
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1143140545/
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1195364956/

前スレ
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1237095365/
0186初代スレの>>3
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2012/02/06(月) 12:45:51.59ID:1lpMxuXM
豊田行二「スイス銀行日本支店」(廣済堂文庫)(採点不能)
1977年の長編。「ひかり10号殺人事件」(過去スレ参照)のイカガワしさを求めて、「久々に豊田行二でも読む
かあ」と、ブクオフで手にとってみると、「本格長編推理」と銘打たれていたので購入。むろん、1980年代
以前のミステリで「本格長編推理」とあっても全く信用できないのですが、それでも読まずにいられないの
は「性(さが)」なのかw・・・どっちにしろ、こんなタイトルじゃ、ミステリだと思ってくれる人は皆無だろ
うなあ・・・。
国会議員・茅野敬太郎のお抱え運転手が何者かに絞殺される。現場には戦前の郵便貯金通帳が遺されて
いた。被害者の友人もまた殺され、もう一人の友人はKCIAの陰謀だと怯える。彼らの過去に何があ
ったのか。
一方、茅野は、隠し資産を「スイス銀行日本支店」の口座に隠しているというが、その口座の在りかを家
族にも秘密にしていた。スイス銀行の日本支店とは何を意味するのか。長男の太郎は、その秘密を探る
うち、父親の愛人・知佳子と深い仲になってゆく・・・。
「スイス銀行日本支店」の真相である「××貯金制度」の実態がテーマだそうですが、作者は、それでは読
者の食い付きが悪いので「推理仕立てにした」とのこと。ミステリをナメているよなあ(そういう作品は当
時は多かったのでしょうね)。
しかし、そのお陰でw、「××貯金」を巡る政界物プラス官能小説プラス本格ミステリの出来損ない、という
キテレツな怪作を読むことができました。連続殺人の方は、一応、意外な真犯人に関する伏線とか(しょー
もない出来ですw)、事件発生時に主人公と一緒にいたというアリバイ崩しのアキれた真相など、無理やり
にも「謎解き」の趣向を取り入れて、それが官能描写とも、「××貯金」とも、全く相いれない浮きあがった
ものになっているのが何だかオカしくて・・・。
「採点不能」作品が好きな方にしかお勧めできません。
0187初代スレの>>3
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2012/02/06(月) 12:47:34.43ID:1lpMxuXM
笹沢左保「日暮妖之介 流れ星破れ編笠」(集英社文庫)★★☆
1972〜73年に連載された時代物の連作集。父親を殺して脱藩した大谷伊左衛門を討つべく、但馬・出石藩
の目付の職を投げ打って、敵討ちの旅に出た日暮。ある時、同姓同名の別人を誤って殺してしまったこと
から、その娘に付け狙われる羽目になり、三つ巴の追跡行となるのだが・・・。
どのエピソードも、基本的な「結末の意外性」は持っているのですが、作者の股旅物でお馴染みのパター
ンが多く、いささかマンネリ気味。
強いて一編を挙げるならば、「影に怒る」のエピソード。日暮が道中で出くわした若い武士の敵討ち。若い
武士は討ちそこない、相手に逃げられてしまうが、日暮と意気投合。しかしその武士は近所で起きた殺人
事件の容疑者となる。事件発生時、その武士は例の逃げた武士と最初の斬り合いをしておりアリバイがあ
るという。日暮は逃げた武士を探し出し、その武士も男らしく、敵のアリバイを証明してくれるのだが、
実は・・・。これは結末の意外性、ドンデン返しもさることながら、「アリバイ」物にしては非常にユニー
クな真相で、ごくシンプルなものながら、話の構成上、盲点となる部分を突く見事な出来の作品でした。
なお連作の最後のエピソードにも、シリーズ全体にまたがるドンデン返しが用意されていますが、こちら
は容易に推測できました。
0188初代スレの>>3
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2012/02/06(月) 12:50:58.25ID:1lpMxuXM
南條範夫「情事の連環」(徳間文庫)★☆
1963年の連作集。
父親の遺した資産で優雅に暮らす尾形康子は、父親の知り合いだという村上信夫と出会い結婚する。だが
村上はとんだ曲者だった。彼女の資産を横取りするため、わざと康子に近づき、見事成功を収める・・・。
だが次の話では、その村上の上前をハネようとする女性が登場し、更に次の話では、彼女もまた破滅に至
る。そして巡り巡って最終話、驚きの真相が・・・。
いわゆる「輪舞形式」というヤツで、当時のミステリでは未だ珍しかったのでしょうが、今となっては、その
先駆的な意義しか評価できないですね。騙した者が騙されて・・・、の連続も、トリッキーな趣向が少ないので
楽しめません。
最終回の驚きの真相も、もう誰でも予想できるレベル、驚きでも何でもなく、ヒネりも無い。ただ読みやす
くて、昭和30年代の風俗を懐かしがって読んでいれば良いだけの話です。
0189初代スレの>>3
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2012/02/08(水) 12:45:33.08ID:UceycdAg
>>115で題名と評価だけ書いた作品の感想を追加しておきます。

藤原審爾「ろくでなしはろくでなし」(角川文庫)★☆
1974年のブンヤ物の長編、短編「新宿西口ビル街殺人事件」を併録。
表題作。スポーツ紙の不良記者・柳井は、他社の週刊誌に雑文を売るなどして不当な利益を稼いでいる
女たらしの新聞記者。知り合いでもあったプロ野球選手・久野が身元不明の女と自動車事故で不審死を
遂げた事件を追及するうち、競馬・競輪の賭博組織が絡んでいることを知る。新聞社内の派閥争いと上
からの圧力にもめげず、柳井は真相を追及するのだが・・・。
典型的な「社会派推理」ですね。不審死の真相に関する謎解きはあるけど、主人公がうろつき回るうちに
都合よく真相が次々と明らかになってゆくだけで、推理の要素は殆ど無し。面白かったのは、悪役のは
ずの主人公のキャラクターが非常にユニークで、どうしようもない悪徳記者なのに、読み進めるうちに
何故か主人公に肩入れしてしまう点で、楽しく読むことができました。でもやはり1974年の作品にして
は古めかしくて、完全に時代から取り残されているなあ・・・。
短編「新宿西口ビル街殺人事件」は「新宿警察」シリーズの一編。新宿西口のバーで起きた殺人事件。店の
常連だった某国の外交官が容疑者として上がるが、彼は鉄壁のアリバイと、外交特権の壁に守られて
いた・・・。アリバイ工作にしても結末の付け方にしても全てピントがズレている駄作。
以前に読んだ、殺意を抱きあう夫婦を描いた長編「贅沢な殺人」(1969年)はまっとうなミステリでし
たが、それでも古めかしさが目立っており、同時代の清水一行、森村誠一らはもとより、1960年代の
松本清張あたりと比べても更に古びてしまっており、既に1970年代初にして全盛期は過ぎていた作家
だったのでしょうかね。
0190初代スレの>>3
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2012/02/08(水) 12:50:39.02ID:UceycdAg
同じく>>115の作品の感想を。

若山三郎「オフィス殺人事件」(青樹社ビッグブックス)★
春陽文庫の「お嬢さんシリーズ」など知られる作者の、1987年の長編。この投げやりなタイトルからして、
ダメダメな作品だろうな、と危惧していたのですが、果たして・・・。
中堅会社の新入社員・大宿淳吉はサッパリした気性の大男で、色々な女性から言い寄られる果報者だが、
誰にもなびかない硬派の男。またしても、勤務先の元OLだったホステス・春美に付きまとわれるが、春
美は大宿が留守の間にアパートで殺されてしまう。大宿は容疑を晴らすため、親友で同期入社の横村と
ともに捜査に乗り出し、被害者を一方的に慕っていたチンピラやら、かつて関係のあった会社の専務ら
と関わるうち、春美が不倫相手を脅迫していたという事実を知る。更に、第二、第三の殺人が起きるの
だが、果たして真犯人は・・・。
うーん、1987年発表の作品ですが、バブルまっ盛り、国鉄はJRに変わり、「新本格」誕生直前だというの
に、何なんだ、このアナクロぶりはw
ガンコ者の会社社長、蓮っ葉な令嬢とダメ社員、お転婆娘らを向こうに回して、腕っ節の強い明朗な坊っ
ちゃん社員が銀座で大活躍、という、昭和30年代から何も進歩していないストーリー。一応、1980年代の
風俗なども取り込んではいるのですが、時代に取り残されて浮きまくっています。
で、肝心の事件の謎解きは、レッドヘリングなり、アリバイ工作のための小技なトリックなり考えられて
はいるし、最後まで真犯人を隠そうと努力はしているのですが、全くパッとしない出来栄え。特に破綻し
ている訳ではないですが、およそ評価できるレベルではないですね。以前に読んだジュブナイルの「遅すぎ
た殺人事件」とドッコイドッコイの出来のスットコドッコイな駄作ですw
0193初代スレの>>3
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2012/02/20(月) 12:35:19.47ID:yE8pxbMt
>>191
そのブログ、過去の感想を確認、参照したいときなど、たいへん重宝しています。先般も、笹沢左保「眠れ、わが愛よ」
の俺の感想文に間違いがあったので、訂正をお願いしました。

島田一男「社会部長」(青樹社文庫)★★☆
1949〜1956年に発表された、東京日報・北崎社会部長と彼の部下らの新聞記者の活躍を描いた連作集。「特報社会
部記者」(過去スレ参照)と同じシリーズで、スレの主旨の年代からは遡ってしまいますがご容赦ください。
巻頭の表題作は、音楽家が巻き込まれた殺人事件。アリバイ崩しなども出てくるが取り立てて言うレベルで
はない凡作。「三つの仮面」も元華族の男の失踪話だが、ただの人情譚。
「泥濘の町」は、地元業者やヤクザと結託していると噂される新聞記者が殺される。だが真相は・・・。
「女殺陣師」は、部隊の稽古中に小道具の日本刀が本物とすり替えられ、斬殺された女剣劇の座長。果た
して刀をすり替えた真犯人は・・・。
「三行広告」は先ず先ずの作品。宝石店の不可解な募集広告。指定されたとおりのダンディな格好をした
男たちで溢れかえる宝石店。だが、その直後に起きた殺人事件で現場から逃げた男もまた同じ格好をして
いた・・・。広告の真相は、シャーロック・ホームズのアレというより、「ルパン三世」の或るエピソードを
思い出す愉快なもの。
「幻の男」は古典的な或るトリックだが、やはり法医学的にはどうかなあ。
「特ダネ売り」は、謎めいた情報屋から、大学生の殺し屋による殺人計画のネタを買った記者の話。
「アリバイ売ります」も先ず先ずの出来。ミエミエのアリバイ工作が実は逆に・・・、という発想の転換は面白い。
0194名無しのオプ
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2012/02/27(月) 15:26:05.23ID:mSbCDoeK
種村直樹の鉄ミスってどうですか?
