金持商業の社長室で社長の金持成正が殺されているのを、翌朝、出勤した秘書の小山広美によって発見された。
被害者は社長椅子にのけ反る格好で座って絶命しており、首には紐状のもので絞められた痕と
右手にはチェスの駒である黒のナイトが握られていた。
社長室の脇の棚に置かれたチェス盤上には
黒と白の駒がすべて並べてあったが、その黒のナイト一つだけが欠けていた。
検死解剖の結果、死体からは睡眠薬が検出され、抵抗した様子もなかったことから
睡眠薬で眠らされた上で絞殺されたらしいと判断された。
やがて、アリバイのない、社長に恨みを持つ容疑者三人が浮かんだ。
警備員の馬場駒吉、専務の内藤将男、元愛人の黒井桂子の三人である。
馬場は右手指に怪我を負っていて、それは三日前に転んだときの怪我だという。
内藤はチェス愛好家で、社長のチェスの相手をしていたらしいが
御機嫌取りで、いつもわざと負けていたのだそうだ。
黒井は女ながらに柔道の黒帯で、彼女の腕でもじゅうぶん絞殺可能であった。

さて犯人はこの中にいる。犯人は誰?