「さゆ、出番。早く行くよ」声の方に振り返った井上は目を疑った
「ま…まりか?」  「さゆ、また居眠りでもしてたの?」
「ひ…ひめたん、なんでいるの?」  「何よさゆ、勝手にひめたんをいない者扱いして」
「ゆったん…」  井上は半分パニックになりながらメンバーを見上げた 。
センター井上小百合。1列目、中元日芽香、齋藤飛鳥、伊藤万理華、斉藤優里…。
暫時、唖然としていた井上だったが、全てを理解した時、もはや彼女の心には雲ひとつ無かった 。
「やれる…やれるんだ!」
マネージャーからマイクを受け取り、ステージへ全力疾走する井上、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった…。

翌日、楽屋で冷たくなっている井上が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った 。