『作家の値うち』より

・鈴木光司
幸運児である。その幸運の長からんことを祈らずにはいられないほどの。
彼の人気こそが「ミステリー」であり、「ホラー」でもあると云うべきか。
テレビドラマのノベライゼーションのような文体、紋切り型に満ちたレトリック。
目新しくはあるのだろうが、それがどうしたと突っ込みたくなるような種明
かし。
無内容な人生観をめぐる長広舌。
「呪い」と「ビデオ」という組み合わせが新奇ではあるにしても、
それが何ほどかの感興を呼ぶのだろうか。 教えてもらいたいほどだ。