■中国も北朝鮮を見放した
アメリカが北朝鮮への空爆を躊躇する唯一の妥当な理由は、中国だろう。
中国がなんとしても北朝鮮を温存するという見方は、時代錯誤だ。
中国は、北朝鮮の体制が崩壊し、北朝鮮との国境を流れる鴨緑江まで米軍が進出してくることは望まない。
だが、中国の習近平主席は国連で採択された対北朝鮮経済制裁の強化を支持する姿勢を見せている。
核問題をめぐって北朝鮮を見放し始めている。アメリカが北朝鮮の核関連施設を先制攻撃すれば中国が北朝鮮を助けに行く、という見方は的外れだ。

今のところ、北朝鮮を先制攻撃する選択肢を米軍幹部が排除しているのは明らかだ。
だが、北が核兵器を搭載できる長距離弾道ミサイルを実戦配備するまでに残された月日で、アメリカが北朝鮮を空爆すれば、危険から世界を救える。

インド、イスラエル、パキスタンの3カ国が核兵器を持っているのは事実だが、今のところ破滅的結果を招いていない。
3カ国は北朝鮮にないやり方で、自国の信頼性を証明してきた。
北朝鮮のように、大使館でヘロインや覚醒剤などの「ハードドラッグ」を売ったり、偽造紙幣で取引に手を染めたりしない。
3カ国とも深刻な危機に見舞われ、戦争も経験したが、核兵器に言及すらしなかった。
ましてや金正恩のように、核攻撃をちらつかせて敵を脅すなどあり得ない。
北朝鮮は異常だ。手遅れになる前に、アメリカの外交政策はその現実を自覚するべきだ。 (2018年1月9日 newsweek)