悪魔の手毬唄は
@古谷一行の連ドラ全6話 A市川崑・石坂の映画版 B稲垣版の2時間ドラマ
3つを見たけど原作への思い入れが強すぎるせいかどれも微妙に感じて
今のところ「これがダントで好き」という映像作品がない。

古谷連ドラは時間も十分にあってか切るとこ切りつつ丁寧に出来事を追っていて
人間関係も自然と頭に入ってくるし事件の内容とその性質を汲んで作られていると感じる。
青池リカの配役も演技も一番しっくりくる。ただ上の御方も仰る通り歌名雄がクドい。
千恵子と里子のいい子ぶりを演出するような会話シーンを入れ過ぎたし、
全体的に青池兄妹とその周辺の若者がスポコンのような雰囲気で若干邪魔に感じた。
人となりをしっかり描くことでより悲しみを誘う効果はあると思うが
もう少し控えめにして4〜5話にまとめられたら丁度良かったのではと。

市川崑の映画はただでさえ時間がないのにしょっぱなから余計なシーンを入れ、
その後もトータルでドラマと同等かそれ以上かというほど余計なシーンまみれ。
必要性の分からない無駄設定も多く放庵の人物像も崩壊。
歌名雄は連ドラの熱さに女々しさを足したような人物でいちいちピーピー泣き喚き気持ち悪い。
予告で「里子が殺された〜」という一言を入れてしまうあたりもちょっとどうかと。
「市川崑の映画」としても「金田一耕助が主人公の映像作品」としてもかなり苦手で
二度三度と見る気にはなれなかった。

稲垣版は押さえるところは押さえてあの時間にうまく収めつつ
ひたひたと迫るおそろしさや犯人の愚かさ悲しさを出せていて全体的には悪くないが
自供シーンが激しすぎて困惑した。
それだけならまだしもそれに対して最後の千恵子と歌名雄の会話シーンの雰囲気が
あまりに軽くチグハグである程度は悲壮感レベル合わせろよと思った。
連ドラや映画の歌名雄の熱さを少し分けてもらったら丁度いいんじゃないかと。
そしてあそこまで口頭で全貌を解き明かす時間をたっぷり取れるなら
放庵殺害の動機をただの口封じと説明し片付けるのではなく
犯人に仕立て上げるにはこれ以上ない人物であり真犯人がそれを狙った旨加えてほしかった。
本筋と関係ないがコントのようなウィッグも地味に気になった。誰も止めなかったのかアレ。