>>401で「廃棄されたトンネル」という解答を「ほとんど当たり」と言った理由は
>>393の「この先も決して使われることのない」の「も」にある。

前後を含めて原文を紹介すると
“一週間前のこと、私は小旅行に出かけた。『鉄道廃線跡ガイド』を片手に、阪本線の跡をたどるのが
目的だった。廃線跡といっても、実は阪本線には列車が走ったことはない。採算が合わないからと
建設が打ち切られた、いわゆる未成線なのだ。
 ガイドブックによると、装備しなくてはならないものはたくさんあった。歩きやすい服装や
靴で出かけるのは当然のこと、軍手、磁石、地形図、虫よけスプレー、擦り傷用の医薬品に懐中電灯など。
未完のトンネルを踏査することは不可能だが、阪本側に開いた入り口を見ることはできるらしい。
 地形図を頼りに林道に分け入ってみると、山の中腹にトンネルを発見した。
この先も決して使われることのない半円の穴。緑のただ中に穿たれた黒点。
見方によって、哀れでも不気味でも滑稽でもある。その奥では空気も時間も沈殿して、
この世ならぬ小宇宙ができているのかもしれない。
 私は好奇心を刺激されて、行けるところまで近づいてみたくなった。道なき道を
進む真似ごとぐらいはしなくては、せっかくの装備が泣く。「よし」と号令をかけ、
膝まで生い繁った草を掻き分けながら彼方のトンネルを目指した。”