0196初代スレの>>3
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2012/03/05(月) 12:57:18.89ID:VxVkbo+U
>>194
種村直樹は「日本国有鉄道最後の事件」(1987年、過去スレ参照)しか読んでいませんが、通常の「鉄道
ミステリ」とは異なる切り口が新鮮でしたね。

笹沢左保「残照岬」(光文社文庫)★★
1987年、一時中断していた「岬」シリーズの第7作。
蓉子は28歳独身、母親と兄夫婦らと暮らしていた。隣家で、夫が妻を殺して床下に埋めていた事件が、
何者かによる放火で発覚したのを皮切りに、一家にも暗雲が垂れこめてくる。居候していた兄の妻の
妹・真紀が謎の失踪を遂げる。真紀は、隣家の殺人犯の夫と深い仲にあり、放火したのも真紀なので
はないか、蓉子は義妹の疑いを晴らすべく、調査に乗り出したのだが・・・。
うーん、これまでの「岬」シリーズにあった、孤独感、ニヒリズムが消えてしまっており、真紀の行方を
探すヒロインの旅行は、恋人になった男と一緒のノホホンとしたものだし、結末の意外性、皮肉なオチ
は決まっているものの、錯綜した謎の真相が余りにもご都合主義的。ラストも、やや皮肉味が過ぎて、
悲劇性が薄れてしまったように思えます。凡作でしょう。
0197初代スレの>>3
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2012/03/07(水) 12:30:10.01ID:I2XGE4y4
北杜夫「マンボウ最後の名推理」(青春出版社)★★
1992〜93年に発表された作品を収めた短編集。
「にっぽん丸殺人事件」は、サハリン行きの客船に乗り込んだ作家の「北杜夫」氏。船内で知り合った老人が
身投げしたらしき痕跡を発見、躁鬱病も手伝って、他殺と決めつけ、支離滅裂な推理を展開するのだが・・・。
客船からの消失の真相は肩透かしですが、本作の意外性は、何と言っても、老人と連れの少年の正体・・・。
これには意表を突かれたw
「梅干し殺人事件」は、ドケチの大富豪が変死。そこにやって来た「北杜夫」氏は、大好物の梅干しに毒が仕
込まれていたのではないか、と勝手な推理を展開するのだが・・・。うーん、ユーモアの質も落ちてしまったな
あ。見る影もない。オチも不出来。
「赤ん坊泥棒」は、ブラジルを舞台にしたドキュメント風の作品。収録作では一番手の込んだ作りだが、残念
ながら謎ときにはなっていない。
作者の作品では、以前に読んだ、旧制高校生が北アルプスの登山中に出会った謎の男が結末で実は・・・、とい
うミステリとして非常に出来の良い短編(題名失念)がありましたが、本作は凡作でしょう。
0198初代スレの>>3
垢版 |
2012/03/07(水) 12:31:47.94ID:I2XGE4y4
草上仁「市長、お電話です」(ハヤカワ文庫)
1991年のSF短編集ですが、注目すべきはSFミステリ「転送室の殺人」★★★☆。宇宙船内の物質転送装置
内で起きた殺人事件、現場は密室状態だったのだが、真犯人はどうやって出入りできたのか。乗船していた
刑事が突き止めた真相とは・・・。SFならではのトリックではありますが、伏線はバッチリ、真犯人の或る
描写など心憎いほどさり気なくキマッている。「あとがき」で作者は謙遜していますが、これは密室物の佳作。
他の作品はSFですので割愛。
0200初代スレの>>3
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2012/03/09(金) 12:33:34.49ID:6sMmOnhw
嵯峨島昭「グルメ刑事(デカ)」(光文社文庫)(採点不能)
1987年の長編。
無類の食通である西郷刑事は、北大路魯山人を名乗る謎のグルメ男と出会い、恋人の由紀とともに、日本一の
料理人を決めるテレビ番組に出ることに。だが、「怪人百面相」と名乗る脅迫状が届く。日本一の料理人が決ま
り次第、殺害するという。上司の平束刑事も加わって、「怪人百面相」の正体を追いつつ、グルメの旅を続ける
のだが・・・。
出てくる料理は、ステーキ、カレー、鮨、フレンチにラーメン・・・。各料理の名店と料理人を訪ねて日本全国
を旅して回る、という、「美食倶楽部殺人事件」(過去スレ参照)と同様の展開。しかも、「美味しんぼ」にも似た、
もう聞き飽きたフレーズの数々・・・。ミステリとしての筋はかなり好い加減で、実在の名店を連想する店を登
場させ、その味やレシピを、登場人物のセリフを借りて批評しているだけの部分もあり、何というか、まあ・・・、
ですねw
そしてラスト、北大路魯山人と脅迫犯「怪人百面相」の意外な正体が明らかに・・・。魯山人の方は事前にバレバレ
ですが、脅迫犯の方は・・・、これは意外すぎて、というか、「そんなのアリかよ!!」と叫んでしまいました。まあ、
伏線らしきものもあったのですけどねえ・・・。
・・・これで嵯峨島昭作品も、残すは「秘湯ギャル探偵・・・」と「『活けじめ美女』・・・」の2作のみとなったが、1990年
代に発表された上記作品の評判は、・・・だからなあ。どうしようw
0202初代スレの>>3
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2012/03/14(水) 12:43:29.91ID:pJ3NWZAU
谷恒生「大暴風(ハリケーン)」(徳間文庫)★★★★
1991年の長編。
鉱油船「ブルーメディア号」号の三等航海士・伍代正之は、南米コロンビアの港町サンクレメンテで、麻薬
を巡るマフィアらの抗争に巻き込まれてゆく。手始めに一等航海士がフィリピン人の下級船員に殺され、
更に、ボーイが行方不明となる。そして伍代が宿泊していたホテルでドイツ人の船長が殺され、地元警察
からも追われる羽目に・・・。日系アメリカ人、チャイニーズ、スペイン人、イギリス人、フィリピン人など、
様々な人種が入り乱れ、一癖も二癖もありそうな船員たち。その中にマフィアの手先、殺人犯がいるので
はないか・・・。
作者お得意の海洋冒険小説ではありますが、連続殺人の犯人を探すフーダニットの基本は守られており、
疑わしい人物のアリバイが吟味されるなど、なかなかに謎解きの要素も充実しています。更に、ストー
リーの流れから、事件の真相を逸らせるテクニックも上手い。ネタバレにならない範囲で書いておくと、
真相は麻薬絡みと思っていたら実は・・・、というもので、コロンビアとくれば、メデジンカルテルで、コカ
インで・・・、と読者を誘導しておいての意外性。真相に係るさり気ない伏線も先ず先ずの出来で、ラストに
は、数々の出来事は実はこういう意味だったのだ、と明かす謎解きもあり、三好徹や伴野朗あたりの謎
解き要素の強いスパイ小説、冒険小説に近いテイスト、「本格」を意識した佳作といえます。あと、主人公
の伍代が冒険小説らしからぬ、やや軟弱な奴であるのもちゃんと意味があり、ラストで決着を付けてく
れます。とにかく面白かった。お勧めです。
・・・但し、この文庫版は、裏表紙の「あらすじ」で、全く許し難いことに、結末の真相、真犯人まで明かし
ているお粗末を演じています。読まれる方は要注意(俺は目も通さずにさっさと本文に取り掛かったの
でネタバレを免れましたが、読了後に読んでみて唖然としましたよ)。
徳間書店の担当者は、ミステリを全く知らないド素人の大バカ者なのか・・・。
0203初代スレの>>3
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2012/03/16(金) 12:43:11.01ID:bdDQUEgK
山村美紗「京都新婚旅行殺人事件」(光文社文庫)★★★
1985年のノンシリーズの長編。
南田物産に勤める美知子は、独身の部長と結婚、玉の輿に乗るが、同じ日に結婚式を挙げた社長令嬢が
新婚初夜に京都のホテルから飛び降り自殺する事件に遭遇。だが京都府警の狩矢警部らの捜査により、
自殺ではなく他殺と断定される。更に琵琶湖畔に浮かぶ遊覧船の状態の船室で社長が殺される。財産目
当ての後妻の犯行か、或いは会社の人事抗争か。美知子は事件の謎を追うが、実は彼女の夫もまた、以
前に三人の妻を事故死や自殺で亡くしており、彼女とは四度目の結婚だった。夫への疑惑が膨れ上がる
うち、彼女もまた、命を狙われることに・・・。
はい、いつもの「産業ミステリ」ですね(>>180参照)。テレビドラマ化したときの演出だけを考えたかのよ
うな登場人物、構成ですが、それでも本作は、一応(飽くまで、一応、ですが)、謎解きの過程には、そ
れなりに力を入れており、密室の真相も、作者の作品で良くあるパターンを脱しようと努力はしています。
真犯人の動機には疑問があるものの、レッドヘリングも工夫の跡が見え、終盤まで容易に犯人を割らせま
せん。但し、アリバイ工作の方は・・・、例の電話のアレ、好い加減にしたらどうだ。
以上、陳腐な電話トリックを除いては、かなり努力していますので、決して駄作ではないと思います。少
なくとも、>>180の「京都鞍馬殺人事件」よりはマシ。
しかし、解説の郷原宏、よくもヌケヌケとこんなことを書いて絶賛できたものだなあ。作者の作品では
使い古された電話トリックを「乱歩の『類別トリック集成』に新しい一項目を要求して恥じない」って一体・・・。
おまけに「名前だけで本を買っても絶対に損をしない」とはねえ・・・。解説者としてのプライドはない
のか?
0204初代スレの>>3
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2012/03/16(金) 12:50:39.67ID:bdDQUEgK
× 遊覧船の状態の船室で・・・
○ 遊覧船の密室状態の船室で・・・
0205名無しのオプ
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2012/03/18(日) 05:28:29.00ID:9z4nyKpY
>>203
ないでしょ
質より量の典型的な提灯解説者って印象
○谷や小○も同じ印象
0206名無しのオプ
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2012/03/19(月) 14:01:05.86ID:LiKyEP0B
○谷や小○も、石川真介の「不連続線」の馬鹿詐欺先生の解説には敵うまいw
0207名無しのオプ
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2012/03/19(月) 15:47:46.32ID:tDN9bgCM
馬鹿詐欺って解説も書いてたのかw
誰だよ頼んだの
0209名無しのオプ
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2012/03/19(月) 22:01:36.87ID:LZ+naH6f
郷原の手がけた松本清張事典のような本、実は内容もそこそこ充実していたんだが、
編者郷原ってことでずいぶん評価を下げていたような気がする。
実際、中身を見て郷原もこんなに仕事ができたんだと驚いた
0210名無しのオプ
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2012/03/19(月) 23:26:17.38ID:I9BRb0uz
郷原宏は
詩壇の芥川賞といわれるH氏賞を受賞していると知った時には
へ〜と思ったものだが
文庫で書きまくっている解説の中身にはちょっとなんといいますかね
0213初代スレの>>3
垢版 |
2012/03/26(月) 12:45:45.59ID:Up8caYKg
雑誌「幻影城」(1979年1月号)
本号の作家再評価シリーズは竹村直伸。乱歩の称賛を得てデビュー、短編3本を送ったら3本まとめて
「宝石」誌に掲載されたというエピソードもある作家、本誌には1958〜59年の「宝石」誌掲載作を収録。
「風の便り」★★★☆、デビュー作。子供が風船に付けて飛ばした父親宛ての手紙。殺人容疑に問われ、今
は精神病院にいる父親から返事が届く。離婚して住所を知らせていないし、そもそも風船が父親のもと
に届くことなどあり得るのか、母親は不審を抱くが・・・。語り手の「私」の設定がややアンフェアではあ
りますが、冒頭の一行目など実にシブい。佳作ですね。
「タロの死」★★★☆、3作一挙掲載のうちの1本。これも良作。見知らぬ女性から犬を譲られた少年。
タロと名付け飼おうとするが母親の反対にあう。ガス中毒死した父親の巻き添えで死んだ犬もまた同じ
種類の犬でタロといい、母親は犬を譲った女性に不審を抱くが実は・・・。短編ミステリのお手本のような
作品。ガス中毒と犬の死の真相と、結末の繋げ方が抜群の冴えですね。
「見事な女」★★★、生活を支える妻に甘えて市役所を辞めて靴磨きになった男、妻が失踪した後、花屋
の出店を出した男と知り合う。彼もまた、妻に甘えて花屋に転身したのだが、その妻は靴磨き男の妻
だった。やがて・・・、これも上手いし、結末までグイグイ読ませるけど、真相はちょっとやり過ぎかなあ。
・・・以上3作、1950年代の作品にしてはセンスの良さが光りますね。伏線には不満が残るが、結末の
切れ味は現代でも通じる、独特の雰囲気に満ちた、洒落た短編を読んだな、と満足できます。
その他、書き下ろし作品としては、筑波孔一郎「自殺志願者」★★。六人組グループの一人が語る、不可
解な毒死事件。果たして自殺か他殺か。・・・些細な伏線はともかく、毒殺トリックも陳腐ならドンデン返
しも乱歩の亜流レベル。
日影丈吉「東官鶏」は戦時中の台湾を舞台にした作品、李家豊「深紅の寒流」は冒険小説(田中芳樹「流星
航路」収録、過去スレ参照)。赤川次郎「五分間の殺意」も作者お得意の展開だが後味悪し。
やはり収録作では、連城「桔梗の宿」、泡坂「意外な遺骸」がダントツの出来、説明不要ですね。
0214名無しのオプ
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2012/03/26(月) 13:54:27.49ID:+81JQ1hs
竹村直伸はアンソロで読んだ「タロの死」が面白かったから他の作品も読みたいと思ってたんだよな
幻影城捜してみよう
0215名無しのオプ
垢版 |
2012/03/26(月) 21:20:48.76ID:E+Ur0ItW
>>213
>>雑誌「幻影城」(1979年1月号)
