ヘイスティングスの一人称で語れる所に意義があるのよ
そこに注目してよく読んでみて
小説技法的な話になってしまうが
これは探偵モノが大流行した要の話法だから
ポーが発明してドイルが引き継いだ
記述は過去を振り返る形になるんだけど
基本的にはあとから分かったことは書き込まない
ただ必ずしも一貫してるわけじゃなくて
物語を誘導するような述懐を入れてくる
それでいて話者とは他人である探偵が何を考えているかは
通時的にも回顧的にも秘密にできる
これはスリラー小説としての凄い発明
ちなみに話者が読者に好かれる必要はない
むしろ少々お馬鹿な方がよい