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【麻薬の語源は大麻ではない】

「麻薬」と「大麻」を混同している人も多いのではないか。
「麻薬」という言葉は、旧字体では「痲薬」と記し、「痲」の字は「しびれる」という意味を持つ。

一方で、「大麻」の「麻」は植物の「アサ」を指す。つまり「痲」と「麻」は同じ意味ではない。

1949年に、漢字が旧字体から新字体に移行され、「痲」と「麻」が同じ漢字になった結果、
このような混同が起きたのだ。

『麻薬』の語源は、第二アヘン条約(1925年)締結後の国内法を制定するときに、
『Narcotic』の訳を『痲酔薬』からヒントを得た『痲藥』と訳して制定された。

しかし、『Narcotic』は本来、『麻酔薬』を意味する。『麻薬』の意味ではない。

『麻酔』と言う単語は、杉田成卿が嘉永3年に、ドイツの「エーテル麻酔」という本のオランダ語訳を、
さらに日本語に訳して「済生備考」という訳書を書いたとき、アネステージャを「麻酔」と翻訳した。

このときの麻は、古代中国の名医華佗の「麻沸散」の「麻」に由来する。

これは、古代中国の代表的な植物の大麻草は、動物と違って感覚がないことに起源をもち、
麻や木のように感覚がないことを意味する「麻木不仁」から名づけている。

「不仁」とは、感覚がない,しびれる.⇒ 麻木不仁 mamu bu ren .

『痺れる』と言う字は本来、旧字体で「痲」と表記する。
大麻には、『痺れる』と言う薬理作用はない。