懐かしいですね
確かこれ50号記念とか銘打ちながら
この後数カ月休刊してやきもきした記憶があります
復刊後も三号くらいで休刊してジ・エンド
栗本薫・河野典生の長編連載、日影丈吉の長編分載後編があわや幻に…
0216初代スレの>>3
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2012/04/02(月) 12:45:18.12ID:yMS7y79B
風見潤「闇の夢殿殺人事件」(天山ノベルス)★★★☆
1989年、「殺意のわらべ唄」(過去スレ参照)に続く、天文考古学者の神堂と恋人の奈々のコンビが活躍
するシリーズ第2作。
奈々は友人の圭子から、姉の玲子が幼い子を置いて失踪した件で相談を受ける。玲子は新興宗教の信
者で、聖徳太子に由来するという教団の、「今太子」とも呼ばれる教祖の御曹司こそが自分の子の父親
であると主張して、教団発祥の地である栃木県の山奥を訪ねたところで行方を断ったらしい。神堂・
奈々コンビは調査に乗り出すが、玲子がついに死体で発見される・・・。
伏線、特に中盤でサラッと触れる小事件が結末でシブく決まっており、その他、アリバイ工作に密室
トリック、或るトリックなど、サービス満点の作品ではあるのですが、いかんせん200ページちょっと
の分量では消化不良ぎみ。特にラストの謎解きが駆け足すぎる。最後に起きた密室殺人は、真相その
ものが犯人特定につながるので、仕方ないかも知れませんが、もっとジックリ謎解きにページを割い
てほしいところ。なかなかの出来だけど、その点は残念。
0217初代スレの>>3
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2012/04/02(月) 12:46:45.28ID:yMS7y79B
加納一朗「血の色の冬」(トクマノベルス)★★
1983年の長編。
東京の青山でミニFM局を開局した若者たち。リポーターの坂口光子は、新宿のホームレスを取材中、
大学の恩師がホームレスとなっているのを見かける。だが数日後、そのホームレスは毒殺される。どう
やら大学講師時代の不倫相手と再会した末に、その相手に毒殺されたのではないかとの容疑が濃厚に。
しかし容疑者の女性は、事件発生直後、自動車事故を起こして意識不明の重体になっていた。不倫相手
を殺して自分も自殺覚悟で事故を起こしたのか。そして被害者の大学講師は、ホームレスになるまでに
一体何があったのか。光子は知り合いになった刑事らとともに調査を進めるが、第二の殺人事件が発生
し、全く別の容疑者が浮上することに・・・。
うーん、若者の風俗や刑事のダラダラした捜査にページを使い過ぎ。FM局の連中や若い刑事の心情な
どを丁寧に描写することにはなったけど、事件の展開のテンポが悪くなり、200ページ程度なのに読み
進めにくいことといったら・・・。事件の謎解きは、一つだけ或るトリックが使われているものの、第二の
殺人事件における犯人の動機が納得できない。何で殺す必要があるの?無理がありますね。
0219初代スレの>>3
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2012/04/09(月) 12:25:43.90ID:3AkfQi0m
草川隆「寝台特急富士で消えた女」(青樹社ビッグブックス)★★★☆
久々に読む草川作品、これは1989年の長編。
従姉妹どうしで少女マンガを合作する由美と幸子。次々と男を振ってきた由美に間違えられて幸子が
クルマに轢き殺されそうになったのも束の間、大分・別府への取材旅行のため乗った寝台特急「富士」で
遂に殺人事件が勃発。個室寝台に血痕を残して由美が姿を消し、やがて、別府の温泉でバラバラ死体
が発見される。犯人は個室内で由美を殺害、バラバラにして下車したのか、だが該当するような不審者
は全く目撃されていなかった。やがて、同じ寝台車に、由美にフラれたライター・石田が偶然乗り合
わせていたことから、石田は容疑者とされてしまう。身の潔白を証明するため、石田は事件の真相を
追うのだが・・・。
バラバラ殺人と列車のトリックは、作者の独壇場ではありますが、本作のトリックは、まあ傑作とは
言えないものの、先ず先ず面白くはありました。バラバラにした理由も納得できるもの。ただ、捜査
がもっと綿密だったら、これはバレてしまうよなあw
冒頭の大胆な伏線も先ず先ずだが、カンの良い人はこの時点で真相に感づくかも。
0220初代スレの>>3
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2012/04/09(月) 12:28:32.22ID:3AkfQi0m
笹沢左保「Tの複写」(角川文庫)★★☆
1976年の長編、「13番目の証人」を改題。
旅行代理店に勤める多美子は、上司の市原と不倫関係にあった。だが彼の態度が冷たくなり、その妻・タミ子
が子供を産んだことから二人の仲は決裂、絶望した多美子は市原を殺して自分も死ぬ、と思い詰め、最後の密
会だと男を誘い出して殺そうと計画、果たして市原の刺殺死体が発見され、警察は行方をくらました多美子を
容疑者と断定、その行方を追う。だが同じ日に、市原の自宅では、妻が目を離したスキに、生まれたばかりの
赤ん坊が誘拐される事件が起きていた。多美子の友人だった中曽根京子は、多美子が犯人なら、その場で後追
い自殺するはずだと不審を抱き、伯父で退職した元刑事の栗林に相談したところ、彼を大先輩と慕う、これま
た病気休職中の若い刑事・円城寺と知り合い、失踪した多美子と事件の真相を追及するのだが・・・。
うーん、事件を追う京子と円城寺による、ディスカッションの繰り返しによる推理がミソかと思うのですが、
如何せん、「意外性を求めるなら、アレしかないだろう?」と読者に容易に推測されてしまい、真相がそのとお
りなので、どうも物足りません。あと、誘拐事件の追及がなおざりにされており、後半の解決部分で思い出し
たかのように出してきて、しかも詰らない真相でガッカリ。
力の抜けた凡作としか言いようがないですね。それにしても元題「13番目の証人」って何だろう?題名の由来とな
るような内容は全く無かったようだが・・・。
0221初代スレの>>3
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2012/04/17(火) 12:47:22.16ID:U1zO4Uz6
藤丸卓哉「自衛隊脅迫」(トクマノベルス)★☆
1986年の長編。
防衛庁に届いた脅迫状。自衛隊員の給食の残飯代は換算すれば年間数十億円にも上っており、その分、社会
福祉に回すように要求。一蹴したところ、犯人側は、電力会社のエレベーターを皮切りに、野球場の照明設
備、遊園地の電源を相次いで爆破。死者を出さない巧妙な手口、しかも爆破装置は太陽電池を使ったデジタ
ル装置で、数十年先の日時まで指定して爆破できるもので、いつセットされたかも皆目分からない状況だっ
た。警視庁は福祉関係から容疑者を割り出そうとするが、果たして犯人は誰なのか・・・。
作者が残した2冊のミステリの一冊、もう1つの「殺人周波」は>>80参照。本作でも、科学者らしく爆破装置
のメカには力を入れて紹介していますが、フーダニットとしては余りに構成がお粗末。一応、レッドヘリン
グも考慮してはいますが、およそ効果が上がっていない。伏線もあからさまというか、ダメ。自衛隊に対す
る問題提起も余りに幼稚ですね。
0222初代スレの>>3
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2012/04/17(火) 12:51:03.33ID:U1zO4Uz6
福田洋「幻の女殺人事件」(光風社文庫)★★
1987年の長編。
東京のマンション駐車場で発見された不動産会社社長の死体。だが事件発覚直後に、盛岡で、会社社長と
偽って大金を引き出そうとしていた男が現れ、緊急逮捕。その男は、「見知らぬ女から依頼されてやっただけ」
と否定するが、警視庁は、その男が殺害犯と断定、起訴する。だが裁判中に、被告が主張する謎の女の存
在が明らかに。面目を失う警視庁。「幻の女」は一体どこに消えたのか。だが、裁判の証人となった探偵事務
所社長が何者かに殺害されたことから、事件は意外な方向に・・・。
序盤・中盤は快調でした。地を這うような捜査の手堅い描写、一向に正体を掴ませない「幻の女」の謎めいた
行動など、興味は後半まで繋がってゆくのですが・・・。ああ、こんな真相じゃダメだ。紆余曲折した挙句の
謎解きがまるでなっちゃいない。伏線には良いところもあるし、構成もシッカリとしており、ふた昔前ほど
の警察小説としては良く出来ているのですが、どうも謎解きにヒネりが足りないというか・・・。まあ探して
読むほどのレベルではないです。
0223初代スレの>>3
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2012/04/23(月) 12:52:07.42ID:5tUP5D0Z
平岩弓枝「ふたりで探偵」(新潮文庫)★★
旅行代理店の添乗員・森加奈子が旅先で出会った事件を、紀行作家である夫の清一郎に話し、その話
だけから解決するという、いわゆる「安楽椅子探偵」物の1987年の連作集。
先ずは第1話「ローマの蜜月」、ヨーロッパのツアーに参加した中年の男が帰国後、不審死を遂げる。旅
行中の様子から、清一郎の示した推理とは・・・。被害者が一人でツアーに参加していた理由などは面白
いのですが、推理が飛躍しているなあ。
「チュニジアの新婚旅行」は、息子夫婦の新婚旅行に同行した母親。気に入っていた嫁が見込み違いだっ
たことが分かるが実は・・・。意外性は十分だが、これまた推理が何の根拠も無く飛躍しすぎ。
「箱根・冬の旅」も結末のヒネりはあるが、清一郎の推理が、どうもなあ・・・。
その他、「スリランカの殺人」、「ロアールの幽霊」、「ハワイより愛をこめて」、「ニューヨーク旅愁」、
「香港の満月旅行」いずれも、オチの切れ味はともかく、探偵が推理して解決するような話ではない。
・・・全体に、探偵役を無理に登場させることは無かったかと思いますね。結末の意外性とオチだけ
で構成した方が良かったかと思います。
0224初代スレの>>3
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2012/04/23(月) 12:54:14.41ID:5tUP5D0Z
笹沢左保「影絵の愛」(光文社文庫)(採点不能)
1989年の長編。
大信田倫子は、スーパーの社長だが学者肌の夫に飽き、私立学校経営者の御曹司・白川との不倫に走って
いた。だが、新宿のホテルで人妻が殺される事件が勃発、あろうことか夫が容疑者として浮かび上がる。
夫は無実を訴えながらも、デタラメなアリバイを申し立て、全て虚偽だと暴かれてしまう始末。夫は一体
何を隠しているのか、倫子は白川とともに事件の真相を追うのだが・・・。
先ず、ヒロインの心理が甚だ不可解、作者はちゃんと説明していますが、どうも理解できかねます。そし
て、「すぐにバレるデタラメなアリバイ」の件は・・・、作者の先行作に、同じ趣向の某名作がありますが、
本作は・・・、うーん、そういうことですか。
しかし、事件の真犯人については・・・、なるほど伏線も巧みで、意外性に満ちてはいるけれど、真相発覚の
手掛かりや、夫が容疑者となった経緯が、余りにもご都合主義的。作者は、そうなる可能性をちゃんと
示唆してはいますが、広い東京で、そんなことが重なることなど先ずあり得ないでしょw
意外性を追求しすぎて、構成の手堅さを無視していますね。開いた口がふさがらない、面白かったけどw
0226名無しのオプ
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2012/05/11(金) 09:57:31.75ID:lW5T9ggf
0227初代スレの>>3
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2012/05/15(火) 12:31:29.61ID:fo+IHYt+
笹沢左保「文政・八州廻り秘録」(祥伝社ノン・ポシェット)★★★
1972年の「朝霧に消えた男」文庫改題版。無法状態だった関八州の治安に当たる「関東取締出役」の活躍を
描く連作集。1972年といえば、「木枯し紋次郎」シリーズ等で脂の乗り切った時期、無宿渡世人の敵役に
当たる関八州取締出役を主人公に据えています。
「闇の四天王の罠」◎、上州で一晩のうちに2箇所の商家に押し入った強盗団。十里余りも離れているの
に、2時間足らずで徒歩で移動して強盗することは不可能なのだが・・・。トリック自体はシンプルながらも、
巧妙に仕組まれた不可能犯罪物の佳作。結末のダメ押しも先ず先ず。
「魔性の肌」○、脱走した犯罪者が悪事を再開、野州・小山宿に出向いた関東取締出役。小山には馴染み
の女がいるのだが・・・。これは大阪圭吉のアレと同じ趣向ですね。バレやすいのが難ですが。
「甘い餌」◎、足跡一つ無い雪で覆われた離れでの密室殺人。密室トリックよりも、序盤の些細な言葉の
錯誤が上手い。
残りの「雷神を殺した女」、「女色の代償」、「お旗本の秘め事」は、いずれも出来悪く△。
0228初代スレの>>3
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2012/05/15(火) 12:33:00.23ID:fo+IHYt+
森村誠一「銀河鉄道殺人事件」(講談社文庫)☆
1985年の長編。
国鉄が主催した、行き先不明の「ミステリー列車・銀河鉄道X号」ツアー。参加者のうち、席を隣り合わ
せた二名の男が、遠く盛岡で殺害される事件が発生。更に相次いで殺人事件が発生する。ミステリー
列車に乗り合わせた乗客たちに一体何が起きたのか・・・。
極めつけの駄作。出だしは快調だったのに、事件の真相は、ただの偶然を積み重ねているだけ。最後
の最後に残った謎解きにやや期待したのですが、これもダメ。こんな偶然こそ在り得ない。
0229名無しのオプ
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2012/05/15(火) 18:50:58.35ID:6U744Zz9
中津文彦、亡くなっていたのか…。

吉村達也もスレに該当する世代でしょうか?
