>>14
近藤正臣の神津は私も好き。
原作のイメージと違うという意見もあるけど
あのぐらいアクが強い芝居のほうが見てて小気味が良い。

ドラマの出来栄えとしては「刺青殺人事件」が突き抜けて傑作。
ジェームス三木脚本らしく官能的ムードが出ているのが良いし
さらにこのドラマでは坂口安吾が批評で指摘した原作の欠点が
脚本で修正されて、原作以上に自然な流れになっているのに感心した。
この当時のサスペンスドラマは本当によく研究されて脚本が書かれている。

密室トリックは割合早い段階で明かされながら、それでもラストまで
サスペンスが持続する辺りも脚本・演出の手堅さが光る。
そしてクライマックスの謎解きを、刺青をした女性のストリップ・ショーで
行うというのも映像的なインパクトがあって素晴らしいアイディアだと思った。

ドラマオリジナルのキャラクターとして追加された神津の妹が
ちゃんとサスペンスを盛り上げる役割を果たしている点も高評価。
この神津の妹がシリーズを追うごとに単なるコメディリリーフに
堕してしまっている辺りは、やはり脚本家の腕の違いだと思った。

残念な点は、原作では屋敷周辺に目撃者を配置することで
二重の密室にしていたのに、ドラマでは一軒家からマンションに
変更し目撃者をカットして、単純な密室にされてしまったこと。
他が良いだけにこれだけはほんとうに残念だった。