>>62
“けものはら“で、春が言った「(雄也が上がってきた水路)俺にはただの地面だ」
このセリフだけでまとめてしまうのはうまい
恐ろしいと言うよりはひたすら哀しくて、母親からの愛情を受け取れなかった春
その母を殺してしまったから、積極的に首は吊れなくても獣化して自分を殺してしまおう
なんだか美奥という場所自体が病んでいるので、住まう人も狂ってしまうのかなぁ?とも思う

それにしても美奥という響きだけで、美瑛や美唄のような平原を想起させて、そこへけもの“はら”
「秋の牢獄」の“北風伯爵“のように語感からして寒々しくて、北風、木枯らし、冬至と違って復活に転じることはない
こういう言葉遊びはたまらない

対して『滅びの園』では、海岸に放置された鈴上は最後の最後に妄想的に希望を取り戻している
彼は己の希望が具現化する前に、ちゃんと波に呑まれて死没したんだろうか
あるいは別の銀河系で、生命のある惑星に取り憑いたのか