自分は反対意見
「翻訳には賞味期限がある」というのは、当事者(翻訳者と出版社)の勝手な
自己都合と詭弁だと考えている

理由は簡単で、古い翻訳は著作権の保護期間が切れたらパブリックドメイン
として無料公開できるようになってしまうため、出版社としてはどうしても権利
を確保できる新訳が必要となる

また、長期間売れる古典の新訳は、翻訳者にとっても収入や名声を得るのに
魅力的なジャンルとなっている

もちろん過去の誤訳の訂正や新しい文体での作品提供など、新訳のメリットも
あるものの、新訳を必要としない人たちも数多くいる
一例をあげれば、サリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」など、野崎孝の旧訳が
まだ売れ続けているような現実もある

旧訳を読めるかどうかは、ある意味、読者の語彙や読解力にも関係している
ものなので、漱石の「草枕」や谷崎の「春琴抄」など近代文学の古典が読める
人にとっては、あまり問題にならないことなんだよね

これら古典の賞味期限が切れないのと同様、翻訳にも賞味期限が切れない
名訳というものが存在するというのが自分の意見