Nさん

貴方のことが本当に好きでした。

あなたの話から断片的に推察される私の人物像は、とても好ましいものとは言えませんでした。
場当たり的に生きている、口がうまくて軽薄な人間と思われているのだろうとは思っていました。
私自身、昔から他人から恵まれてますねと皮肉を言われるのは慣れています。

ですから、したためた手紙を、ご機嫌取りだと一蹴されてしまったのでしょう。
貴方を思い通りにしたいからこんなことをしているとすら思われていたかもしれませんね。

私は手紙が苦手です。悪筆だから。
それにあなたがこれを読むのだと思うとますます字が震えてままなりませんでした。何度も出だしでつまづいては書き直しました。


人のことがわかるのは、人を知る努力を惜しまないからです
あなたは自分をつまらない人間と思っているかもしれない、
貴方はあなたの凄さに自分で気が付いていない。
全ての手紙はその一言に集約されます。
あなたに気付いて欲しかった。あなたはすごい力を持っている人です。そして優しい人です。

そんなこと、あなたはとっくに知っていたかもしれない。
でも、私はあなたのクライアントとして、
あなたの力で、自分を助けるすべを教えて貰ったのだと
敬意と謝意を伝えたかった。
そして今、私はここまでこれました。

ありがとう。本当に好きでした。
ここでしかもう、書けない。
貴方のことが大切だから。会えなくても色褪せない大切な人。

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