0230!ninja
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2012/05/22(火) 19:58:07.19ID:1RF01IOC
合掌

「政宗の天下」しか読んだことなかった
積んでる「黄金流砂」「特ダネ記者殺人事件」も読まないとなぁ
0231初代スレの>>3
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2012/06/01(金) 12:45:10.96ID:YX5zIOxP
大谷羊太郎「華麗なる惨劇」(集英社文庫)★★
1977年の長編の文庫改稿版。
城之内は暴力団を脱退し、芸能界専門の揉め事解決業に従事していた。だが或る時、彼に犯罪予告の電話が
かかってきて、予告通り、人気演歌歌手が殺害される。更に犯罪を予告してくる謎の男。どうやらバックに
は巨大な悪の勢力がついているらしい。また城之内の所属していた暴力団も、ただで城之内を解放した訳で
はなく、何かを画策しているらしい。続けて起こる第二、第三の殺人。犯人の狙いは一体何なのか、城之内
は単身、事件を追及するのだが・・・。
暴力団や裏社会の描き方が、今読むとマンガのようで今一つ迫力に欠けるのですが、それはさておき、殺人
犯の正体を中盤で明らかにしてしまったため、殺人犯を操るバックの勢力の真の動機と、暴力団側の狙いが
何なのかに期待したのですが・・・。
まあ、クリスティのアレの趣向も分からなくは無いですが、効果が上がっていませんね。バックの勢力に対
しても、そんなことのために連続殺人を犯すのかよ、と突っ込みたいです。駄作とはいかずとも、凡作も良
いところでしょう。
0232初代スレの>>3
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2012/06/01(金) 12:48:05.53ID:YX5zIOxP
小池真理子「あなたに捧げる犯罪」(双葉文庫)★★☆
1989年の短編集。
基本的にサスペンス・ホラー系の作品が多いのですが、火災発生の伏線が巧みな「菩薩の様な女」○、推理
作家協会賞受賞作の「妻の女友達」○、これも序盤の伏線が上手く、ちょっと読者の予想からズレたところ
の真相とオチが決まっています。
あと注目は、割とオーソドックスな倒叙物で、アリバイ工作の手抜かりがどこにあったかがポイントと
なる「セ・フィニ−終幕」○も在り来たりのトリックながら面白い。上記3作くらいが論理的に割り切れる
ミステリとして、それなりに評価できる作品でしょうか。
一番の傑作は「男喰いの女」ですが、これはホラー系で、一応ラストで結論が出るものの、「本当にそう
か?」と一抹の疑惑を残す手際が見事。
残りの「転落」、「間違った死に場所」は水準作といったところ。
0233名無しのオプ
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2012/06/02(土) 22:34:50.03ID:TaMjtGIR
3氏殿
久々のアップで嬉しい限りです。
0234名無しのオプ
垢版 |
2012/06/03(日) 15:16:42.65ID:sZ2BwM1t
高柳芳夫の「『禿鷹城』の惨劇」を読んだ
題名の響きと目次におどる密室の文字にワクワクして購入。
……本格魂は感じられるし、どんでん返しをしっかり仕込んであったり、凝りに凝った物理密室トリックなどは良いんだが
小説としてはどうかと思った
登場人物が無暗に多すぎるのと社会派要素と本格要素が分離していた印象
0235初代スレの>>3
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2012/06/04(月) 12:42:55.15ID:IdbNwq4r
梶龍雄「女たちの復讐」(トクマノベルス)★★★☆
久々に読む梶龍雄作品、これは1986年の長編。
興信所の探偵・真藤は知り合いの由香と鏡子の姉妹に騙され、全裸で監禁されてしまった。彼女らの父親
を殺した犯人が真藤だと言う。実は真藤は裏稼業で殺し屋もしており、確かに或る依頼者から彼女らの父
親殺しを依頼されていたのだが、真藤が被害者の住む熱海の別荘にやって来た時には、相手は既に何者か
によって殺された後だった。それを信じようとしない姉妹に対し、真藤は監禁されたまま、真犯人は誰な
のかを推理し、身の潔白を証明しようとするのだが・・・。
全裸で監禁だの、本筋に関係ないヒャッハー男の乱入など、エロ路線のサービスぶりが鼻につきますが、
のっけから異常な状況で展開する辺り、「浅間山麓殺人推理」に近いテイストで、主人公のキャラも軽ハー
ドボイルド風ではありますが、やはり、数年前に起きてしまった殺人事件を、関係者が説明してゆき、そ
こから真相に至る展開での謎解きには苦労したようで、説明ぶりが何とも渋滞気味で、二転三転する展
開なのに何故か重苦しく、話のスムーズさを欠いてしまったようで残念。それでも、さすがは梶龍雄、ダ
ラダラした説明にも周到に伏線を張っており、或る些細な事実から意外性のある真相を導く手際はなかな
かのもの。佳作というには一寸、ですが、決して凡作ではないと思います。
・・・これで梶龍雄も確か38冊目くらい、残りはあと3、4作くらいかなあ?
0236初代スレの>>3
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2012/06/13(水) 12:30:14.40ID:5lMdi9rO
船山馨「海の壁」(河出文庫)★★
1959〜63年に発表された2中編&連作の全3本を収録。
表題作は、保険会社社員が出張中に失踪、その妻が単独で夫の行方を追う。やがて神戸港で水死体が上が
り、夫と目されるが、信じ切れない妻は更に事件の真相を追及するのだが・・・。
発表時期からみても、完全な清張の亜流。真犯人の意外性はなかなかのものだが、およそ中編レベルで収
めるには無理があり、伏線が不十分で、真相の解き方に欠点が露わになってしまった。身内が証言するア
リバイを「疑問の余地がない」とする点にも、作者の素人ぶりが如実に現れている。少々ヒネッた構成は良
かったのですが・・・。
「兜町殺人事件」も同様。錯綜した裏の裏の真相、真犯人の巧妙な手口などプロットは面白いのに、謎の隠
し方と解き方が甘い。とはいえ、これは一応水準作でしょうか。
「明日を売る男」は、謎めいた男に会った人々が人生を転落してゆく様を描いた全4話の連作。柴田錬三郎
「幽霊紳士」というか、「わらゥせぇるすまん」に近いテイストか。謎解き物ではないが、この時期にしては
センスの良い連作だとは思います。
0237初代スレの>>3
垢版 |
2012/06/13(水) 12:32:07.39ID:5lMdi9rO
林葉直子「気まぐれ天使は夜空がお好き!−恋の事件簿」(学習研究社)★
1992年のシリーズ物?の長編。作者はむろん、あのお騒がせ天才女流棋士、数々のスキャンダルの後、
今はどこで何をしているのでしょうか?
