中町信「四国周遊殺人連鎖」(ケイブンシャ文庫)★★★
1989年の氏家周一郎・早苗夫妻ものの長編。
今回の旅行ツアーは四国・高知、大歩危、金毘羅、松山・道後温泉巡り。参加メンバーに、周一郎の
高校時代の同級生・谷塚とその妻がいたのだが、彼らは娘を誘拐され、犯人から四国旅行中に身代金
を渡すよう要求されていた。だが身代金受け渡し場所に指定された部屋で、ツアーの添乗員が殺され
る事件が勃発。彼女は犯人の共犯者で、仲間割れによって殺されたのか・・・。更に誘拐事件の背景に絡
んでいる同行の仲間たちが次々に殺されてゆく。またも連続殺人事件に巻き込まれた氏家夫妻の活躍
や如何に・・・。
例によって例のごとく、連続殺人事件が起きても中止にならない地獄の団体旅行ツアーw
また、重要人物の何気ない会話に氏家夫妻は引っかかりを覚えるも、真相を明かす前にその人物が殺
される、というのもお約束ですね。今回も、子供の写真などの地味な話題が、終盤、実は別の大きな
意味を持っていた、という趣向ですが、どこか緊迫感に欠けます。登場人物の設定も毎度変わり映え
しないワンパターン、旅行先の描写も上手くはない。でも、やはり「本格」として一本筋を通している
点は評価すべきでしょうか。個人的に、本作を含めこのシリーズ、というか作者の作品の殆どですが、
感情移入できる人物が一人も登場しないのが難なのですがw