>>421 続き
>JR東海は大井川の水源を貫くリニアの南アルプストンネル工事でも
 「水抜き」の必要があると説明している。これに対し、県有識者会議の塩坂邦雄委員は
 「地下にある天然のダムが破壊されるようなもの」と指摘。
 水を抑えて地盤を固める薬液注入という工法があるが、
 浅岡顕名古屋大名誉教授(地盤工学)は地下深くに掘るトンネルに適用するのは難しく
 「大井川水系の水資源を維持しながらトンネルを掘削する自信は全くない」
 と技術的な限界を吐露する。<
>鉄道省は当初、住民の訴えに半信半疑だったが、徐々に拡大する渇水被害を
 無視できなくなり、工事との因果関係を認めた。
 稲作を営んでいた多くの盆地の農家は、国からの補償金を原資に当時地域に
 根付き始めていた酪農に転換していった。国は水道、貯水施設の建設費なども
 支払ったが、盆地を潤した豊富な湧水が戻ることはなかった。
 丹那トンネル開通から87年余り。その間、地域の変化を目の当たりにしてきた
 山田さんは「水がどれだけ大切なものか。失ってからでは取り返しが付かないことを
 忘れないでほしい」と訴える。
 <メモ>東海道線丹那トンネル 長さ7.8キロ。世界的難工事として知られ、
 作業員67人の犠牲は崩落や湧水による水没などが原因。新たな工法も試みられた。
 坑内には今も大量の水が湧き、熱海の水道や函南の農業用水として使われている。
 一方、トンネルの上に位置する丹那盆地の水枯れ被害は回復していない。<
終わり