国鉄民営化から日も浅い1988年10月。
JR東海のリニア対策本部長だった葛西敬之名誉会長は、「中央リニアエクスプレスの
実現に向けて」と題した大阪市内の財界の講演会で、こう訴えた。

 「リニアができると東海道新幹線は赤字になる。リニアの建設費の3分の1は
国の金が必要ではないか。
つまりナショナルプロジェクトとして推進しなくてはならない」

 まだ実用化のめどすら立っていなかった時代。国鉄民営化に尽力した葛西氏の
頭には、既に国の支援によるリニア建設と言う構想が描かれていた。

(略)

 JR東海の元労組幹部は「自前でスタートを切って、それを呼び水に途中から
国策に転換するというのが葛西の口癖だった。葛西の戦略通り、
リニアは国策となった」と振り返る。



2018(平成30)年3月7日付東京新聞「四強時代 リニア談合の底流 2」