「未着工のリニア中央新幹線南アルプストンネル静岡工区を巡り、川勝平太知事は29日、定例記者会見で、ルート決定過程に関して国土交通省から回答書が届いたことを明らかにしたうえで、不透明性を解消できなかったと見解を示した。

 南アルプスルートの決定過程について、県は6月6日、切羽(坑道の先端)の崩壊や高圧で大量の湧水(ゆうすい)発生が懸念されるにもかかわらず、なぜルートを回避しなかったのか明確にするように斉藤鉄夫・国交相に要請書を出した。

 国交省からは6月24日、「経済性、速達性などといったさまざまな観点を総合的に勘案した結果」と回答があった。「他のルートと比較して環境への影響が小さいからではない」とも書かれていた。

 川勝知事は「驚いた。環境軽視の議論がまかり通って、それを国交省鉄道局長がしゃあしゃあと書いてよこした。環境省がどういう態度を取るのか注目したい」と怒りを滲ませた