ロシア人とは、民族としては「お人よし」だが、それが国家を運営するとなると、
普通では考えられないような「うそつき」になるというのは、
ヨーロッパの国際政界での常識であった。
ロシアおよび英国がそれぞれ他国と結んだ外交史を調べたところ、
驚くべきことにロシアは他国との同盟をしばしば一方的に破棄したという点で、
殆ど常習であったと言われている。

 「ロシア国家の本能は、略奪である」と、ヨーロッパで言われていたように、
その略奪本能を、武力の弱い日本が、外交テーブルの上で懇願して
かれら自身の「自制心」によって抑制してもらうというのは、とうぜん不可能であった。