「風景写真(下書)」

優子
目を離したら
君がどこかに溶けてしまう
数えきれない雑草の迷彩
僕には何ができるだろう

冬の土手を写した殺風景な写真

優子
君は僕の傍にあった
僕がたまたま入った穴のひとつで
穴はこの世に数えきれないほどあって
確実に君よりも僕を人間にする穴は
他のどこかにあるだろう
僕を満足する動物にする穴もあった
それでも君はたまたま傍にあって
運命のように僕を囚え
僕はこの無数の色犇めく風景写真の中で
君だけしか見えなくなっている

優子
もう君から目を離してもいいかい
運命なんてまやかしだ

優子
大島優子
宮村優子
安藤優子
水谷優子
仁藤優子
旧姓小倉優子

みんな笑っている
冬の土手に咲いたたんぽぽのように