希望の党と民進党の統一会派の話合いは不調に終わった。民進党が今も「安保法制は違憲だ」という見解をしているからだ。

民進党では、社会党の流れをくむ左派が「護憲」を唱える。いっときの民主党政権で「日米同盟の現実」を知った右派は、
憲法や安全保障に柔軟な方針をとろうとした。
が2015年の「安保国会」で流れが変わった。憲法審査会の参考人が全員、安保法制を違憲としたため、
「個別的自衛権は合憲だが集団的自衛権は違憲だ」という奇妙な論理で、野党がまとまってしまった。

憲法に「個別的自衛権と集団的自衛権」の区別はない。日米安保条約は「両国は国連憲章に定める個別的又は集団的自衛の権利を持つ」
と確認している。「集団的自衛権はあるが行使できない」という1972年の政府見解は妥協の産物だ。日本語として成り立たない。
こんな無意味な解釈論で、いつまでも与野党が対立するのは、憲法9条に絶対価値を見出す少数の「固定客」(有権者)がいるからだ。
もう1つの理由は、野党には「憲法以外には『結集軸』がない」からだ。

経済政策では、安倍政権は財政拡大と金融緩和を進める「大きな政府」だ。世界的にみると社会民主主義に近い。
教育無償化も消費税の増税延期も、野党が反対できないバラマキ福祉だ。
野党が、安保・憲法で自民党に歩み寄ってしまえば、野党には独自の政策が何もない。野党の存在意義はなくなってしまうのだ。
(2018/1/19 Japan Business Press)