由衣は女子大生、製薬会社の研究者である兄の親友で写真雑誌「マタイデー」記者の大松を憎からず思っ
ているが、会えばケンカばかり。或る時、実験のミスで出来た新薬を飲んで由衣は透明人間になって
しまう。すったもんだの挙句、由衣は兄の会社の専務が絡む麻薬のスキャンダルを知り、大松ととも
に事件の真相を追うのだが・・・。
まあ、こんなラブコメ風ミステリに謎解きを云々するのも大人げないですが、冒頭の小事件が結末に
絡んでくる辺りは、素人にしては、その程度のことは考えているんだなあ、ぐらいは思いました。他に
は言及するようなレベルではないですね。探して読むような本ではないです。
0238名無しのオプ
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2012/06/17(日) 21:53:57.58ID:/1qQ6jK0
林葉はついこのあいだ将棋界に復帰したよ
もちろんもうプロじゃないし実力は見る影もなくなってたが
0239初代スレの>>3
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2012/06/25(月) 12:36:36.65ID:5lo7l5kR
別役実「淋しいおさかな」(PHP文庫)★★★★
1973年の、NHK幼児番組向けに書いた童話集。これは幼児向けにはもったいないほどレベルの高い
童話集で、しかも、発端の面白さと意表を突いたオチが見事な傑作。謎解き風の話もあり、特に序盤
の伏線と「発想の転換」的な結末に、本格ミステリのテイストに近いものがあります。幾つか紹介す
ると・・・。
「煙突のある電車」、乗客ゼロの市街電車。或る日、初めての乗客が乗って来たかと思ったら、この電車
で働かせてほしいという。そういう志願者が続出して・・・。なるほど、結末はこう来るかw
「機械のある街」街の中心に巨大な謎の機械が置かれている。何をする機械なのか誰も知らず、撤去する
ことになったのだが・・・。これぞ発想の転換というか、チェスタートンにも通じるナンセンスな結末が
冴える傑作。
「みんなスパイ」、謎の委員会から、スパイに任命したと手紙が届く・・・。ヒネりにヒネッたフーダニット
物かw
「工場のある街」、煙を出し続ける工場。何を作っているのか、工場で完成した物とは・・・。「機械のある
街」にも通じる逆転の発想が見事。
「穴のある街」、市民みんなで、ひたすら穴を掘り続ける街。七十年以上もかけて掘った穴が完成したと
き、最初に穴を掘ることを開始した市長の手紙が公開される・・・。これも素晴らしいオチ。
どれもこれも、本格ミステリのエッセンス、とまでは行かなくとも、発想のヒントになりそうな話が満載
の全22編、以前に紹介した「探偵物語」のような難解さは無いので、お勧めです。
0240名無しのオプ
垢版 |
2012/06/30(土) 23:45:57.73ID:lLa4412N
age
0241初代スレの>>3
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2012/07/09(月) 12:47:10.17ID:v/KR3a6r
井口民樹「外科病棟の陰謀」(双葉文庫)★★☆
1984年の長編。
大学病院で出世街道を走る外科医・交野。恩師の教授の娘との結婚で、足がかりを掴むかに見えた
が、悪性の腫瘍により、外科医の命ともいうべき右腕を切断、悲観して飛び込み自殺を遂げる。だ
が彼の恋人と交野の後輩である榊原は殺人ではないかと疑念を抱き、独自に真相を追及する。やが
て、交野を脅迫していた男も殺され、事件は医大の後継者争いにも関わってくることに。果たして
真犯人は・・・。
トリッキーな趣向に乏しいため高い評価はできませんが、地味ながらもフーダニットに徹した作品。
真犯人を特定する伏線が一つしかないのも難点ですが、さり気ない描写がシブく決まっています。
レッドヘリングの扱いにも難がありますが、新本格登場前、同時期の森村誠一や斎藤栄あたりの駄
作に比べれば遥かにマシ。
0242初代スレの>>3
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2012/07/09(月) 12:49:12.02ID:v/KR3a6r
城島明彦「平家教団の陰謀」(光風社ノベルス)★☆
1986年の長編。
フリーのコピーライター蔵原圭子は、急激に拡大してきた新興宗「平家教団」の謎の女教祖の顔写真を
見て驚愕する。5年前の学生時代、若狭地方を一緒に旅行した時に行方不明になった親友・久江に瓜二
つだった。果たして本物なのか、久江はどういう事情で教祖になったのか、圭子と恋人の山口は教団に
近づくが、彼女らの身辺で連続殺人が勃発。教団幹部・平林の不審な行動の目的とは、そして教祖は本
当に久江なのか・・・。
本筋の殺人事件の顛末はお粗末で、論評すべき出来ではないです。むしろ、平家教団にまつわる、壇ノ
浦における平家滅亡と安徳天皇生存説の方がめっぽう面白くってw
既に知られている伝説の類の寄せ集めではあるし、出所不明のデッチ上げのような説も交じっています
が、読物としては、大変スリリングに、分かりやすく紹介されており、「成吉思汗の秘密」以来の面白さ。
まあ、これを「本格ミステリ」というかは疑問ですが、高木彬光の「・・・の秘密」シリーズふうの構成に
したら結構面白くなったのに・・・。
0243初代スレの>>3
垢版 |
2012/07/19(木) 12:38:34.81ID:JAF8DpyM
笹浩平「黒の文化財」(芙蓉書房)(採点不能)
1976年の長編。全く知らない出版社の、全く知らない作家の作品ですが、さて。
塗料メーカーの敏腕研究員・坂口は奈良・秋篠寺の隣に住んでいたが、寺の境内で発生した殺人事件に
巻き込まれてゆく。被害者の若い女性の身元も、また死因についても全く不明で、未知の毒物が使われ
たらしい。やがて坂口は、自分が手がけた海上自衛隊の護衛艦「ゆきかぜ」の塗装に関わって、政財官の
癒着へと巻き込まれ、秋篠寺の殺人事件にも関わって行くことに・・・。
うーん、何なんだこの小説は。塗料・土木業界に詳しいヒトが、当時の塗装業界、文化財保護行政の在
り方に私憤を感じて告発しました、ということか?以前に読んだ北川健「S公団醜聞事件」(過去スレ参照)
に近いテイストか。それにしても、「文化財は最新の技術と安いコストの材料で建て替えることに意義が
ある」とか言って、東大寺大仏殿修復で、屋根瓦を大量生産の安い瓦に葺き替え、木材も安物でOK、最
新技術の東大寺を未来に残そう!とか、この作者、少しイッちゃってますね。
で、肝心の事件の真相と真犯人ですが、何だそりゃ、アホか、といったレベル。検出されない毒物の正
体がアレだというのには驚いたし、一番スゴいのは、オウム真理教事件を二十年近くも前に予言してい
ることでしたが、ミステリとしてはダメダメも良いところ。まあ、オウム事件の手口と動機を完全に言
い当てており、その点にだけは感心しましたけど。でもそれだけ。
0244初代スレの>>3
垢版 |
2012/08/06(月) 12:47:54.61ID:uSu7WQPI
山崎洋子「横浜幻燈館−俥屋おりん事件帳」(集英社文庫)★★☆
頃は明治、横浜で家業の俥屋で車夫をしながらフェリス女学校に通う娘おりんと、混血の西洋料理シェフ
留伊の活躍を描く1992年の連作集。
第1話「らしゃめん」、外国人実業家の妾を人力車で送迎して殺人事件に遭遇。容疑者の妾は、おりんの俥に
乗っていたという鉄壁のアリバイがあるのだが・・・。トリックは大したものではないが、伏線にも配慮した
良作ですね。
第2話「薔薇の悲鳴」、女学校の演劇の最中の銃撃騒ぎ。銃声は一発だけだったはずなのに弾丸が二つ見つか
る・・・。凶器の隠し場所に工夫を凝らした作品。
第3話「狂女」は人力車を呼びとめては車夫を襲う幽霊の話。実は・・・。ちょっとした錯誤をメインにした
ものだが今一つ。
第4話「神の邪心」は、犯人の意外性を狙ったものだが、ミステリとしても、また最終回としても、どこか締
まっていなくて、或いは続編を考えていたのかも知れません。
0245初代スレの>>3
垢版 |
2012/08/06(月) 12:50:21.43ID:uSu7WQPI
笹沢左保「真夜中に涙する太陽」(廣済堂文庫)★★★
1987年の長編。
作家である「私」こと笹沢左保は、後輩作家・大野木が病気から復活して再度人気を博している中、彼を
怨んでいる連中の陰謀に巻き込まれてゆく。別れた前妻、大野木に盗作を告発され自殺した男の兄・仙石、
スキャンダルを見つけようとする三流ジャーナリストの多田の三人は、大野木の破滅を狙っているらしい。
果たして、大野木は何者かに足を刺され重傷を負い、作家として再起不能の危機を迎える。だが次に殺さ
れたのは、大野木を狙っていたはずの仙石だった。「私」はお気に入りの女性編集者とともに事件を追及す
る。果たして一連の事件の真犯人は・・・。
作家本人が登場し、普段の作家活動を描写しつつフィクションの殺人事件の探偵役になるという、なかな
かユニークな作品ですが、さほどトリッキーなヒネりがある訳ではありません。本作品はやはり、真犯人
の意外性、というか、その動機の特異性にあるでしょうか。余り詳しくは書けませんが、笹沢作品だから
当然、動機は「愛の不毛」絡みだろう、と読者を誤誘導させるシブいテクニック。この動機はちょっと予想も
出来ませんでした。笹沢作品だから・・・、という先入観が邪魔をして、作家の作風をトリックにした、とは
言い過ぎですが、なかなかシブいところを突いてくる作品です。
0247名無しのオプ
垢版 |
2012/08/11(土) 13:54:39.51ID:Gzr2U6AK
2時間ドラマ用量産作家たちの小説。
何も面白くない。
0248初代スレの>>3
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2012/08/27(月) 12:23:51.12ID:o4lzIBcZ
斎藤栄「日本鉄仮面殺人事件」(徳間文庫)★★★
1982年のノンシリーズ?長編。
横浜の地元誌編集部に勤める長谷川の妻が大量の血痕を遺して行方不明に。更に彫刻家の父親も謎の失踪
を遂げ、娘もまた何者かに誘拐される・・・。警察に犯人と目されて逃走した長谷川は、自ら事件の真相を追
及するうち、父親の知り合いの男が浮上、その邸宅に忍び込んだ長谷川が見たものは、鉄仮面を被せられ
た男だった・・・。
序盤から剃毛プレイとは・・・、相変わらず狂っていて安心したw
それはともかく、強引な茶番劇なのに、スイスイと読めてしまうは良いのですが、果たして真相は・・・。なる
ほど、そういうことでしたか。この真相には一寸驚きました。いわゆる「何が起きているのか、何が事件
なのか」という趣向かと思うのですが、現代の作家ほど洗練されてもいなければ、常識的にヘンな言動も
あったりして突っ込みどころは満載。とはいえ、不覚にも結末には驚かされました。よって★3つと、そ
れなりの評価にしておきます。稀にこういう作品があるから斎藤栄は侮れないなw
0249初代スレの>>3
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2012/08/27(月) 12:25:13.85ID:o4lzIBcZ
藤雪夫・藤桂子「黒水仙」(創元推理文庫)★★☆
1985年の菊池警部シリーズ第2作、藤雪夫の旧作「渦潮」の改定作業中の急逝により、娘の桂子が完成
させた作品。
宮城県の地方都市・白山市の地方銀行で起きた支店長殺害・現金強奪事件。事件はやがて、東京で起き
た守衛の密室殺人事件と深いかかわりを持ってくることに。菊池警部ら東京・宮城の刑事らが辿り着い
た真相とは・・・。
うーん、密室トリックが二つとも期待外れも良いところ。機械的トリックなど読者に推理不可能なメカ
だし、初動捜査で全くその疑問にも思われなかったのも、説明はあるけど納得できない。二つの事件を
巡る真犯人の異様な動機も一寸・・・。辻褄は合っており、登場人物の心理も丁寧に追っているが、およそ
謎解きとして納得できる展開にはなっていない。主人公の菊池警部のキャラにもイライラさせられるな
あ。凡作でしょう。
0250初代スレの>>3
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2012/08/27(月) 12:27:48.39ID:o4lzIBcZ
斎藤栄「<悪の華>殺人事件」(徳間文庫)(採点不能)
表題作の短めの長編および4短編からなる1984年の作品集。
表題作、これがスゴい。解説の権田萬治が「異色作中の異色作」、「真犯人の意外性も強烈」と書いているので
オッカナビックリ読んでみましたが・・・。アハハ。序盤から、初夜まで我慢できなくなった新婚旅行夫婦が新
幹線車内でヤラカすなど、C級も良いところ。本筋は、子供を誘拐・殺害された母親の、犯人家族への復讐、
といったストーリーで進んでゆくのですが、探偵役のカップルもヘンタイで、喫茶店でコトに及んだりと、
こりゃどうなることやら・・・、と思っていたら、復讐に燃える母親を操る真犯人の正体にはビックリ仰天。な
