少々雨が降っている程度ではショーやグリーティングは中止にならないため、雨を吸って重くなった着ぐるみを着ての演技は、通常時よりも負担が大きかったとみられる。

女性は昨年8月、これらの職務により「胸部出口症候群」を発症したとして、船橋労働基準監督署に労災認定されている。現在は休職中だという。

訴状では、キャラクターショーを運営している同業他社の状況を例に出し、オリエンタルランドには「全身コスチュームを着用しての演技は最大でも30分、演技と演技の間の間隔を1時間とし、
ストレッチやアイシングなどを少なくとも30分確保しなければならない義務もある」と指摘している。

また、体調不良を把握した後は「医療機関受診の指示、給食の指示など、過重労働防止のための措置を取るべき」だったとして、健康把握義務と適正労働配置義務に違反したと主張している。

「お前みたいにやる気の無い奴は全力で潰す」
もう一人の原告である30代女性は、2013年1月、来場客が故意に右手薬指を反対側に折ったために負傷し、労災申請をしようとしていた時、
女性の所属するグループのスーパーバイザーから、労災申請への協力を拒絶され、「エンターなんだから、それ位我慢しなきゃ」「君は心が弱い」などと言われた。

2016年1月6日、ショーの打ち上げの飲み会では、女性から喘息の相談をされたユニットマネージャーが

「病気なのか。それなら死んじまえ」
「30歳以上のババァはいらねーんだよ。辞めちまえ」
「俺の前に汚ねえ面見せるな」

などと発言。同月、女性の出演シフトと一緒になった先輩アクターからは「お前みたいにやる気の無い奴は、全力でつぶすから」と言われるなど、上司を含む従業員12人からパワハラを受けていた。

後輩からの暴言もあった。今年3月、喫煙所で新人出演者の相談にアドバイスをしていた女性を見た後輩は、新人出演者に対し「◯◯さんの言うことなんて聞かないほうがいいよ」と声をかけたという。

被告の弁護人は、オリエンタルランドがハラスメント発生時、調査を行ったり、被害者の苦悩を取り除くための措置を講ずるべきだったのに、それを怠ったと指摘している。

オリエンタルランドの担当者は、今回の提訴について「訴状が届いていないため、お答えするのが難しい」と回答している。