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iモード部隊、マッキンゼーと対立 ネット興亡記
コラム(ビジネス) ネット・IT
(1/3ページ)2018/7/17 6:30日本経済新聞 電子版
抜粋
 1997年1月6日。NTTドコモの栃木支店に42枚のファクスが届いた。差出人は東京本社の法人営業部とある。

 受け取った支店長の榎啓一が目を落とすと、表紙には「マス向けゲートウエイ戦略の実現に向けて」と書かれていた。前年12月20日にマッキンゼー・アンド・カンパニーの幹部がドコモ社長の大星公二らにプレゼンした際の資料だった。

 ファクスを受け取った翌日、榎は東京本社の社長室に呼ばれた。大星は社内で「人事トレーン表」と呼ばれる人事異動の台帳に目を落としている。ゲートウエイ戦略と名付けられた新ビジネスを任されると思っていた榎に、大星は意外なことを告げた。

 「榎君、君の次の仕事はこれだ」。大星が指さした箇所にはファクスの送り元だった法人営業部長と書いてあった。ゲートウエイ戦略と二足のわらじを履けというわけだ。

 「ところで社長、こちらの仕事に部下は?」。榎がファクスを手に恐る恐る聞いた。

 「いない。社内公募で集めろ」

 そう言われても社内にネットのコンテンツを扱えそうな人材は思いあたらない。

 「社外から採ってもいいですか」