るほど、事件への関わりを考えたら、ソイツが犯人であることは納得できるし、ちゃんと伏線も張ってあっ
た。でもなあ・・・。アンフェアというか何というか・・・。C調変態趣味で本格ミステリに挑んだ、ということ
か?これは確かにスゴい作品。
その他の収録作は、「狂気の壺」がSF風ミステリでちょっと面白いが、「二十秒の盲点」、「優しい脅迫」は凡作、
巻末の「青い蜜」は子供の視点で書いたミステリだが、仁木悦子には遠く及ばない俗悪なもの。そういう趣向
が好きな方にはお勧めですが・・・。とにかく表題作が全て。作者の武勇伝にまた一つ汚点が加わったなw
0251初代スレの>>3
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2012/08/30(木) 12:29:35.45ID:U5PhthHC
桐生操「血ぬられた法王一族」(福武文庫)★★☆
「本当は恐ろしい・・・」や「やんごとなき姫君の・・・」シリーズなどで知られているコンビ作家の、メジャー
になる前、1986年のごく初期の歴史ミステリ長編。
15世紀末のイタリア。ボルジア家の当主がローマ法王アレッサンドロ六世になり栄華を極めていた時代、
次男のホアンが何者かに拉致され惨殺される。この事件を切っ掛けに、長男チェーザレが妹のルクレツィ
アも使って全イタリアの覇権を目指そうと台頭してくる。実はチェーザレ自身が弟殺しの犯人ではない
のか?事件の真相を究明し、ボルジア家の野望に待ったをかけようと目論むのは、フィレンツェの敏腕
外交官マキアベッリ。彼は天才レオナルド・ダ・ヴィンチの助けも借りて事件を追うのだが・・・。
前編「ボルジア一族の野望」、後編「探偵ダ・ヴィンチ」の二部構成。前半でチェーザレがイタリア制覇に
乗り出すまでを描き、後半で、マキアベッリとダ・ヴィンチによる一連の事件の黒幕・真犯人探しが描
かれるのですが、マキアベッリがワトソン役でダ・ヴィンチが名探偵、という割り振りが余り上手く行っ
ておらず、真相究明に迫力が欠けてしまったのは残念。最後に意外な真犯人の正体が明かされるのです
が、伏線が不十分で、真犯人の言動の「裏」について、事前にもっと踏み込んで描写してもらいたかった
です。
題材や登場人物のユニークさもあって非常に楽しく読むことができましたが、ミステリとしての評価は
また別でしょう。マキアベッリとダ・ヴィンチが、それぞれ探偵役になる海外ミステリ2作は素晴らし
かったのですがねえ・・・。
0252初代スレの>>3
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2012/09/03(月) 12:38:58.55ID:opQWjcXc
清水一行「百億円投機」(集英社文庫)★★
1971〜1986年の作品を収めた短編集。一編だけ「犯人当ての本格推理」があるとのことで読んでみま
したが・・・。
その作品「一度の賭け」、会社の絵画サークルの旅行中、幹事夫婦の乗ったヨットが転覆して夫が死
亡。しかし妻は、夫が溺死する前に毒物を飲まされていたのでは?と疑うのだが・・・。確かに、オーソ
ドックスな犯人当て物のミステリですが、毒物の種類がユニークながらも、入手方法などの詳細が
お粗末だし、結末のヒネりも在り来たり。全体に出来が粗くて残念。
むしろ、サラ金会社の重役の娘が誘拐され、身代金支払いに応じた父親だったが実は・・・、という誘拐
物ミステリ「誘拐自由」の方が、二転三転のヒネりが楽しい佳作です。
あと「影の男」は、見知らぬ女性に近づき大金を提供しようと申し出る男、その狙いは・・・。こちらは
ヒネり方が現代のミステリに比べて弱いなあ。
その他は経済・企業小説で、表題作は邦銀ニューヨーク支店の為替ディーラーのお話、当時起きた
大和銀行のスキャンダルがモデルですが、ミステリ味は無し。
「炎の墓標」、デパートのオーナー社長の堕ちた罠。松本清張風の力作だが、これもミステリ味は
薄い。
「巨きな亡霊」、新社長の改革で追放されようとする会長。地位に執着する余り、誇大妄想が広がっ
て・・・、完全な企業小説なのに、何故か最後はホラーで終わるユニークな作品。
0253名無しのオプ
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2012/09/03(月) 21:36:47.86ID:qMr2qxyK
いつもありがとうございます

清水一行ってミステリ的観点で言うと
やっぱり協会賞取った動脈列島の一発屋さんなんかなあ
社会派の時代だからミステリに色気出して
たまたま当てたみたいな
0255名無しのオプ
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2012/09/15(土) 23:49:58.23ID:t6f7sVzU
0257名無しのオプ
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2012/10/08(月) 10:49:34.05ID:e5BVUD/T
he
0258名無しのオプ
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2012/10/14(日) 17:53:02.59ID:hTgNe5vi
>>249
シビアな評価ですね。
「黒水仙」、トリック(おやじさんのパート?)は確かに駄目だけど、動機部分
は印象的でした。娘さんの伸びしろは、こちらにある感じで。
0259初代スレの>>3
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2012/10/15(月) 12:50:16.90ID:q5LqIWgv
広山義慶「平家物語殺人事件」(祥伝社ノンポシェット)★
1984年の長編。
新聞記者の諏訪は、学生時代の友人で、恋人を奪っていった市島と再会する。「平家物語」に登場する
僧・俊寛に関する歴史を覆す大発見をしたので、情報を買ってくれと頼まれる。諏訪は断るが、数日
後、市島はホテルで殺されているのが発見される。一方、諏訪の見合い相手が謎の奇病にかかり、俊
寛の怨霊に祟られているかのような発作を起こして危篤に・・・。また市島の情報を巡って暗躍する謎
の勢力。諏訪は、元恋人の美也子とともに市島の発見したものと彼を殺した真犯人を追及するのだが・・・。
・・・バケモノが平気で登場するようじゃ話にならんw
それでも、市島殺しの真相はオカルト絡みとみせかけて、ちゃんと人間の意外な真犯人がいたので、
まあ良しとしましょうか。でも意外性はあるけど、およそ謎解きになっていない。しょーもない伝奇
小説に殺人事件の常識的な解決を付けくわえただけ、といった方が正しいか。読む価値なし。
0260初代スレの>>3
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2012/10/15(月) 12:52:24.28ID:q5LqIWgv
西村京太郎「真夜中の構図」(角川文庫)★★
1979年の長編。
代議士の太田垣は、大臣就任を前に、5人の愛人を整理するよう秘書の早川に命じる。早川は500万円で手を
切るよう愛人を説得して回るが、誰一人応じようとしない。ところが、彼が会った愛人が次から次へと殺さ
れてゆく。容疑者と目された早川は真犯人とその動機を追及するのだが、遂に逮捕されてしまう。彼の言い
分を信じた十津川警部は、早川を罠にはめた真犯人を追及するのだが・・・。
西村作品では珍しい、官能シーン満載の作品。20ページに一回は出てくるぐらいか。一箇所だけ真相に絡
む叙述上の大胆な描写が登場するが、ミエミエで失敗ぎみ、効果が上がっておらず、残りの官能シーンは謎
解きとは関係なし、発表先がどこか知らないが、そこの要請だったのかな?
真犯人と動機の意外性を狙ったのだろうが、或る人物の登場が遅すぎる。もうちょっと早めに登場させ、更
に伏線などを考慮してくれれば一定の出来栄えになっただろうが、これではダメ。
0261初代スレの>>3
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2012/10/15(月) 12:58:48.73ID:q5LqIWgv
山本周五郎「赤ひげ診療譚」(新潮文庫)★★★☆
江戸時代の療養所、「小石川養生所」の熱血医師「赤ひげ」と、見習い医師の保本登を主人公にした1959年の
時代物連作集。黒沢明の名画でお馴染みの作者の代表作の一つ。ミステリ風の話もあるかと思って読んで
みましたが、さて。
最初の第1話が、或るトリックを使ったミステリ短編で驚き、期待させたのですが、以降の作品はミステ
リ味は薄くなってゆくか全く無しで残念。しかし、普通の小説としても十分面白かったですね(★3つ半
の評価はミステリとしての評価ではないのでご容赦)。

新田次郎「つぶやき岩の秘密」(新潮文庫)★★★☆
1972年の少年冒険小説、NHK少年ドラマシリーズでも映像化された屈指の名作とのこと。・・・最近、
新田次郎の復刊が相次いでいるなあ、と思ったら、今年は生誕100年だったのですね。
・・・これは文句なしの傑作でしょう。ジュブナイルのミステリとしても十分な出来栄え。大人へと向
かう少年の心理を実に細やかに描いた骨太の作品。殺人、謎めいた要塞跡、暗号解読などの趣向も
バッチリ。まあ「本格の謎解き」とは言えないけど、久々に昭和の熱血少年小説に出会えて嬉しかっ
たのでw
0262名無しのオプ
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2012/10/15(月) 13:51:47.73ID:Q9S0V7E3
>>261
「つぶやき岩の秘密」なつかしいですね
自分は小学生の時NHK少年ドラマシリーズ版をリアルタイムで見てました
石川セリ(井上陽水夫人)の歌うEDがヒットして当時話題になりましたね
0263初代スレの>>3
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2012/11/05(月) 12:43:49.76ID:z+n4bKWc
佐野洋「奇しくも同じ日に・・・・・・」(講談社文庫)★★★
1962〜1984年に発表された作品の短編集。
表題作◎、新聞記者を辞めて地元のタウン誌編集長になった「私」。地元の野球強豪校の甲子園出場時の
メンバーが二年続けて同じ日に変死する。部下の記者が疑念に思って調査すると・・・。短いページで、
思い切り意外な真犯人の趣向を活かしています。描き方もフェアな佳作。
「屋根の上の犬」○、向かいのマンションのベランダに放置された犬。そこに住む人間が殺されるが実
は・・・。なかなかユニークなアリバイ工作もの。
「切り抜きの意味」○、恋人からの贈り物を包んでいた古新聞の切り抜かれた紙面が気になり、何の記事
を切り抜いたのか調べた女性。実は・・・。或る有名な趣向なのですが、短い枚数ながらもキッチリと描
かれており、読者の予想を上回るドンデン返しが冴える佳作。
上記3編は秀逸でお勧めですが、残りの6編は、意外性はあるけどミステリの謎解きとしては凡作。
0264初代スレの>>3
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2012/11/05(月) 12:46:20.13ID:z+n4bKWc
山崎純「死は甘くほろ苦く・・・・・・」(東京創元社)★★
1988年の「鮎川哲也と13の椅子」シリーズの一編、このシリーズなら「新本格(以降)」の括りとは思います
が、一応紹介しておきます。
雑誌のフリー編集者である「私」ことマリ子。フランス人の有名なチョコレート職人の勲章受章パーティ
に取材に行ったところ、チョコレートを食べた料理学校長が毒殺される事件に遭遇。被害者の妻、学校
の副校長、仲の悪い料理評論家などなど容疑者多数のなか、マリ子は雑誌編集長とともに真相を探るの
だが・・・。
・・・、何と言うか、文体そのものが酷い。1980年代後半、バブル真っ盛りとはいえ、この文章は無いだろ。
作者はポン女を卒業してソルボンヌに留学経験があるというのに、その知性を微塵も感じさせない軽薄
きわまる文章。「イヤ〜ン」、「ファ〜イ」、「ショーガナイナ〜」、「センセ、大スキ!」、「あ〜カンチガイ」・・・。
この破壊力は梶龍雄に匹敵するな・・・。
肝心のプロットとトリックはまあまあだし、些細な伏線なども上手いので、「本格」としてそれなりの評価が
出来るはずなのに、文章で全てブチ壊し・・・。
解説の鮎川まで「キャピキャピギャル」って・・・。そこまで軽薄な時代だったとも思えないのですが・・・。未だ
有栖川有栖もデビュー前で、東京創元社も、折原一とともに売り出したかったようですが、この文体はなあ・・・。
0265初代スレの>>3
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2012/11/05(月) 12:48:38.28ID:z+n4bKWc
山村正夫「陸奥こけし殺人事件」(講談社ノベルス)★★☆
「振飛車殺人事件」でも活躍する女流棋士・小柳カオリを主人公としたシリーズ物の長編で、1982年発表、
