クトゥーゾフの窓から
北の島々は(7) 立ちふさがる国際情勢 「天の時」は訪れるのか
ttps://mainichi.jp/premier/politics/articles/20191018/pol/00m/010/009000c
袋小路の日露「天の時」はまだか
ttps://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191027-00000024-mai-int
 対露交渉を諦めない安倍首相の意向は、9月の内閣改造に伴う人事に反映したとみられている。2014年から
国家安全保障局長を務めた谷内正太郎氏は、75歳の年齢を理由に退任した。しかし実態は谷内氏が慎重な
対露政策を説いていたから外されたのではないか――。霞が関ではこのような見方が残るといわれる。
 谷内氏の後任には、内閣情報官の北村滋氏が当てられ、首相秘書官だった今井尚哉氏も首相補佐官になった。
警察庁出身の北村氏は首相の考えを忠実に実行する役割を期待されているという。今井氏も秘書官時代から、
平和条約締結を重視し、ロシアとの経済関係の拡大を唱えてきた人物である。人事を一新した安倍首相は
11月半ば、再びプーチン露大統領と会談に臨み、平和条約問題を前に進めたい考えだ。

 安倍政権は昨秋、平和条約交渉で大きな方針転換に踏み切った。それまで「4島の帰属確認」を大原則として
いたが、実質的に歯舞群島と色丹島の「2島返還」で決着を図る方針に転じ、交渉に臨んだ。この点について、
ロシアの外交当局者は「日本が『2島返還』に切り替えたからといって、交渉は進まないと思っていた」と
1年前を振り返る。なぜならば「ロシアは90年代、西側に大きな譲歩をしたが、得られたものは少なかった。
多くのロシア国民がそう考えているからだ」という。そのため「自国の領土」を引き渡してまで、日本と平和条約を
結ぶことに利益を見いだしていないというのだ。
(続く)