新幹線が開業以来半世紀以上にわたって省エネルギー性能を徐々に高めてこられたのは,レールというインフラは変わらずとも,その上を走る列車のモータをどんどん進化させてきたからである。
ところが,リニアモータはいったん規格を決めて建設してしまうと,そのシステムを変えることはほとんど不可能となる。
モータという機械を地上の長大インフラとして建設しなければならない磁気浮上式鉄道はあまりにも硬直的な巨大システムで,比べれば比べるほど,柔軟な分散型システムである現在の鉄道のよさが光って見えてくる。
こうしたことから,JR リニアが「筋のよい技術」として普及する見通しはなく,開通当初の「もの珍しさ」だけが取り柄の特殊な技術で終わってしまう可能性が高い。
下手をすれば,超音速機コンコルドのように大事故を起こして退場を迫られることになるかもしれない。
そうなれば後に残るのは大きな負債だけである。
今からでも遅くはない。
中央新幹線計画は時速 300 km の在来新幹線方式に変更するのが賢い選択である。