講談社ノベルス最初期のラインナップの一冊。
岩手・花巻温泉で起きた興信所の所長殺し。被害者は、十年前に山形県鶴岡のコケシ工房で起きた殺人事件
で無実を訴えながらも有罪となり服役、出所後に行方をくらました男を追っていた。その男の母親とひょん
なことから知り合い、息子は冤罪だと訴えられたカオルは、警視庁の刑事である夫の協力も得て一連の事件
を追及する。やがて十年前の事件の関係者の一人が容疑者として浮かんでくるが、その人物には鉄壁のアリ
バイがあった・・・。
何というか、メリハリがないというかストーリーが停滞しているというか、ちょっと退屈な展開でした。肝心
のメイントリックも、中盤辺りで見当がついてしまい、事件の構図の全てがバレやすくなってしまっており
残念。それに、このシリーズのヒロイン・カオリ自体に魅力が無いのが致命的。被害者が残したダイイング
メッセージが将棋に因むネタで、ヒロインがそれに気付くシーンなど、良い場面もあったのですが・・・。
0266初代スレの>>3
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2012/11/15(木) 12:27:40.82ID:AgHpfALU
藤村正太「大三元殺人事件」(廣済堂ブルーブックス)★★★
1976年の長編。この本は作者の死後、1979年にノベルス版で出たもの。
公害防止機器メーカーに勤める梓は自他共に認めるマージャンかぶれの不良社員。だが常務からその勝負強さを
見込まれて、工場の廃液汚染で問題となっている静岡県N市の営業所に異動され、自社の汚染防止装置の売り込み
に躍起となる。マージャンを通じて知り合った監督官庁の役人から、賭け金のカタに、工場廃液の情報を取ろう
と画策するが、その役人が行方不明に。やがて発見された水死体。溺死させられた後、更に濃硫酸で顔を焼かれ
ていたものの行方不明の役人と判明、梓は廃液の情報に絡む或る会社の幹部を疑い、その弱みに付け込んで、自社
売り込みに利用しようとするのだが、その男には鉄壁のアリバイがあった・・・。
どうせ、マージャン命の昭和スチャラカ社員の好い加減な話だろうとタカを括っていたら、けっこう骨太な作品で、
主人公も意外と魅力的でした。メイントリックが弱いのが難点で、真犯人の意外性もあるが、その伏線が足りない
欠点もあり、決して佳作とは言えません。でも、死体に硫酸をかけた真相や、死体のポケットにあったマージャン
牌の件など、小味なサブトリックは先ず先ず評価できます。これは「コンピューター殺人事件」(過去スレ参照)にも
共通する特徴ですね。
あと、各章の間に「断章」として、黒幕らしき者が描かれ、最後の最後に真犯人を操る黒幕の正体が明らかになるので
すが、これは余り効果をあげておらず不発ぎみ。
なおマージャンのルールは全く知らないので、そのシーンは、謎解きには関係しませんように、と斜め読みしましたが、
殆ど影響はなかったw
「コンピューター・・・」と同様、やや甘い評価ですが★3つといったところでしょうか。
0267初代スレの>>3
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2012/11/15(木) 12:29:32.12ID:AgHpfALU
笹沢左保「地獄の辰・無残捕物控〜首なし地蔵は語らず」(光文社文庫)★★
1972年の捕物帳シリーズ、主人公・辰造は暗い過去を背負うニヒルな岡っ引き、庶民に嫌われながらも、
長十手で容赦なく江戸の犯罪を暴いてゆく・・・。
表題作は、商家で起きた殺人。客と主人を間違えた人違い殺人かと思われたが実は・・・。単純なアリバイ
工作ですが、ラストのヒネりが上手い。
「夜鷹が水を欲しがった」は、商家の連続殺人。ダイイングメッセージ物だが出来は良くない。
「縁切寺で女は死んだ」は、ちょっとした言葉の齟齬から意外な真相を暴く良作。
以上3編は、謎解き物としてそれなりの水準を保っているのだが、以降の「水茶屋の闇を突く」、「半鐘が
赤い雪に鳴る」、「瓦版に娘が欠けた」、「賽は知っていた」の4編は、辰造の過去の或る事件に絡む話に
移行して、謎解き趣向から離れてしまっており残念でした。
0268初代スレの>>3
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2012/11/26(月) 12:37:02.43ID:4X+QKkwc
阿井渉介「京都原宿ハウスマヌカン殺人事件」(講談社ノベルス)(採点不能)
1987年のノンシリーズ長編。この素晴らしいタイトルw、「京都」、「原宿」、「ハウスマヌカン」と来て、作者は
阿井渉介とくれば、もうダメ押し。当時ヒットした「夜霧のハウスマヌカン」という一発屋イロモノ歌謡曲
に便乗したのか、三流ダメミス・クズミスの匂いがプンプンしてきて、迷わず購入。もはや性癖だなw
原宿のブティックで働くハウスマヌカンの「わたし」こと小泉祥子。専属モデルやスタイリスト、カメラマン
らと京都へ撮影旅行に出かけたが、独りで寺詣りに行ったところ、謎の男につけ回される。実はその男は
ブティックオーナーの時田好子が男装していたもので、彼女はやがて他殺体となって発見される。現場付
近にいてアリバイのない祥子は京都府警のボンクラ刑事・牛尾から疑われ、自らの潔白を明かすべく、犯人
探しに乗り出すのだが、親友も殺され、窮地に陥る・・・。
文体が少々ヘンでして、主人公の「わたし、・・・・なんです」といった独白体、宇能鴻一郎を少々上品にした
ような感じといったら良いか・・・、辟易しました。
電話のアリバイ工作やら、マンション階段での人間消失トリック、ヒロインのクルマのトランクに死体を
隠したトリックなどなど、トリッキーな趣向もあるのですが、いずれもショボい真相で脱力。但し、その
伏線はキッチリと張られており、「そうか、あの人物のあの言動はそういう意味だったのか」と感心する
ところは一応ありました。
あと牛尾刑事のキャラも類型を破るもので、後年の「警視庁捜査一課事件簿」シリーズの菱谷刑事とは逆の
「陽性な不良刑事」でユニークではありますが、やはり2時間ドラマ臭さが抜けなくて・・・。
なお本書は講談社ノベルス1987年3月刊、あの「十角館・・・」の半年前、日本のミステリ界はここまで混迷を
極めていたのか・・・wまあ、「夜明け前が一番暗い」とも言いますからw
0269初代スレの>>3
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2012/11/26(月) 12:38:50.28ID:4X+QKkwc
赤川次郎「盗みは人のためならず」(徳間文庫)★★☆
1980年、大泥棒の夫・淳一と、その妻で警視庁刑事の真弓のコンビが主人公のシリーズ連作集の第1作目。
淳一が盗み目的で行動を起こすと、別の事件に遭遇して、その事件を解決する、というパターンです。
第1話「ヴィーナスの腰布」○、二つの事件の絡み具合が上手い。第2話「名画から出て来た女」◎、田舎の駅
で発見された有名画家の幻の作品。そのモデルにそっくりな少女が何者かに襲われて・・・。真犯人に意外性あ
り、伏線も先ず先ず。第3話「C線上のアリア」○、有名なオペラ歌手の警護を依頼された真弓と後輩刑事。
喉を痛めた歌手の代理でやって来た正体不明の男の狙いは・・・。犯人はバレバレですが、歌手の代理の男の謎を
交えてひとヒネりしており、ドンデン返しが冴えています。
ここまでは良かったのですが、第4話以降は、ドンデン返しの連続、被害者が実は加害者とか、善玉悪玉を
ひっくり返す趣向などもあるものの、伏線も無しに強引に話を引っ繰り返す話が多く、高い評価は出来ません
でした。
0270初代スレの>>3
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2012/11/26(月) 12:41:23.78ID:4X+QKkwc
川上宗薫「寝室探偵(ベッド・ディテクティブ)」(光文社カッパノベルス)(採点不能)
1980年の長編。むろん作者も「ベッド・ディテクティブ」の本来の意味を承知しており、巻頭にわざわざ
解説まで入れて「本書のような間違った使い方は探偵小説を貶めるものだ」という主旨で、茶化してくれ
ています。
官能作家・毛利はフランス・パリで知り合った娼婦が殺された事件に引き続き、帰国早々、同じくパリで
知り合い、一足先に帰国していた女性カメラマンも変死したことを知る。更に自分を狙っている連中の存在
に気付き、自宅に帰らず、秘かにホテルを転々とする生活。だが毛利には、セックスすると頭が冴え渡り
推理能力が発揮されるという特異な癖があることから、あちこちの女性を取っ替え引っ替えナンパしてヤリ
放題で、自分を追っている連中の正体とその目的を推理する。パリの娼婦と女性カメラマン、そして自分が
関わっており、敵が狙っている秘密とは一体何なのか・・・。
・・・・。バカです。これはバカそのものです。まあ「確信犯」的にベッド・ディテクティブなどと称していること
から「冗談」で済ませれば良いのですが、せめて謎解きのレベルは上げてもらいたかった。結末に至っての真相
は脱力の一言。確かに、或る小道具や、真犯人の動機に関する伏線などもありましたが、余りに程度が低い。
以前に読んだ「夏が殺した」くらいにはトリッキーな趣向を取り入れて欲しかった・・・。
官能シーンも、今読むとすっかり古びてしまっており、「構造」とか「名器」などの用語で一世を風靡したのも今は昔、
他の登場人物も、一体いつ仕事をしているのか分からないノンビリした昭和元禄なスーダラ揃い、まあ割り切った
上で、クズミスとして楽しめば宜しいかと・・・。
0271名無しのオプ
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2012/11/30(金) 17:49:34.39ID:czxWTDIy
>>268
阿井渉介ってダメミス代名詞扱いなのかw
「鉄道公安官」の脚本家だけあって、国鉄改革前後を扱ったシリーズは堂に入ってると思ってるんだが
0272名無しのオプ
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2012/12/01(土) 01:54:19.99ID:Gwotutlp
あげ
0273初代スレの>>3
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2012/12/12(水) 12:53:38.37ID:jAdWRxOa
島田一男「0番線」(徳間文庫)★★
1962年、鉄道公安官・海堂次郎を主人公とするシリーズ長編。
東京駅に落ちていた寝台券。裏には「助けて・・・殺される」の走り書きが。直後に東京駅近くで起きた
女性の変死事件。更には遠く富山県でも女性の轢死体が。被害者はいずれもチャイナドレスを着て
いたという共通点が。海堂は寝台券の受取人から、元陸軍将校とその娘に行き当たる。元将校は何人
もの愛人を囲っており、一連の変死事件の被害者はその愛人たちであったことが判明。更に愛人たち
を巡って第三、第四の殺人事件が勃発する・・・。
序盤、チャイナドレスを着た複数の女性たちが列車で複雑な動きを見せる辺り、トリッキーなアリバ
イ工作か何かの趣向か、と期待を持たせたのですが、やがて凡庸な真相であることが分かりガッカリ。
トリックも謎解きも中途半端だし真相も在り来たり、動機もなっていない。将校の娘のジャジャ馬ぶ
りだけが面白く読めるお話。
0274初代スレの>>3
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2012/12/12(水) 12:56:48.07ID:jAdWRxOa
谷恒生「ホーン岬」(集英社文庫)★★☆
1977年のごく初期の冒険小説。
南米航路の貨物船・木星丸。一等航海士が謎の失踪を遂げ、日本から交代要員として招かれた陣内は、
木星丸の寄港地・パナマで日本人商社マンの殺害に巻き込まれ、地元警察の追及を振り払って木星丸
に乗船するも、事務長・山形の謎めいた行動に疑念を抱く。木星丸が秘かに積みだした荷物の中身は
何なのか、その謎を巡って、米CIAやナチス残党、反政府ゲリラなどが暗躍する。陣内が掴んだ真
相は、そして木星丸の運命は・・・。
冒険小説ではありますが、生島治郎などの先例もあるものの、まだ「冒険小説の時代」を迎える以前だ
ったためか、この作者の冒険小説には、まだ謎解きミステリから分かれずに、謎解きの趣向にウエイト
をかけた作品も多いのですが、本作は、謎解きが中途半端に終わってしまった感じ。謎の構成とその
解明が非常に粗っぽく、せっかく意外性のある真相が用意されていて、解明の手順次第では謎解きミス
テリにも成りえたと思うのに、少々残念な出来。むろん冒険小説としては佳作ですが。
0275初代スレの>>3
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2012/12/12(水) 12:58:41.37ID:jAdWRxOa
斎藤栄「箱根高原殺人事件」(講談社文庫)★☆
1981年のノンシリーズ長編。
