私は生物が好きだ。無礼を受ければ腹が立つのだが、動物となれば別だ。
同じ腹でも、大人しく寝転がって披露される分には愛おしい。

子供とは勝手なもので、丸い尻尾が気に入って、せがんで飼ったウサギの世話を親に任せて以来、我が家では動物の飼育を許された試しがない。
お気に入りだった丸い尻尾や、ホワホワの毛並みは、ペットショプでゲージ越しに眺める事しか出来なくなった。

放任主義の家庭で育ったからか、生き物との交流に飢えていた。
もっぱら街角の野良猫との触れ合いが密かな慰安となっている。

私の傍らで佇む猫達との友情は、かれこれ数年来に及ぶだろうか。
彼らは、気分に任せて爪を立てる事がなければ、不必要に怯えて逃げる事も無い。尻尾をパタパタと地面に打ち付けて苛立ちの意を示す事も無い。

一様にして腹を空にした後は、人目のない空き地で私の来訪を待っているのが常だった。
子猫のチビはせわしなく羽虫と戯れている。
新入りのミケの毛並みは実につややかだ。
私は見た目から名前を付ける事が多いので、シロという名の猫が増えて仕方がなかった。こうなるとゲンナリしてしまって、他の猫はと浮気を始めるのだから、私もゲンキンなものだ。

おっとあれは、初めて見る野良猫だ。
こういう自体に備えて、ペット用の餌を常備してある。
満腹になった彼らは満足して眠る。
人前で眠ると言う事は、何よりの信頼の証だろう。
さあ、おいで。さあ、コイコイ。

人はと言うと困難だろう。私は人間が苦手なのだが、彼らの内面には興味がある。いずれは気にいった友人に囲まれて過ごしてみたいものだ。