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メルカリ社長「死がよぎった『仕事の大失敗』」
ビジネス人生で一番強烈だった“あの日の出来事”
小泉 文明=メルカリ社長

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2018年7月12日(木)

今年6月に晴れて上場したメルカリ。就任2年目となる社長兼COOの小泉文明さんは、メルカリ入社前は大和証券SMBC(現・大和証券)でIPO(新規株式公開)を担当し、その後、ミクシィで執行役員CFO(最高財務責任者)を務めるなどキャリアを着実に築いてきた。ただ、新卒1年目で死を意識するほどの大失敗を経験したという。

(まとめ:呉 承鎬)

「死のう、道路に飛び込んで」

 私が発作的にそう思ったのは、社会人1年目の冬でした。原因は、未熟な自分が仕事でやらかしてしまった大きな失敗。この時ほどつらい経験は、現在に至るまでありません。

 当時の大和証券SMBC、ミクシィ、現在のメルカリ。どの職場やポジションでも私が大事にしてきた働き方は、この原体験に強く影響を受けています。

毎晩、眠るのが怖い
 「子会社が上場できるかどうか」は、その親会社に与える影響も大きいので、のしかかる責任は半端なものではない。クライアントに「新入社員だから“使えない”のか」と思われる事態だって、絶対に避けなければいけません。

 「万が一、このIPOを失敗したら…」。当時の私は恐怖心から、文字通り、「ずっと」仕事をしていました。会社のパソコンに向かっていないと不安で、家に帰って眠るのが怖かった。毎晩1〜2時間しか眠れず、「朝5時出社」が日課。今思えば、うつ病になりかけていたのだと思います。