亜妃子は婚約者の大伴とともに箱根のペンションに旅行に出かけるが、大伴は一人で外出したまま行方不明と
なり、他殺死体となって発見される。所持品のうち唯一、大伴が付けていた腕時計だけが盗まれるという不可
解な状況。亜妃子は、現場で見かけた謎の女性を突きとめ、追及したところ、思いもよらなかった大伴の別の
素顔が明らかになる。彼は亜妃子と婚約する前、何人もの女性と付き合い、自殺に追い込んだりしたのだとい
う。更に亜妃子にその事実を告げた女性もまた殺される。亜妃子は大伴殺しを追っていた新聞記者とともに事
件の真相を追及するのだが・・・。
うーん、辻褄合わせも好い加減にしろよ、と言いたくなる出来栄えですね。ラストの謎解き場面が非常にバタ
バタしており、しかも、当時最先端だったカシオのメロディアラーム付き液晶腕時計に秘められた謎、って・・・、
たったそれだけの真相かよ。真犯人の意外性は相当なものですが、アリバイの件もお粗末なら、動機の後出し
も良いところ。どこか突き抜けたハジケ方にも欠けており、ごく真面目なストーリーであるが故に全く面白く
ないという、どうしようもない作品。
0276初代スレの>>3
垢版 |
2012/12/26(水) 12:39:26.46ID:KuihZYfr
津村秀介「小樽発15時23分の死者」(講談社文庫)★★
1990年の浦上伸介シリーズ長編。
小樽在住のアマチュア女流画家が、初の個展で買い手のついた作品を売るために札幌に滞在中、ホテルで
殺される。被害者とその夫は莫大な財産を所有していたが、実は他人の財産を騙し取ったという後ろ暗い
過去が。ほどなく絵の買い手で被害者に財産を巻きあげられた男が容疑者として浮かび上がる。北海道旅行
中のアリバイは簡単に崩されたが、肝心の凶器は、犯行以前に宅配便で東京に送られており、現場には無
かったという不可解な状況が浮かび上がってくる・・・。
作中に何度か言及のあるように、クロフツ「樽」や鮎川「黒いトランク」を意識した作品で(そのためか、小樽
とか横浜の樽町など、「樽」に因んだ地名がでてくる)、トランクによる「凶器の移動」が謎解きの要なのです
が・・・、ええと、初心者でなく普通にミステリを愛読する人なら、誰でも先ず最初に「トランクは・・・・・・だった」
と考えますよ、そして真相はその通りでした、と言うんじゃあ・・・。
それでも最後まで「ではトランクをどうやって・・・・・なのか」という謎は残るので、まあ良しとしましょうか、でも
その真相すらもアレではねえ・・・。一点だけ、「トランクの鍵」の小細工がラストで一寸した働きをするのは感心
しましたが。
初心者または二時間ドラマ向けとしか言いようが無いですね。あと、タイトルも意味不明。小樽駅発15時23分
の列車なんて作品中に出てこないし、そもそも掲載されている時刻表にも存在しないような・・・。
0277初代スレの>>3
垢版 |
2012/12/26(水) 12:41:53.68ID:KuihZYfr
笹沢左保「悪魔岬」(光文社文庫)★★★☆
1977年、まだ岬シリーズは第一作の「他人岬」しかなく、「悪魔」シリーズも無かった頃に中絶した作品を、後年の
1985年に復活させ、「岬」「悪魔」両シリーズに跨る題名で発表した長編。
松平の婚約者・美紗は妻子ある男・三条と不倫の末、心中未遂、死体遺棄事件を起こし、松平は婚約解消、そし
て一年後、美紗は失踪し、十和田湖で水死体となって発見される。不倫相手の後追い自殺を図ったのか、だが
美紗の所持品が沖縄で起きた殺人事件の現場で見つかるなど、不可解な出来事が相次いで起こっていた。松平は
三条の未亡人・八千代とともに事件を追及するのだが・・・。
「悪魔」シリーズに書き換えたこともあって、官能シーンも濃厚。結末の「ドンデン返し」に期待したのですが、
なるほど、これはかなりの驚き。序盤の肝心の部分の描写はハッキリ言ってアンフェアだが、その真相を知る
人物のセリフはウソを言っていない。地の文はアンフェアだが、真相を知る人物のセリフはフェアというのは、
ちょっと珍しいかも。
但し、もう一つの事件との絡め方が、どうもアッサリ過ぎて、唐突な感じが否めないです。なお伏線については
可も無く不可も無く、といった出来栄えでしょうか。
傑作とは言い難いが、一読の価値はあるでしょう。
0278名無しのオプ
垢版 |
2012/12/30(日) 12:56:24.38ID:lvsGrFwz
>>277
「他人岬」じゃなくて「他殺岬」だと思ったけど。
0279初代スレの>>3
垢版 |
2013/01/04(金) 12:41:15.47ID:mz4VY4R1
>>278
ご指摘のとおり、「他殺岬」が正しいです。お恥ずかしい・・・。

・・・では2013年の第1弾。

曽野綾子「塗りこめた声」(桃源社)★★★
1961年の長編。かの乱歩が「宝石」誌刷新のために一般作家にミステリ執筆を呼び掛けた際、この作者も短編などを
書いたそうで、本書もその影響でしょうか。なお本書は1977年の再刊版。この作者といえば、何と言っても日本
ホラー史上、一、二を争う名作「長い暗い冬」。同作収録の短編集「華やかな手」の他、「消えない航跡」、「夢を売る
商人」などにも「奇妙な味」っぽいミステリ短編はあるけど、このスレで紹介するには難があったところ、ようや
く、フーダニットの基本を踏まえた、「本格ミステリ」の長編作品を紹介することができました(但し出来栄えは、
以下のとおりですが・・・)。
公共放送CBAの地方支局から東京の本局に帰って来た北上。栄転早々、世話になって来た先輩の興津が、スタジ
オで殺される事件が勃発。現場は施錠された完全な密室だった。その謎も解けぬうちに相次いで関係者を巡って殺
人が起こる。CBAの元理事の蓮沼が、そして競馬で一発当てた局員の神部が、そして蓮沼の愛人・敬子も・・・。
連続殺人の真犯人は誰なのか、北上はひょんなことから知り合った早苗とともに事件を追うのだが・・・。
各章には、クイーン、カー、ヴァン・ダイン、ベントリー、C・ブランド、果ては清張や星新一などの作品からの
引用文がエピグラフとして出てきて、何か、作者のやる気が伝わってきそうで、非常に魅力的だったのですが・・・。
うーん、「フーダニットと密室トリック」が出てくるので、出来るだけ高い評価にしたかったけど、肝心の密室トリッ
クがアレではねえ・・・。施錠に関する、或る人物の或る「錯誤」の伏線は上手いのですが、トリック自体はヒドいもの。
また真犯人の意外性についても、最後の事件が非常にジャマで余計なもので、それなりに意外性はあったのに最後
で台無し、「何てことをしてくれたんだっ!」と言いたいです。その他、競馬ネタでのレッドヘリングなども余り効果
は上がらず、一応、「本格ミステリ」の基本は踏まえているものの、決して高い評価は出来ず残念。
0280初代スレの>>3
垢版 |
2013/01/11(金) 12:35:29.28ID:M16Yx0sS
高場詩朗「神戸須磨殺人事件」(天山ノベルス)★★★
「神戸舞子浜殺人事件」(過去スレ参照)でデビューした作者の長編第2弾、1990年の作品。
校長と対立して高校教師をクビになり、恋人とも別れてトラック運転手をしている「私」の元に、元恋人が訪ねて
くる。結婚した夫が市会議員殺しの容疑で逮捕されたが、夫のアリバイを証明する東南アジア留学生を探して
ほしいと言う。だが現場は、議員と一緒にいたとされる容疑者以外には、誰も出入りすることは不可能な状況
にあった。「私」は元恋人への未練を断ち切れないまま、報いの無い人探しを引き受ける。だが、真相に近づいた
かと思うと、疑わしい人物は次々と殺されてゆく。一体真犯人は誰なのか・・・。
前作の「あとがき」に出てくる、作者自身の情けない生活ぶりを彷彿とさせる「自己憐憫に酔った似非ハードボイル
ド風の主人公」の情けなさにイライラしましたが、そこは我慢。密室トリックは早々に暴かれてしまい、犯人
探しに移行するのですが、謎の構成にやや難があるものの、伏線なども考慮されていて、ラスト、関係者を
集めての「私」の謎解きも、まあ満足できるものでした。ただ、真犯人があんな厄介なトリックを弄する必要も
なく、もっと別の方法があったのでは?とも思いました。あと、前作でもそうでしたが、警察が余りにボン
クラ過ぎて・・・。こんなマヌケな警察なんかいないよw
0281初代スレの>>3
垢版 |
2013/01/11(金) 12:37:34.73ID:M16Yx0sS
南原幹雄「新選組探偵方」(福武文庫)★★
1988年発表、幕末の京都に活躍した新選組を巡る数々の事件の裏の真相を、隊士の沖田総司が、隊の監察を
務める島田魁をワトソン役にして解決する趣向の連作集。
第1話「総司が見た」は芹沢鴨暗殺事件の裏の真相。近藤・土方らによる粛清ではないとしたら真犯人は一体・・・。
まあスタートとしてはこんなものでしょうか。
第2話「残菊一刀流」は山南敬助切腹の真相。まあまあか。
第3話「風雲六角獄」は捕縛された尊王志士たちを惨殺した真犯人は?別に起きた毒薬騒ぎとの絡め方に工夫
が見られる良作。
第4話「祇園石段下の暗殺」は名だたる剣士であった谷三十郎変死の真相。一種の凶器トリックだが、後出しも
良いところ。
その他、第5話「銭取橋の斬撃」、第6話「よく似た二人」、第7話「耳のない男」。・・・新選組のことは余り知ら
ず、詳しい人にとっては「この程度の裏の真相では・・・」と思われるかも知れませんし、「本格ミステリ」の謎
解きを云々するレベルではないですが、実際に起きた数々の事件の史実や通説を引っ繰り返して意外な真相を
明かす、という趣向は大変面白かったですね。
0282名無しのオプ
垢版 |
2013/01/11(金) 13:02:21.39ID:Sgqe7DIy
松尾詩朗以前にも、詩朗という名のミステリ作家がいたのか…
0283名無しのオプ
垢版 |
2013/01/13(日) 00:28:20.33ID:N58O68pE
笹沢左保さんの短編で
皆生温泉の芸者さんの話があったと思うんですけどタイトル分かる方いますか
0285初代スレの>>3
垢版 |
2013/01/28(月) 12:50:24.00ID:C4pfmFWw
牛次郎「三千万円の撒餌(こませ)」(祥伝社ノンノベルス)★★☆
1984年の誘拐物ミステリの長編。
一代で中堅サラ金会社を作り上げた男の息子が誘拐され、ワープロによる脅迫状が届く。身代金は1億
3千万円。捜査陣は脅迫状の特徴からワープロの機種を特定し、付されていた文書番号から犯人に肉迫
してゆく。犯人は母親の浮気相手か、恨みを持つ同業者か、それとも・・・。
冒頭、いきなり身代金奪取の場面から始まり、更に誘拐事件と関係ないかと思われた倉庫での変死事件
の顛末が語られ、終盤で二重のドンデン返しを迎えます。この手法はそれなりに効果を挙げており、読
者に先ず先ず驚きを与えてくれるのですが、当時脚光を浴びていたワープロにまつわる蘊蓄が今となっ
ては完全に時代遅れ、というか、捜査に精彩が欠けてしまっており、主人公格の藤堂竜刑事の造形が上
手いだけに残念。その他、文書番号の暗号解読興味や、身代金の半端な金額の秘密などの趣向もあるの
ですが、どうも伏線の張り方というか、どこか綿密さや面白味に欠けます。マンガ原作者としてのキャ
リアを感じさせる、なかなかメリハリのある出来の良い小説ではあるのですが・・・。
0286初代スレの>>3
垢版 |
2013/02/06(水) 12:29:15.87ID:Mxb9PBQO
斎藤栄「横浜山下公園殺人事件」(光文社文庫)☆
1986年の「白い魔術師の部屋」の文庫改題版の長編。
大学教授の徳井は腎臓の病気で長期入院中、透析を続けなければ明日をも知れない状態にあった。彼に
親切にしてくれた看護婦の早苗は婚約者から謎めいた手紙を受け取り、心配になって郷里の四国に帰る
が、婚約者は密室状態の浴室で殺されてしまう。徳井は、アメリカから導入した最新の携帯透析器の世
話になりながら、事件を追及し、早苗の恩に報いようとする。事件の背景には地元暴力団が暗躍してい
るようなのだが、徳井は友人の水木に協力を求める。だが姿を現さない水木。そして徳井の行動もまた
早苗に何かを隠しているらしく謎めいていた。一体事件の真相は、そして謎めいた徳井の行動の秘密
とは・・・。
・・・ああ、もはや「ミステリ小説」としての最低限の構成の緊張感すら失われてしまっている。どうやった
ら、こんなスチャラカでスカスカなお話を書けるんだ?婚約者が生前に遺した手紙の暗号解読なり、
浴室の密室トリックなり、謎解き興味までは失っていないようですが、オリジナリティはゼロだし、
姿を現さない謎の友人「水木」の正体・・・、って、あんな書き方したら、どんなボンクラでも真相は丸分か
りだろ?本当に作者は、これで正体を隠せた気でいるのだろうか?もしそうなら、もう二十年以上も
前の作品だが、この時点で引退した方が良かったと思う。ここまで駄作だと、書いた当時の精神状態
を疑いたくなるw
斎藤栄のクズミス群、もう止めようとは思うけど、もしかしたら次の作品こそ・・・、と気になって止めら
れないですねえ、って、ひょっとして一種のギャンブル中毒みたいなものなのか、俺?
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