ー前略ー
・「海鯤」建造に日本は関わったのか?
筆者は三菱重工や川崎重工を退職した技術者が何らかの形で台湾に協力したと推測している。

その理由の一つ目は、「海鯤」の命名・進水式典に日本の駐台湾機構である日本台湾交流協会台北事務所の岡島洋之副代表が、
米国・韓国の駐台湾機構代表とともに出席していたからである。
日本の代表処のメンバーが、台湾の武器の引き渡し式典に出席した前例はない。
そのため、日本の企業が台湾の潜水艦自主建造に何らかの協力を行い、それを日本政府も容認した結果であると
筆者は推測したのである。

仮に日本企業の協力がなかったとしても、日本が台湾の潜水艦の自主建造を祝福したことを内外に示ことに変わりはない。
その重大な意味を考えると、副代表の式典出席を日本台湾交流協会台北事務所の一存で決めるとは考えにくい。
当然のことながら霞ヶ関の外務省、総理官邸に副代表の出席の可否を伺ったはずで、
総理官邸も最終的にそれを了としたと推測されるのである。

日本が潜水艦自主建造に関わったと筆者が推測したもう一つの理由は、潜水艦がX舵を採用していたことである。
潜水艦の命名式典に参加した外国代表処のうち、潜水艦にX舵を採用しているのは日本だけだったことに着目したからである。

しかし、筆者のこの見方を日本で潜水艦運用の第一人者と言える海上自衛隊潜水艦隊司令官を務めた矢野一樹元海将に
伺ったところ、「X舵は日本が独自に採用したものではなく、我が国の「そうりゅう」型就役以前に欧州の潜水艦は
これを装備している。従って、X舵は日本の技術者が関与していなくとも、設計導入は困難ではない」との回答をいただいた。
よって、「X舵の採用=日本の関与」と断定するのは早計である。

潜水艦の建造にあたっては、少なくとも7カ国の防衛企業や技術者が台湾初の潜水艦建造を支援していると報じられている。
それによれば米国が戦闘システム部品やソーナーなどの主要技術を提供し、英国企業も潜水艦の部品・技術・ソフトウェアを
台湾に供給したとされる。
台湾はさらにオーストラリア・韓国・インド・スペイン・カナダの少なくとも5カ国から技術者、元海軍士官を雇用することに成功した
ともロイターは報じている。
結局のところ、日本の技術者が関わっているか否か筆者には断定できなかったが、関わっていたとしても、
それが明らかにならない程度が、日本の立ち位置としては現時点ではちょうどよいのかもしれない。

いずれにせよ、日米韓をはじめとする各国が台湾の潜水艦建造を祝福し、何らかの協力をした。
この事実は、中国が台湾統一の手段として武力行使を選択しようとしたとき、
最も嫌な台湾海峡問題の国際化につながる可能性を示すことになる。
台湾の潜水艦自力建造における国際協力は、台湾海峡有事を抑止する効果が期待できるのである。

・潜水艦は待ち伏せ攻撃に使用
ー後略ー

全文はソースから
THE NEWS LENS 1/9(火) 11:52配信