ここからは俺の推測ね。
妄想でもある。

好き避けさんって、近距離ではチラチラとこっちを盗み見しているし、遠距離では惚けた顔してこっちを凝視しているんだけど、こっちが一瞬でも視線を動かそうとした瞬間に、すばやく察知して視線を外すんだよね。
「ん? 今こっち見てなかった?」って首を傾げつつ仕事に戻ると、視界の端でやっぱりこっちを見ている好き避けさんが見えていたり。
それを毎日のようにやられると、さすがに好き避けかなって思ってくる。
好き避けサレル側はこんな感じだよね。

好き避けスル側としては、気になる人を見たい……でも視線が合うと、恥ずかしいやら、どんな顔したらいいのかわからないやらで、あわててそっぽを向く。
そっぽを向くんだけど、その向きかたが露骨すぎて相手が気を悪くしてないか心配になって、横目を目一杯使って相手の様子を探って見たり。
自分でも、こんなんじゃダメだってわかっているのに、いざ意中の人を前にするとドギマギするばかりで、てんでうまくいかない。
それで自己嫌悪して落ち込んだり、意味もなく泣けてきたり……そんな日々を続けてしまう。

でも、ある朝、好き避けスル側はついに一大決心をする。
「今日こそ、あの人を見続けて、見返されてもそっぽを向かないぞ」という決意を固める。
そして意中の人を前にして、決意の視線を向ける。
本人は平静を装っているつもりなんだろうけど、跳ね回る心臓を押さえるために高ぶっているからなのか、顔は強張って切羽詰まった表情になっているし、目はいつもより大きく見開いていて、ほとんど相手を睨みつけるようになっている(てゆーか、マジでびびるくらい怖い)。
そうしてじ〜っと見つめる。
相手が、大好きな人が見返してくれるのを願いながら。
いつもなら5秒と見つめられないのに、この時だけは長い。10秒近くもの間、見つめ続ける。
相手に、大好きな人に想いよ届けと祈りながら。