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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32697030W8A700C1000000/?n_cid=DSTPCS001
[FT]米国の覇権の源泉を中ロに手渡すトランプ氏 2018/7/7 日経

 近代米国の外交政策の指針となる前提は、トルーマン米大統領のために1950年に書かれた文書で明確に示された。
「NSC−68」と呼ばれる文書(この文書は国家安全保障会議=NSC=で準備された)は、ソ連共産主義に対する米政府の答えだった。その中核にあるのは、米国の国益は国際的なリーダーシップを通して追求するのが一番だという信念だった。この土台石をトランプ大統領はたたき壊そうとしている。

 NSC−68の大部分は、ソ連の軍事的脅威に対抗することに焦点を合わせていた。朝鮮戦争の初めにトルーマン大統領が正式承認した文書は、米国の防衛費急増の基盤となった。だが、国民のムードが孤立主義へ転じかねないことを意識し、米国が西半球に引きこもることを抑えようとした。

 それゆえ、文書には「現時点における我々の全体的な政策は、米国の体制が存続、繁栄できる国際環境を育むよう設計された政策と表現できるかもしれない。このため政策は孤立の概念を拒絶し、国際社会に前向きに参加する必要性を是認する」とある。これが、冷戦を越えて続き、我々がいう西側諸国に米国を織り込ませた戦略的論理だった。

欧州だけでなく米国の外交官の間にも広がる不安は、カナダで開かれた主要7カ国(G7)首脳会議での怒りの応酬がブリュッセルで繰り返されることだ。

 そして米国の同盟国との激しい口論の後に、プーチン氏と背中をたたき合う和気あいあいとした1日が続く可能性がある。
何しろトランプ氏は、NATOを明らかに見下している。大統領は、欧州諸国は米国に対する経済的陰謀の一環として欧州連合(EU)を創設したと話している。2016年の米大統領選挙へのロシアの介入をめぐる数々の疑惑に対する反応は、公言してはばからないプーチン氏への敬意を強めることだった。

 我々が犯した過ちは、トランプ氏の任期中に同氏を何とか管理できる、トランプ氏の世界観を形成している無知と偏見は回避して和らげられると考えたことだ。歯を食いしばって甘やかし、お世辞を言えば、トランプ氏を一定範囲内に収めておける。同氏は現状を揺さぶりたいと思っているが、家を壊すのではなく、米国の有利になるように傾けたいのだ、と。