新潟県における開発型政治の形成

http://dspace.lib.niigata-u.ac.jp/dspace/bitstream/10191/14847/1/27#3

一九七九年の選挙では、「世界的不況のなかでも、新潟は全国の平均成長率の倍は確保できる。なぜなら公共事
業が目白押しだから」と、田中は豪語している。新幹線が終われば、北陸高速道路と関越高速道路、さらに電源開
発と、新潟県における公共投資はこれから一四、五年、継続的に行われるというのである(広瀬一九八一、五一ー
五五頁)。このように田中の訴えるところは、「若き血の叫び」以来基本的に何ら変わっていない。雪国であること
の不遇を強調することによって、新潟への突出した公共投資を正当化する。そして格差是正のために自分が果たし
てきたこと、そして果たしうる役割の重要性を印象づける。最後の演説にいたっては、全国の景気が悪くなろうが
新潟は(自分がついている限り)大丈夫とまで言い切っている。利益誘導型政治の極致といえよう。