お弁当を届ける

祖母はお弁当のお箸に付いてくるつまようじを集めて
紺色のリボンで結わえていた

だんだんリボンが足りなくなって
蝶々結びが最近、ひとつ結びになった

ここのご飯は味がうすくておいしくないからと
毎晩繰り返した

ひび割れて砕ける
前触れのような皺が、ガイコツの上でゆるゆると動いた

ほの暗い廊下はまるで巨大ミミズのすみかで
雨の夜にはリノリウムが滑った

レジ袋の音がかさかさ響くのがいやだった
たまに蟋蟀が鳴いた

私が顔を出すと
祖母はうれしそうに笑う

おばあちゃん
今日はちょっと調子良さそうな顔してるよ