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キ林:僕、今度こそ分かりましたよ。山荘の主人を殺害したのは、嘘をついている奥さんです。
   もし犯人が逃亡犯なら、何よりも着替えだったり、地図、凶器、食料などを盗む筈でしょう?
   なのに「金しか盗まれていない」というのは不自然です。
   犯行現場の割れた皿や倒れたテレビなども遺体の状況(血痕なし・絞殺)と今ひとつ合いませんから
   これは偽装と考えていいでしょう。
白痴:ほう。
キ林:テレビで逃亡犯のニュースを聞いた妻は、彼に罪を被せて夫を殺害することを思いつく。
   妻は休んでいる夫をザイルか何かで絞殺し、リビングで逃亡犯と乱闘したように偽装した。これが真相です。
白痴:で、作者氏が仄めかす、「もう一つ」の謎とは?
キ林:周囲の静けさを気にするラフな服装の刑事、彼こそが「逃亡犯」なんですよ。
   危険を冒して彼が山荘に来た理由は、僕は「濡衣を晴らすため」の線を押したいですね。
   誰が自分に罪を着せたかを探りに戻った彼は、リビングにあるべき犯人の足跡が残ってないことや
   夫人の不可解な証言を確認して、真犯人は彼女だと確信したんです。
   もしかしたら元々の罪も冤罪かもしれませんよ。リチャード・キンブル氏みたいな。