生田の存在は複雑です。健気で純粋なコゼットにふさ
わしく外見ももちろんかわいらしいし、透明感のある
歌声は高音こそややかぼそいものの、アイドルの枠を
越えて同年代の女優の中ではトップクラスに位置する
といってもいいと思えるほど。
自意識が漏れ出てしまう
しかし、歌自体はとてもうまいのに、生田が歌うとま
るで学芸会のようにしか見えないのです。
声の抑揚自体は豊かなのに、感情表現は一本調子で
メリハリが皆無。
それは表情も同様で、何も考えていない笑顔と無表情、
不満そうな顔の3つが交代で表れるだけで、コゼットが
ただの鈍感なオンナにしかみえず。
結果、そんなコゼットを守るために命をかけるバルジャン
はただの独りよがり、彼女を愛するマリウスも革命を
軽く考えているまぬけな人物にしかみえない、という
悪循環……。