ところが游凪さんなんかはツイキャスやってる人だけど、
日本語の書き言葉としてのそういう特性とかまったく勉強してないから、
発話優先の書き方をする。

おそらくまずは朗読して詩をつくり、それを文章にしているような
感じの詩になっている。だから、ものすごく息苦しい。笑 

  『春暁」    游凪 

 月明かりと雪の結晶とスミレの花
 無人のプラットフォームに落ちるものを
 青白い人が拾い集めていく

いきなり「月明かり」と「雪の結晶」と「スミレの花」を
つきつけられても、これが朗読ならいいのだけど、書き言葉
として眼で読む方は頭がパンクしてしまう。笑

それぞれ日本語としては膨大な物語を含んでいるのだから、
読む方に飲み込むだけの間を与えなきゃ。
ここでイカイカ風の文体操作が生きてくる。
おれならこう改行するね。

 月明かりと
 雪
 の、結晶
 とスミレの花

 無人のプラットフォームに落ちるものを
 青白い
 人が
 拾い集めていく

イカイカの文体を田中恭平さんがうまく拝借しているけど
あれは日本語の特性を最大限拡張しようとしているのかどうか
わかって使っているのじゃなく、なんとなくだろうけど、
ああいうふうにイカイカの文体は応用されている。
ああいうものにこそ創造大賞を与えられないから一輪車は
「ままごと」だといったのだ。