>>623
■「クラブ真理」開業

 ある時、人手が多くなったiモード部隊を本社ビルから切り出すという話が持ち上がる。本社から歩いて10分。東京・神谷町のビルに転居すると、松永は妙なことを言い始めた。

 iモードの成否がかかるのはコンテンツの出来だ。その担い手はドコモではなく外部のクリエーターたち。彼らとざっくばらんに話す場が欲しい。榎が賛同すると、松永は目を輝かせた。

https://www.nikkei.com/content/pic/20180717/96958A9F889DE1E0EBE7E6EBE1E2E3E1E2E5E0E2E3EAE2E2E2E2E2E2-DSXMZO3295487013072018000001-PN1-2.jpg
松永真理氏の周りにクリエーターたちが集まった

 黒革の応接セットにマホガニー調の家具、ピカピカのグラスが次々と運び込まれてくる。自宅から高級酒を持ち込んだのが、入社2年目でiモード部隊にやって来た笹川貴生だった。政財界に深い人脈を誇った笹川良一の孫だ。

 名付けて「クラブ真理」。日が沈む頃にクリエーターたちが集まり、よもやま話が始まる。今や著名な放送作家となった小山薫堂もその1人。