高校で同じクラスだったSちゃんは、その明るい性格とかわいい系のルックスで、かなりモテていました。彼氏が途切れることもなく、羨ましがられる存在で。

「誰にも言わないでね。わたし、あのバンドの人と付き合ってるんだ」

え…あの人?私も知ってるあの人?その人は地元ではわりと有名なバンドのボーカルでした。

「あの歌の歌詞にある“彼女”って、私のことなの。その“友達”はあなたのことだよ」

え…あの歌に知らないうちに私まで登場してたのか。それはなんというか、「ありがとう」。とにかく、バンドマンは彼女のことを歌にしてくれるっていうのはよくわかりました。ところがある日、彼女が深刻そうな顔をして相談を。

「彼の家に行ったらね、机の上に真っ赤なペンで“マル秘”って書いた大学ノートが置いてあったの。見ちゃうじゃない?マル秘とか書かれてたら」

もはや、見ろってことじゃないかと思うんですが。

「I want S! I need S! I love S! ってね…書いてあった」

100年の恋が冷める瞬間を、私は初めて目にしました。

言葉に惹かれて恋をし、言葉に傷つけられて失恋したSちゃん。今は立派な編集者として文芸作品を作っています。


意味分かる人いる?
何でSちゃんが失恋したのかよくわからないわ…