藤雪夫・藤桂子「黒水仙」(創元推理文庫)★★☆
1985年の菊池警部シリーズ第2作、藤雪夫の旧作「渦潮」の改定作業中の急逝により、娘の桂子が完成
させた作品。
宮城県の地方都市・白山市の地方銀行で起きた支店長殺害・現金強奪事件。事件はやがて、東京で起き
た守衛の密室殺人事件と深いかかわりを持ってくることに。菊池警部ら東京・宮城の刑事らが辿り着い
た真相とは・・・。
うーん、密室トリックが二つとも期待外れも良いところ。機械的トリックなど読者に推理不可能なメカ
だし、初動捜査で全くその疑問にも思われなかったのも、説明はあるけど納得できない。二つの事件を
巡る真犯人の異様な動機も一寸・・・。辻褄は合っており、登場人物の心理も丁寧に追っているが、およそ
謎解きとして納得できる展開にはなっていない。主人公の菊池警部のキャラにもイライラさせられるな
あ。凡作でしょう。