罪深い指先が安っぽいピアニシモのビブラートでどこかの月丘を弄ぶ
核心を少しずらしたままの 生殺しの歌はまだ終わらない
女が芝居染みた自分の声に陶酔し
腐敗したバターのように買い叩いたエロスが堕落するころ
僕の下半身の詩人が上手な嘘を見つけられないまま
またいつもの放心に迷い込む

インド産のジェネリックのもたらす
柔らかな火照りと陰鬱な鈍痛が
下品で冷淡なベッドルームの天井にへばりついていた

正直 女に 交尾に心底酔えたことがない
夢遊病者のように求愛に彷徨い
激しく渇望しながら絶望をも望んでしまうのか
この柔な思考の出口の捜索願は
もう とうに取り下げてあるというのに

天使なんてもう探さない
だって
違っていても
たとえそうだとしても

その後の放心の重さは同じなのだから

加速度なんだろうなぁ
魔法とか
恋とかさ


射精の後の許された仮死の海で
あの羊水の匂いを思い出した
底なしの求愛に体液を混ぜ合わせよう
下品な唾液を共有して
時間の隙間を踊れたらいい

求めたのは

どうせ陳腐な
忘却辺りなのだろうから