ひとでなしを読んでみた
時代物以外で初めて京極夏彦作品を読んだんだけど私見を述べるとこの人は現代物より時代物の方が良い

なんつーかな、京極作品を通してある超現実性みたいなものが現代モノだとしっくりこないのよね

霧の向こうにあるお話と言うかさ、薄暗い中で見る怪談芝居が良いのと同じように、まだ文明の灯りが全てを照らす前の時代のボンヤリとしたフィルターが京極作品のキモなんだと思う

現代モノだとその薄ボンヤリとした神秘性みたいのが消えて見も蓋もなさが目に付いてくる
4Kの鮮明な画質で明るい照明の下で百物語を中継しているかのような不利を感じる

文章力で現代をソリッドに切り取るという点では村上龍なんかに到底及ばないしね
その辺のバランスからいっても京極堂シリーズの舞台設定は一番京極夏彦という作家の良さを引き出していたんだと思う