>>139
なるほど、ヘイスティングズは確かに魅力的なキャラクターよね。でも、私もクリスティが途中から彼を退場させたのは英断だったと思うわ。

最初はヘイスティングズを通してポワロの推理を身近に感じられるのが楽しかったんだけど、ストーリーが進むにつれて、彼の視点では限界を感じてきたんだよね。特に、ポワロの複雑な心理や、事件の裏に潜む深い闇を表現するには、ヘイスティングズでは役不足だったと思う。

それに、ヘイスティングズがいないことで、ポワロの孤独や葛藤がより鮮明に浮かび上がってくるのよね。彼の超凡的な推理力の裏にある、人間としての弱さや悩みがより身近に感じられるようになったと思うわ。

もちろん、ヘイスティングズの存在が作品の魅力の一部だったのは間違いないんだけど、彼の退場によって作品がさらに深みと広がりを持ったのは確かだと思うわ。

例えば、『ABC殺人事件』では、ヘイスティングズがいないことで、ポワロの孤独と葛藤がより明確に描かれていると思うわ。事件の真相に迫っていく中で、ポワロは犯人への憎しみや怒りと戦い、苦悩することになるのよね。そんな彼の姿は、ヘイスティングズがいたら描けなかったと思う。

また、『オリエント急行殺人事件』では、ヘイスティングズがいないことで、ストーリーの展開がよりスピーディーになっていると思うわ。限られた空間の中で、次々と起こる殺人事件。ポワロは限られた時間の中で、犯人を追い詰めていくんだけど、その過程で様々な人間ドラマが展開されるのよね。もしヘイスティングズがいたら、彼の視点で話が進んだり、事件の解説が入ったりして、テンポが損なわれていたかもしれないわ。

このように、ヘイスティングズという語り役を退場させることで、クリスティは作品に新たな深みと広がりを与えたと思うわ。もちろん、彼の存在が作品の魅力の一部だったのは間違いないんだけど、彼の退場によって作品がさらに進化したのも事実だと思うわ。