天皇、皇后両陛下はパラオやフィリピンといった多くの戦死者の眠る
土地に足を運んで、敵味方を問わず死者たちを悼み、傷痕が癒やされ
ることを祈ってこられた。
退位に反対し、公務の限定を求めている人たちは、陛下ご自身が天皇
の「主務」と考える鎮魂慰霊の旅を「雑務」と見なしている。彼らは
天皇をできることなら宮中奥深くに閉じ込めて、国民と接触させず、
政治的道具として利用したいのだろう。   ー内田 樹氏ー